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根粒菌とは?肥料になるの?菌根菌との違いは?

土の中にはたくさんの菌がいて、植物によい影響を与えるものと、そうでないものがいます。根粒菌は、植物の生育によい菌の1つで、よくマメ科の植物と共生しながら生きています。今回は、根粒菌とはどんな菌なのか、ガーデニングおけるメリットやデメリット、よく似た菌根菌との違いなどについてご紹介します。

根粒菌とは?肥料になるの?

根粒菌

根粒菌とは、エンドウやソラマメなどのマメ科植物の根に寄生することの多い菌のことです。見た目は丸い粒状で、植物の根っこにくっついて、栄養を与え合って生きています。別名「根粒バクテリア」とも呼ばれ、この小さなこぶの中にたくさんの根粒菌が住みついています。

メリット

肥料によって窒素成分を与える必要がなくなるのが根粒菌のメリットです。根粒菌は、植物が吸収できる形に変換した窒素を作り出せるので、根っこを通して植物へ窒素を送り、植物からは光合成で得た養分をもらっています。このように根粒菌は、植物の生長を促すので、よい影響を与える菌といえます。

窒素固定とは?根粒菌の力ってなに?

窒素固定とは、根粒菌が窒素を取り込んで、植物が根っこから吸収できる形へ変換する過程のことをいいます。窒素は、植物が生きるために不可欠なものですが、土の中の空気量は少なく、当然窒素も足りていません。そこで、菜園や栽培のときに窒素を含んだ肥料を与えるのです。つまり、根粒菌と共存する植物は、窒素成分には困らないということです。

根粒菌をガーデニングにうまく利用するには?

エダマメ

1. マメ科の植物を植える

根粒菌が好んで共存するマメ科の植物は、世界で18,000種も存在します。赤道直下や高山、砂漠など厳しい環境の中でも生長できるのは、マメ科の植物が根粒菌と共生しているからです。根粒菌が空気中の窒素をアンモニアに変えて植物に供給することで、肥料のないような痩せた土地でも育つことが可能になります。

この窒素を固定する力を、農業の現場では土を肥やすために昔から利用していました。畑や水田で、レンゲやクローバーを育てているのを見たことがありますよね?あれは、根粒菌の力を使って土を肥やそうとしているのです。マメ科の植物であるレンゲやクローバーを「緑肥」として育ててから刈り取り、地中へとすき込むことで、根粒菌が固定した窒素を土中に加えることができます。

2. 市販で購入する

培養土は、滅菌処理をされているので、根粒菌は存在しません。そのため、根粒菌を散布して利用するのが一般的です。もし、水田の土を近くの農家の方から分けてもらえるようなら、土に混ぜ込むのが最も手軽なやり方です。もしくは、1L分300円程度で根粒菌を購入することもできます。ただ、根粒菌は同じマメ科の植物でもレンゲにはレンゲの根粒菌、 ソラマメにはソラマメの根粒菌といったように対応した菌の種類があるので、注意が必要です。

根粒菌と菌根菌との違いは?

菌根菌 根

根粒菌と似たものに「菌根菌」というものがあります。菌根菌は、土の中のリン酸や窒素など、根粒菌よりも多種の無機栄養分を植物へ変換して与え、共存しています。そして宿主である植物からは光合成で作られたビタミン類などの有機栄養分を分けてもらっています。

菌根菌との大きな違いは、根粒菌が細菌で菌根菌は菌類だという点です。細菌は自分で細胞分裂を繰り返して数を増やしますが、菌類はキノコの仲間なので、菌糸といって白いカビのようなものを伸ばして新しい住みか(植物の根)を探して数を増やします。伸びた菌糸が、根っこだけでは届かない範囲の栄養素を吸収・変換し、菌糸を通じて植物へと運ばれるのです。

根粒菌を利用して植物によい土を作ろう

土作り 耕す 土壌改良

化学肥料にもアンモニアはありますが、それを作り出すには1000気圧、500度という高温のもとで窒素と水素の化学反応を起こさせる必要があります。根粒菌は、この反応を空気中の窒素からやってしまうのですから、自然の神秘を感じますよね。く根粒菌を利用して、ガーデニングを一層楽しんでみてください。

更新日: 2022年04月20日

初回公開日: 2016年04月04日

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