種芋とは?食用じゃがいもとの違い、いい種芋の見分け方は?

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ジャガイモ
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その栄養価の高さから、フランスでは「ポム・ド・テール(大地のリンゴ)」と呼ばれているジャガイモ。一般的な野菜のように種や苗ではなく、「種芋」という種用の芋から育てます。わざわざ種用を買わなくても、食用でいいのでは…?と思ってしまいますが、これには実はちゃんとして理由があるんですよ。今回は、ジャガイモの種芋とは何か、良い種芋と悪い種芋の見分け方についてご紹介します。

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そもそも種芋とは?

 そもそも「種芋(たねいも)」とは、種のように“芽を出して新たに育てるための芋”のことです。簡単にいうと、食用芋ではなく繁殖させるための芋です。

じゃがいもの種芋を流通させるには厳しい検査が必要。

ジャガイモ

ジャガイモは種子ではなく、種芋を土に植えて育てます。

ただし、ジャガイモはウイルス病や細菌、害虫などにかかりやすく、病気に感染した芋を植えると、収穫量や品質が大きく落ちてしまいます。さらに、病原体が畑に広がるとほかの作物にも被害を及ぼす恐れがあり、薬剤による防除も難しいのが現実です。

そのため、農林水産省では植物防疫法に基づき、主要な生産道県の種芋生産者に対して「植物防疫官による厳格な検査」を義務づけています。検査を通過し、正式に「種芋」として認められるには、次のような条件を満たす必要があります。

  • 芋の内外に病気がないこと(無病性)
  • 品種特有の形質を備えていること(純系性)
  • 発芽力が十分にあること(生育力)
  • サイズが定められた規格内であること(規格性)

これらの基準をすべてクリアしたものだけが、「種芋」として流通を許されているのです。種芋検疫をクリアしたものは、植物防疫所発行の「種馬鈴しょ検査合格証」が添付されます。ジャガイモの種芋は、この合格証なしでは他人に譲り渡したり、道県外に持ち出したりはできません。

ジャガイモの種芋と食用芋の違いは?

 このように、じゃがいもの種芋の流通には厳しい検疫が義務付けられています。ところが、種芋と食用芋はプロでも見た目だけでは判断できないほど、見た目が似ているのです

そのため、食用芋を種芋と偽装した業者があとを絶たないことが問題になっていたりします。種芋を購入するときは、元箱に必ず貼付される合格証や、袋や箱に貼られた「検疫済み」のシールなどから、安全性を確認するようにすると安心です。

いいジャガイモの種芋の見分け方

一見どれも同じように見える種芋ですが、良いものと悪いものがあります。せっかく栽培するなら良い種芋を選びたいもの。そこで、以下に良い種芋と悪い種芋の特徴をまとめました。

1. ツルッとしていて、皮にハリがある

形がデコボコしておらず、皮にハリがあるものが良いとされています。これは野菜売り場で売られているジャガイモの選び方と同様です。表面がなめらかで傷やシミがなく、全体的に形がふっくらとしたものは充実した芋の証です。

2. 芽が分散している

ジャガイモには上下があって、芋の上半分に新芽が集中して出ます。下の部分に芽がなく、1ヶ所に小さな芽が密集しているよりも、2〜3ヶ所から太い芽が出ているものを選びましょう。

3. 休眠から目覚め、芽が2〜3個出ている

ジャガイモには「休眠期間」があり、この期間中はたとえ発芽条件が揃っても芽を出すことはありません。新芽が出ているということは、休眠から目覚めて生育の準備が整っているというサインです。種芋には、目が2~3個出ているものが適しています。

4. 芽が濃緑〜黒紫色をしている

ジャガイモは、しっかりした芽の数だけ大きな芋ができます。すでに発芽しているものは、新芽の色をチェックしてみてください。適切な管理の下、少しずつ緑化させた種芋からは濃緑〜黒紫色の丈夫な芽が出ています。

避けたほうがいい!状態の悪いジャガイモの種芋の見分け方

1. 皮にシワがある

ジャガイモは、内部の水分量が減ると表皮にシワがよります。シワの程度は品種や貯蔵期間にもよるため一概に悪いとはいえませんが、あまりにシワのよったものは保管状態が良くない可能性があるので避けた方が良いです。

2. 軽くてしぼんでいる

見るからにスカスカで、中身が詰まっていないような種芋は、発芽する力が弱く栽培に適しません。また、出荷までは生産農家できちんと管理されていたとしても、販売店の保管方法や管理が不十分だと品質が落ちることがあります。手に持ったときに、重みが感じられるものを選びましょう。



3. 芽が1ヶ所に集中している

ジャガイモは芽が1ヶ所のくぼみに集中すると、その部分からは貧弱な芽しか伸びなくなります。たくさん芽がついていても、細いものは芽かきで取り除くため、結果的に収穫量が減ってしまいます。

4. 芽が白っぽい

薄暗い倉庫などで発芽すると、日照不足で白っぽい芽が出てきます。芽が数ミリ程度なら光に当てれば濃い色になりますが、もやしのように長く徒長したものは避けてください。一度芽かきをして芽出しからやり直さなければならず、植え付けの適期を逃すことにつながります。



ジャガイモの種芋を見分けるのはむずかしい

じゃがいもの花 ジャガイモ 地植え

ジャガイモの栽培では、食用の芋を植えても上手く育たないことが多いです。加えて、種芋と食用芋の見た目もそっくりで見分けがつかないため、初心者は特に信頼できるお店で種芋を購入するか、苗植えから栽培するようにしましょう。

食用芋を植え付けて発生した病害虫が畑に広がると、ほかの人たちに迷惑をかけてしまう可能性もあります。自分の庭やベランダを守るためはもちろん、近隣に迷惑をかけない配慮をすることも大切です。

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