「唐(中国)から来たもろこし(きび)に似た植物」という意味で名付けられたトウモロコシ。もともとはアメリカ大陸が原産で、16世紀に日本へ渡ってきました。背が高く育つことから、栽培の難易度は高そうに見えますが、実はプランターでも育てられる家庭菜園向きの野菜なんです。日当たりのよい場所に植え付ければ、どんどん実を付けてくれますよ。今回は、そんなトウモロコシの栽培について、育て方のポイントや種まきの方法などをご紹介します。
トウモロコシ(玉蜀黍)の育て方のポイントは?
気温が高くなったら植え付ける、肥料をたくさん施す、株同士の間隔を近づけて受粉率を高める、人工授粉をするなどが、トウモロコシを元気に育ててたくさん収穫するコツです。
トウモロコシの生育適温は25~30度で、霜に当たると枯れてしまうので注意しましょう。また、トウモロコシの花粉は風によって運ばれるため、本数が少ないとその分受粉率も下がってしまいます。人工授粉をすることで収穫できる量が大きく変わってきますよ。
トウモロコシ(玉蜀黍)の種まきと苗植えの時期と方法は?
3月下旬~5月上旬がトウモロコシの種まきの適期です。育苗ポットで苗まで育てる方法と、プランターや畑に直まきすることもできます。種から育てると約90日後に収穫できます。
育苗ポットに種まき
- 3号ポットに種まき用の土を入れる
- ポットに1cmの深さの穴を3点指で空ける
- 穴に種の尖った方を下に向けて植える
- 発芽するまでは、土が乾かないよう水やりをする
- 発芽したら、土が乾いてから水やりをする
- 本葉が2~3枚になったら鉢や地面に植え替える
庭や畑へ直まき
幅60cmのプランターに2~3株が最終的に育てる株の目安です。地植えなら、幅75cm、高さ10~15cmの畝を作り、株同士の間隔は30~35cm空けます。そして、畝には2列に植え穴を作り、それぞれの穴に3粒ずつ種をまいていきます。草丈が15~20cmくらいになったら、それぞれの植え穴に1本ずつになるよう生育の遅く弱い苗を間引いてください。
苗植え
苗植えは、4月下旬~5月下旬です。植え穴を掘り、直まきと同じように株同士を30~35cm空けて、プランターや地面に植え付けていきます。
トウモロコシ(玉蜀黍)の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
トウモロコシは弱酸性の土を好みます。プランターで育てるなら、赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で混ぜた土へスプーン1杯の苦土石灰と化成肥料を加えて混ぜあわせたものか、市販の野菜用培養土を使ってください。
地植えは、日当たりと水はけのよい場所を選び、植え付ける2週間前に30cmくらい深めに土を耕します。そこへ1㎡当たりコップ1杯(100g)の苦土石灰を加えて混ぜたら1週間寝かせます。そして、化成肥料や堆肥を混ぜたら畝を立て種まきや苗植えをしていきます。
水やり
水やりは控えめでかまいません。鉢やプランターは土が乾いたら水を与えるようにします。地植えは乾燥が気になるときだけ水やりをします。
肥料の与え方
トウモロコシは肥料をたくさん必要とする野菜です。本葉が6~8枚で草丈が10~20cmになったときと、草丈が50cmほどに生長して雄穂(ゆうすい)が出たときの2回施していきます。野菜用の化成肥料を株の周りの土に混ぜ込み、それを株元に盛って土を寄せていきます。
株元に土寄せをすることで、株を支えられるだけでなく、水分を吸収する枝根から水分を十分に確保できるようになり、生育がよくなります。さらに、1回目の肥料のときに支柱を立てて支えておくと、倒伏を防ぐことができます。
トウモロコシ(玉蜀黍)の収穫の時期と方法は?
人工授粉
株の先端に雄穂が咲き、花粉が出たら株を揺らして雌穂(しすい)に受粉するようにします。このとき、一番上にある雌穂以外を全て摘み取ってから受粉させると、実が大きくなるだけでなく、アワノメイガなど害虫の発生を抑えることができますよ。
収穫
収穫を前に、余分な実が付いていたら、若いうちに摘果してしまいます。この実は、ヤングコーンとして芯まで食べられますよ。その後、実の先端にある線状のヒゲが茶色く色づいたら収穫のタイミングです。
頭の部分を少しだけめくって実入りを確かめます。粒が丸みを帯びていれば、実をしっかり持ってもぎ取っていきましょう。時間がたつにつれて糖度がどんどん下がっていくので、採れたてを茹でて食べるのがおすすめです。
トウモロコシ(玉蜀黍)の栽培で注意する病気や害虫は?
トウモロコシは、植え付ける環境さえきちんと整えてあげれば、病害虫の被害にあいにくい野菜です。特に最近は、病気に耐性のある品種がたくさん販売されていますよ。
ただ、実がまだ若いうちは、アワノメイガやアブラムシ類の被害にあうことも。特にアワノメイガは実を食べてしまうので、見つけたら早めに薬剤を散布して駆除していきましょう。また、防虫ネットなどを張って虫の飛来を防ぐことも大切です。
トウモロコシ(玉蜀黍)は栽培の簡単な甘い野菜
トウモロコシは、野菜の中ではカロリーは高めで糖質が主成分なことから、主食にしている国もあるほどです。また、収穫した瞬間の糖度が一番高く、採れたてをすぐに味わえるのも家庭菜園を楽しむうえでの醍醐味です。初心者でも肥料の量にさえ注意していればよいだけなので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。
更新日: 2021年09月15日
初回公開日: 2016年05月17日