世界中で愛され、食べられているじゃがいも。日本人の食卓においても、カレーや肉じゃが、コロッケなど、欠かせない定番中の定番の野菜です。種類も大変豊富で、品種によって特徴や性質、料理でのおすすめの使い方など違うんですよ。今回は、そんなじゃがいもの品種別の特徴や味、見分け方などについてまとめてみました。
じゃがいも(馬鈴薯)の学名・原産国・英語
- 学名
- Solanum tuberosum
- 科・属名
- ナス科・ナス属
- 英名
- Potato
- 原産地
- 南アメリカ(アンデス山脈の高地)
- 収穫期
- 5~7月/11~12月
- 開花期
- 4~6月
- 花色
- 白、ピンク、紫
- 別名
- 馬鈴薯(バレイショ)
じゃがいも(馬鈴薯)とは?
じゃがいもとは、サラダやフライ、煮込み料理の具材と様々なレシピに加えられる、一般的な野菜の1つです。ナス科の植物で、春~夏の間に紫や白の美しい花を咲かせ、地中の根茎が野菜として食べられます。
元々、南アメリカのアンデス山脈の高地に自生しており、15~16世紀のインカ帝国の時代にヨーロッパへともたらされました。その後、その痩せた土地でも育ちやすいことや、デンプン質で栄養を豊富に含むことから、一般へと普及していきました。
日本へは、江戸時代に長崎の出島へともたらされ、ジャガタラ(ジャカルタ)産の芋だったことから、「ジャガタライモ」と呼ばれて広まっていきました。また、馬に付ける鈴の形に根茎が似ていることにちなんで「馬鈴薯」という別名でも知られます。
じゃがいもの選び方は?毒に注意?
1. ふっくらと丸みのあるものを選ぶ
表面に傷やしわが少なく、なめらかなものを選ぶことが失敗しないポイントです。でこぼこが多いものは、生育不良のものなので避けるようにしてください。
2. 料理に合った種類を選ぶ
男爵いもやキタアカリなどは、中ぐらいの大きさで、ずっしりと重いものであれば良品とされています。大きすぎると中心部が空洞化して水っぽくなります。ただ、メークインやホッカイコガネなどの種類は、多少大きなものでもかまいません、料理によってうまく使い分けるとよいですよ。
3. 緑色と芽が出ているじゃがいもは毒に注意する
ある程度貯蔵がききますが、日が経ってしまうと芽の周囲が緑色に変化します。光を浴びたものも同様で、芽も出やすくなってしまいます。
じゃがいもの芽にはソラニンという有毒物質が含まれています。ソラニンは、吐き気や下痢、嘔吐を引き起こす天然の毒素です。最悪の場合、死に至るほど危険な毒素なので注意が必要。
芽が生えていないものを避けるのはもちろんのこと、使う前に芽で見つけられる芽はしっかり取り除き、皮を厚くむきましょう。
じゃがいも(馬鈴薯)の種類10選
1. 男爵いも
じゃがいもの中で最も代表的な品種で、明治時代に導入され、日本でじゃがいもが普及するきっかけになりました。丸みがあってゴツゴツとした形をしているほか、芽の部分はやや深くくぼんでおり、皮がむきにくいのが難点。果肉は白くデンプン質で、加熱することでホクホクとした食感をしています。煮崩れしやすいので、コロッケやベイクドポテト、ポテトサラダ、マッシュポテト、粉ふきいもなど実がくずれてもよい料理におすすめです。
2. メークイン
イギリス原産のじゃがいもで、男爵いもと並んで日本で広く普及しています。基部を上にするとやや下が膨れた長楕円形をしており、実は曲がり気味になっています。芽やくぼみが少なく浅いため、皮をむきやすいのが特徴です。
果肉は男爵いもより淡黄色をしており、粘り気のある舌ざわりで甘味があります。低温で保存することで、より甘味が増してしっとりします。加熱することでなめらかな食感になるほか、煮崩れしにくいので、カレーやシチュー、ポトフ、煮物など静かにじっくりと味を染み込ませるような料理によく合います。
3. キタアカリ
キタアカリは、男爵いもの改良品種です。皮の色や形は男爵いもに似ていて、白っぽい黄色でややゴツゴツとした粗めの扁球形をしています。芽の部分にほんのりとした赤みが差しているのが男爵いもとの違い。さらに、芽は赤紫色をしているので、出てくるとより違いがわかりますよ。
果肉は少し黄色がかっており、肉質は粉質で男爵いもより甘味があります。加熱調理することで、ホクホクとした食感になりますよ。ビタミンCやカロテンが豊富で、甘く香りがよいため、じゃがバターやフライでシンプルに味わうのもよいですし、定番のコロッケやポテトサラダ、スープなどにも最適です。火の通りが早く、煮崩れしやすいので調理のときには気を付けてください。
4. インカのめざめ
インカのめざめは、1980年代に作られた比較的新しい品種です。アメリカ産の品種と南米アンデスの在来種を掛けあわせて作られました。皮は芽数が少なくなめらかで、黄褐色をしており、重さは平均50~70gと小ぶり卵形をしています。貴重種といわれるほど収量が少なく、幻のじゃがいもともいわれているんですよ。
皮むき後の変色もないので、調理後もきれいな色合いを活かせます。また、ショ糖の含有量が多いので甘味が強く、粘質で舌ざわりがとてもよいのが特徴。栗やナッツに似た濃厚な風味をもち、煮崩れしにくいのでポテトチップスやフライドポテトなどの揚げ物や炒め物にして自然な旨味を堪能してみてください。
5. インカのひとみ
インカのひとみは、インカのめざめの自然交雑実生でできた品種です。大きさはインカのめざめよりやや大きく、収穫量が多くなっています。皮は全体的に淡い赤色で倒卵形をしており、芽の周りが黄褐色でまだら模様が入ります。
果肉は黄色をしており、粘質でなめらかな舌ざわりです。加熱すると一層色濃く橙黄色になるので、カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮物に入れると食欲をそそります。
6. ホッカイコガネ
ホッカイコガネは、フライドポテトに最適化された品種です。主に加工用として使われますが、品質や味がよいことから生鮮品として「北海こがね」「黄金メーク」などの名前で流通しています。黄金にも見える淡い褐色の皮をしており、形は長い楕円形でメークインに近いです。
果肉は黄色~淡い黄色で調理後も変色せず、やや粘質でなめらかな舌ざわりをしています。クセの少ない味で煮崩れもほとんどありません。フレンチフライに最適ですが、煮物やサラダなど幅広く使えますよ。
7. とうや
北海道の洞爺湖にちなんで名付けられたとうやは、ビタミンCが豊富に含まれている反面、デンプンが少ないため低カロリーでヘルシーなじゃがいもです。球形~長球形の比較的大きめものが多く、皮は黄褐色で芽が浅いため、むきやすくなっています。
果肉は黄色くやや粘質ですが、デンプンが少ないので加熱してもホクホクにはなりません。クセのない味で煮崩れはしにくく、肉じゃがやポトフなどの煮込み料理に入れると、味がよく染み込みます。
8. シャドークイーン
シャドークイーンは、紫じゃがいもの3倍ほどとたくさんのアントシアニンを含みます。皮も中身も鮮やかな紫色の品種で、形は長い楕円形をしています。
果肉は加熱してもしっかり紫色が残り、調理後の変色もありません。この特徴を活かして、お菓子作りやポタージュ、ビシソワーズなど彩りを楽しめる料理ができますよ。
9. アンデスレッド
アンデスレッドは、岡山県や北海道で作られている品種で、「ネオデリッシャス」とも呼ばれるじゃがいもです。形は男爵いもに似ていますが、皮は赤く、果肉は濃い黄色をしています。
果肉はカロテンやビタミンCが豊富で、甘味のあるクリーミーな舌ざわり。加熱をすることで、ホクホクとした食感に仕上がり、煮崩れしやすいので、ベイクドポテトやコロッケ、ポテトサラダに利用するのがおすすめです。
10. 新じゃがいも
新じゃがいもとは、特定の品種ではなく男爵いもやキタアカリなどの春に出荷される掘りたてのじゃがいもの総称です。小ぶりで皮が薄く、そのまま食べることができます。水分が多く、みずみずしい味わいが楽しめますよ。
じゃがいもで料理に加えて楽しめる野菜
じゃがいもには、様々な種類と、それぞれ違った性質をもっています。熱に弱いデンプンを多く含む品種は、煮崩れがしやすいのでポテトサラダやコロッケなどに。反対にデンプンが少ない品種は煮崩れしにくいのでカレーや肉じゃが、煮物などに加えるとよいですよ。料理によってじゃがいもを替えると、こだわりも出せつつおいしいものが作れて、料理の腕が1段上がった感じがしますね。
更新日: 2022年07月06日
初回公開日: 2016年04月23日