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梨の育て方|栽培のコツや肥料、水やりは?難易度は高い?

梨は、日本で最も古くから栽培されている果物の1つといわれています。決して育てやすいフルーツではありませんが、雪のような白い花と水分たっぷりの実は、手間をかけても楽しみたい不思議な魅力をもっています。今回は、そんな梨の栽培について、育て方のポイントや剪定の方法などをご紹介します。

梨の育て方のポイントは?

受粉しやすい品種を選んで2品種以上の木を植え、花が咲いたら人工受粉をすると確実に収穫できるようになります。梨の品種のほとんどは、1本では実を付けない「自家不和合性」なので、果実を収穫するなら品種以上を近くで育てる必要があります。

また、「他家不和合性」という組み合わせによっては他の品種であっても授粉しないので、品種は慎重に選んでください。例えば、「豊水」と「幸水」は相性のよい組み合わせですが、「豊水」と「新高」では結実しません。また、受粉は虫を介して自然に行ってもよいのですが、確実に実を付けさせるには人工授粉をしていきます。

梨の苗植えの時期と方法は?

苗植えの適期は、葉っぱが枯れ落ちている12月か3月頃です。販売されている接ぎ木の苗木は、接ぎ目が目立たず、芽の間隔が狭く細根の多いものを選びます。接ぎ目がこぶになっているものや、樹皮がめくれたものはうまく育たないことがあります。

鉢植え

7~10号(直径21~30cmほど)の浅めの鉢に苗木1本が植え付けの目安です。肥料を混ぜた土と、混ぜていない土を準備しておきます。

  1. 鉢の底にゴロ土を敷く
  2. 肥料を混ぜた土を鉢の1/4ほど入れる
  3. 肥料を混ぜていない土を1/4ほど入れる
  4. 苗を鉢の中心に置き、残りの土を鉢の9分目まで入れる
  5. たっぷりと水やりをする
  6. 接ぎ木部分から30cm上のところで苗を水平に切る

地植え

  1. 日当たりのよい場所を選ぶ
  2. 直径と深さが50cmほどの穴を掘る
  3. 1/3ほどの土に肥料を混ぜ、埋め戻す
  4. 上から肥料を混ぜていない土を軽く重ねる
  5. 苗を置き、周りに土を入れて安定させる
  6. たっぷりと水やりをする
  7. 接ぎ木部分から50cm上のところで幹を切る

梨(ナシ)の土作り、水やり、肥料の与え方

土作り

梨は水はけのよい土を好みます。鉢植えは赤玉土(大粒)5:腐葉土4:砂1の割合で混ぜた土がおすすめです。地植えは、掘りあげた庭土に対して、腐葉土を3割、赤玉土(小粒)を2割混ぜてよく耕します。

水やり

鉢植えは土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。地植えは、日照りなどよほどのことがないかぎり、雨の水だけで十分育ちます。夏には毎日たっぷりと水をやり、収穫が近づいたら控えめにするのが甘い実を作るポイントです。

肥料

鉢植えは、植えるときに土へ粒状のゆっくりと効く緩効性化成肥料を施し、その後2ヶ月おきに同じ肥料を追加で与えていきます。

地植えは、1株あたり植えるときに粒状肥料を土に混ぜたら、3月と収穫後の9~10月に、それぞれ1同じ肥料を追加します。

梨の植え替えの時期と方法は?

植え替えの時期は11~3月頃です。鉢に植えてから4年ほど経ったら、古い根を1/3程度切り詰めて、新しい土を入れた一回り大きな鉢に植え替えます。

梨の支柱立ての時期と方法は?

梨は水平に枝を伸ばすようにすると、実の付きやすい10cm以下の短い枝が出やすくなります。植えるときに支柱を植えたり、棚を組んだりして、新しく伸びてきた枝は基部が開くようにして枝先を固定します。

新しい枝を上に伸ばすと生長に影響するので、5~7月に伸びたものは早めに支柱や棚に固定してください。

梨の剪定の時期と方法は?

剪定の適期は、葉っぱが枯れ落ちている12~2月頃です。前の年に伸びたよい枝や10cm以下の短い枝は残し、伸びすぎた枝や混み合った枝を、先端から2~3芽のところで切ってきます。剪定をした後は、枝の切り口に保護剤を塗っておくと病気にかかる心配が少なくすみます。

梨の人工授粉の時期と方法は?

梨は、虫が花粉を付けて花を飛び回ることで授粉します。しかし、都心部など虫の少ないところでは授粉しづらいので、人工授粉で確実に実を付けるようにします。花が開いたら、晴れた日の朝に花粉の付いた花を摘み取り、柱頭に軽くこすりつける作業を数日おきに繰り返し行っていきます。

梨の摘果の時期と方法は?

梨の木に付いた実を全て大きくしてしまうと、株の栄養が奪われて弱ってしまいます。そのため、摘果をして株の栄養を温存していきます。

実がビー玉くらいの大きさになったら、1回目の摘果のタイミング。1花房あたり実が1つになるように小さな実や奇形の実を手で摘み取ります。2回目は実がピンポン玉くらいの大きさになった頃、葉25~30枚あたり1果を残してほかの実を摘み取ります。2回目の摘果後は、果実の傷や病害虫の被害を防ぐために、実に袋かけをしてください。

鉢植えは、鉢の約3倍に木の高さを抑え、1株あたり2~3個を目安に最終的に実を残します。

梨の収穫の時期と方法は?

適期になると実を支える軸が外れやすくなり、持ち上げるだけで簡単に収穫できるようになります。
熟した和梨は、新聞紙に包むかポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存すると長く保存しえ楽しめますよ。

梨(ナシ)の増やし方!接ぎ木の時期と方法は?

梨は、3月下旬~4月頃に接ぎ木で数を増やします。台木の切り込みに皮を削った枝を差し込み、接ぎ木用テープを巻きつけてしっかりと固定します。乾燥させないように上からポリ袋をかぶせ、芽が出てきたら袋を取り除いて育てていきます。

梨の育て方で注意する病気や害虫は?

黒斑病や黒星病、赤星病といった病気と、アブラムシやカイガラムシなどの害虫の被害にあいます。病気は、暖かく湿度の高い環境で発生しやすいので、株が蒸れないよう剪定をして、予防として殺菌剤を散布するとよいですよ。害虫は、見つけたらすぐに殺虫剤を散布して駆除していきます。

梨の栽培には害虫の予防が大切

梨 ナシ

梨は病害虫の多い果樹なので、家庭での栽培も予備知識を入れてから栽培にチャレンジした方が安心です。難しいだけに思い入れも自然と強くなりますから、じっくり付き合っていく楽しみもあります。手軽なガーデニングに物足りなさを感じている方や、家庭果樹の上級者におすすめです。

更新日: 2020年04月02日

初回公開日: 2016年07月26日

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