「羊の耳」という意味を持つラムズイヤー。株全体が白い毛で覆われ、楕円の葉っぱがかわいらしいシソ科の多年草です。この特徴と、地面をはうように茎を伸ばして生長することから、寄せ植えやグランドカバーによく利用されます。初夏からは、ピンク色の花を咲かせて違った雰囲気になることも魅力です。今回は、そんなラムズイヤーの育て方について、株分けの時期と方法などをご紹介します。
ラムズイヤーの栽培のポイントは?
風通しのよい場所に植え、夏にできるだけ暑さをしのぐことが長く育てるポイントです。黒海とカスピ海の間に挟まれたコーカサス地方からイランが原産で、涼しく乾燥した環境を好みます。日本の夏は高温で湿度が高く、特に梅雨時に枯らしてしまう人は少なくありません。土の水はけをよくしておくことが大切です。
ラムズイヤーの種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
3〜5月か9〜10月に種をまけますが、涼しい地域なら春に種をまくとよく育ちます。桜が散るころを目安に種をまくと失敗せずにすみますよ。
育苗ポットかジフィーポットに赤玉土(小粒)など清潔な土を入れ、中心に穴をあけて数粒種をまいていきます。その後は、土が乾かないよう水やりをして管理し、本葉が数枚出たら生育のよいものだけを残して間引きます。本葉が5~6枚くらいになったら、鉢や地面に植え替えます。
苗植え
4~5月か9~10月にラムズイヤーの苗を鉢か地面に植え付けていきます。鉢植えは、苗よりも1回り大きなものを選び、地植えは水はけと風通しのよい場所を選んで植えます。ポットいっぱいに苗の根が回っているようなら、少しほぐしてから植えると、根付きやすいですよ。
ラムズイヤーの土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
ラムズイヤーは、水はけのよい、中性~弱アルカリ性の土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小~中粒)7:腐葉土3の配合の土に苦土石灰を少し混ぜたものか、市販のハーブ用培養土を使います。
地植えは、植え場所の地面を植え付ける2週間前によく耕し、苦土石灰を混ぜ込んで土の酸性度合いを中和しておきます。そして、1週間前に堆肥や腐葉土をたっぷりと混ぜて水はけをよくします。
水やり
乾燥気味な環境を好むので、鉢植えは土が乾いてから水を与えます。地植えは、根付くまでの2週間は土が乾いたら水やりをしますが、その後は自然にまかせてしまってかまいません。
肥料の与え方
ラムズイヤーは、たくさんの肥料を必要としません。鉢植えは、植え付けるときにゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜておけば、その後は3~5月と9~10月に1回ずつ液体肥料を施せば十分です。地植えは、育ちが悪いときだけ、鉢植えと同じ時期に液体肥料を与えます。
ラムズイヤーの剪定の時期と方法は?
ラムズイヤーは、高温多湿を嫌うことを除けば生育旺盛で、根付くとこんもりクッションのように茂ります。花の時期が近づくと茎が上へとさらに伸び、80cmぐらいと草丈が高くなります。
ちょっと大きくなりすぎたなと感じたときは、3~5月と9~10月の間に茎の先をカットしたり、込み入ったところを間引くようにカットしたりすると、コンパクトに仕立てられます。また、花の後に草丈が1/2~1/3ほどになるよう切り戻すと、風通しがよくなります。
さらに、花を付けると株がエネルギーを使って弱るので、種を採取したいとき以外は咲く前に切り落とすとよいですよ。
ラムズイヤーの植え替えの時期と方法は?
生育に応じて、鉢植えやプランター植えは1~2年に1回、1回り大きな容器に植え替えます。地植えであっても、よく広がるので株分けを兼ねて2年に1回は植え替えをします。いずれの場合も、植え替えの手順や適期は、植え付け時と同じです。
ラムズイヤーの増やし方!挿し木や株分けの時期と方法は?
ラムズイヤーは、挿し木と株分けで数を増やすことができます。いずれも、生育がよい3~5月か9~10月が適期です。植え替えをするなら、株分けの方が効率的に数を増やしていけますよ。
挿し木
挿し木をするとき、春の早い時期だと伸びた新芽がまだ成熟していなくて枯れやすく、秋の遅い時期だと根付く前に冬になってしまい成果が思わしくありません。適期をきちんと守ることで、成功率が上がりますよ。
1. 茎を先端から5~10cmほどの長さで切る
2. 茎の先端に付いている葉っぱを3~5枚ほどの残し、他を切り落とす
3. 大きな葉っぱは半分ほどの大きさに切り、余分な蒸散を防ぐ
4. 30分ほど茎を水に浸け、切り口を斜めにカットする
5. 赤玉土(小粒)など清潔な土に茎を挿す
6. 土は乾燥しないよう水やりをして、直射日光の当たらない明るい日陰で管理する
7. 1ヶ月ほどで根が生え、本葉が数枚生えてきたら、根を切らないよう掘り上げて鉢や地面に植え替える
株分け
土から掘り上げ、それぞれの株に新根や茎が均等に付くよう地下茎を切り分けていきます。株は、鉢や地面に植え付けたら、通常通り管理していきます。
ラムズイヤーはグランドカバーに人気のハーブ
ラムズイヤーは、やわらかな手触りと、かわいらしい葉っぱや花を付けることが特徴です。シルバーリーフのテイストもあり、寄せ植えに加えると他の草花を引き立ててくれますよ。
また、マットのように広がって育つ性質から、やわらかなグランドカバーにもぴったり。風通しのよい環境さえ意識しておけば、病気や害虫の心配も少ない、育てやすい植物となっています。葉っぱは乾燥させるとよい香りを放つハーブでもあるので、自分好みの活用方法で、ラムズイヤーを楽しんでみてくださいね。
更新日: 2022年04月20日
初回公開日: 2016年03月16日