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菌根菌とは?ガーデニングに利用する方法は?

ガーデニングをしていて「カビ」「菌」と聞くと、病気など植物を枯れさせる悪いものだというイメージはありませんか?実際は、連作障害を起こすような恐ろしいものばかりではなく、植物によい影響をもたらすものがたくさんあるんです。今回は、植物にうれしい効果をもたらす菌根菌について、どんなものなのかや、ガーデニング資材として利用する方法などをご紹介します。

菌根菌とは?

菌根菌 きのこ

菌根菌とは、植物の根に付く菌類(カビ)のことです。これに対して、菌類と共生関係を築いている植物の根のことを菌根といいます。土の中にはたくさんの微生物が潜んでおり、菌根菌もその1種です。菌根菌は、根の内外に菌糸をはりめぐらせ、菌根を作ります。

菌根菌は、共生の形態によって、根を外から包み込む「外生菌根菌」と、根の細胞内にもぐりこむ「内生菌根菌」の2つのグループに分けられます。外生菌根菌は、そのほとんどがいわゆるキノコ類で、食卓にあがるマツタケ、シメジや、高級食材のトリュフもこのグループに属します。内生菌根菌の中では「アーバスキュラー菌根」が有名で、アカザ科、アブラナ科などのごく一部を除いて、陸上に生息する植物の約80%と共生できることから、絶対共生菌とも呼ばれています。

菌根菌は植物にどんな影響を与える?

根 菌根菌 根粒菌

菌根菌と植物が共生することによって、病気に対する耐性が付く、水分・養分の吸収が促進されるなど、有益な影響をもたらします。中でも、栄養分を吸収するために菌根菌はなくてはならないものです。

菌根菌は、土から取り入れた窒素、リン酸、カリウム、鉄などの無機栄養分を、植物が吸収しやすい形に変換します。特に、植物の開花・結実に大切なリン酸の代謝において、菌根菌の貢献度はとても高いものです。もともと、リン酸は土壌にあまり含まれず、拡散もしづらく、水に溶けにくい性質のため、植物にとっては吸収しにくい栄養素です。やせた乾燥地に生える植物なら、ただでさえ少ない栄養素を自分で集めるのは大変です。このとき、菌根菌をすまわせることによって、効率よく栄養を吸収していきます。その代わりとして、多くの植物は光合成で得た糖類やビタミン類を、菌根菌に提供して共生関係を保っています。

菌根菌の発生時期や条件は?

肥料 コンポスト 庭 腐葉土 堆肥

多くの菌根菌に共通する発生条件として、「栄養が多すぎないこと」が挙げられます。植物の中には栄養が多い土を好むものがたくさん見られますが、多すぎる肥料は害になります。ガーデニングの土作りで、腐葉土や堆肥など栄養分をほとんど含まない土を使用するのは、微生物の繁殖しやすい環境を整えるためなんですよ。

ただ、菌根菌は、少しの栄養と植物があれば徐々に増えていきますが、ガーデニングでふつうに使用される殺菌剤、殺虫剤、除草剤などで簡単に死んでしまうという脆さもあるので、それぞれをうまく活用していくことが大切です。

菌根菌をガーデニング資材として利用する方法は?

菌根菌は、以前から業務用の緑化資材として販売されていましたが、最近は家庭用で使える菌根菌入りの有機元肥料も見かけるようになりました。手頃なものでは600g入り1,000円前後で入手できるので、試してみるといいかもしれません。

ただ、菌根菌の場合、植物の根に着生しなければ生きていけないという弱点があり、基本的に「根圏(こんけん)」と呼ばれる根のまわりの部分にしか存在しません。菌根菌をガーデニングでうまく利用するには、植え替え時に根鉢の土をすべて落とさないこと、花壇の表土をすべて削り取ってしまわないようにしましょう。

根粒菌との違いは?

根 菌根菌 根粒菌

ガーデニングに登場する菌根菌と似た名前のものとして「根粒菌」があります。これらの違いは、根粒菌が細菌(バクテリア)であるということです。菌根菌などの菌類は、細菌が何十億年もかけて進化したもので、複雑な増殖方法をもつ多細胞生物に分類されます。一方、根粒菌を含む細菌の基本構造はシンプルで、分裂するだけで子孫を増やせる単細胞生物です。

菌根菌が陸上の植物の8〜9割に共生し、土の中から栄養分を吸収して植物に提供するのに対して、根粒菌は根に根粒を作り、空気中の窒素を取り込んで植物に提供します。主に根粒菌はエンドウ、ソラマメなどのマメ科の植物などにしか見られません。

菌根菌の働きを知ってガーデニングに活かそう

菌根菌 根

植物が生育するには、菌根菌の働きが欠かせません。菌根菌が上手に機能している土では、植物に病害虫が発生しにくくなり、温度差や乾燥の激しい環境でも耐えられるようになります。誰も手入れしないのに、山や森が豊かな生態系を持続させているのは、菌根菌などの微生物が豊富にすみついているからなんですね。植物を育てるとき、ほんの少し菌根菌の存在を意識すると、よりよい土作りの方向が見えてくるかもしれませんね。

更新日: 2016年03月10日

初回公開日: 2016年03月10日

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