甘くみずみずしい実をつける桃は、夏に収穫できる人気の果樹です。自宅でも栽培することができますが、おいしい実がつくぶん、病害虫がつきやすく、こまめな管理が大切になります。今回は、そんな桃の木の育て方について、栽培のポイントなどをご紹介します。
桃の木とは?簡単に育てられるの?
桃の木は病害虫がつきやすく育てるのは簡単ではありませんが、手間をかけた桃の木に実ができたときはきっと嬉しいことでしょう。
栽培のポイントは品種を選ぶことと日当たりのよい場所で育てること。桃は品種によって1本の木で受粉するものと、人工授粉が必要なものに分かれます。また、実が熟れる時期が品種によって異なり、梅雨明けから成熟する晩生種は、味がよいぶん病害虫の被害が比較的出やすいです。
はじめて育てるなら、「ひめこなつ」「ちよひめ」「ちよまる」「武井白鳳」「大久保」など6~7月の早い時期に実をつける品種がおすすめです。また、夏はたっぷり日に当てると実つきがよくなりますよ。
桃の木を育てる準備!土づくりの方法は?
水はけと水もちのバランスがよい土を好みます。
鉢植えは、赤玉土(小粒)7~8:腐葉土3~4の割合で混ぜた土か、赤玉土(中粒)3:腐葉土3:川砂2:バーク堆肥2の割合で混ぜた土がおすすめです。市販の果樹用培養土を使ってもかまいません。
桃の苗植えの時期と方法は?
11~3月が苗の植え付けの適期です。鉢植えは、生育が早いことを考えて、10号鉢に植え付けていきましょう。
そして、日当たりのよい屋外で管理します。植え付けるときは苗木を地面から80~90cmの高さで切り詰め、倒れないよう横から支柱で支えましょう。
桃の木の育て方!水や肥料の与え方は?
水やり
鉢植えは、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。
肥料の与え方
植え付けるとき、土にゆっくりと効く緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。その後、鉢植えは2~3月と10~12月の2回、堆肥などの有機質肥料か、速効性化成肥料を与えます。
桃の木の手入れ!受粉、剪定、袋がけの時期と方法は?
1. 受粉
桃の木には、花粉をたくさんつけるものと、そうでないものがあります。花粉の少ない品種は、人工授粉をして実つきをよくしていきます。また、鉢植えは花数が少ないので、人口受粉がおすすめです。
3~4月頃、6~7割ほど花が咲いたら、雄花を摘み取り、綿棒などに花粉をつけて雌花につけていきます。先に摘蕾をすませておくと、受粉する花の数が少なくすみますよ。
2. 摘蕾と摘果
摘蕾(つぼみを間引くこと)と摘果(果実を間引くこと)によって数を厳選し、おいしい実を収穫できるようにします。
摘蕾は花が咲きはじめる前の2月下旬~4月中旬に、枝の先端の方についた蕾をやさしく摘み取っていきましょう。そして、5~7月に、1本の枝に1~2個実がなるよう、若い実をもぎ取っていきます。
3. 袋がけ
病害虫から実を守るため、摘果で残した実に袋をかけておきます。袋ははずれないよう、枝にしっかりと結びつけてください。
4. 剪定
桃の木は、若い枝に実をつける性質があります。そのため、夏の生育期に枝がよく伸びるよう、12~2月に枝を剪定し、日当たりと風通しをよくしておきます。
樹形がY字になるように仕立て、枝の先端や古い枝、余計な枝を切り落としていきましょう。若い枝は切り取らないよう、注意してください。
桃の木の収穫の時期と方法は?
品種によって収穫の適期は異なりますが、5~8月に赤く熟した実を収穫していきます。実が少し赤くなってきたら、袋を外し、1週間ほど日光に当てると実の色がよくなります。
完全に緑色の部分がなくなり、耳たぶほどの柔らかさになったら、収穫のタイミングです。
桃の木の植え替えの時期と方法は?
桃は生育がよく、鉢の中はすぐに根が回ってしまいます。2~3年に1回、11~3月に1回り大きな鉢に植え替えをしてください。手順は、植え付け時と同じです。
桃の木の増やし方!種まきや接ぎ木の時期と方法は?
桃は、種まきか接ぎ木で種を増やすことができます。接ぎ木は、種から育てた苗を使うと、成功しやすいですよ。適期は、2~3月か、9月です。
1. 増やした枝を10~15cmの長さに切り落とす
2. 枝の切り口を斜めに切り落とす
3. 台木の幹の側面に深さ8cmほどの切れ込みを斜めに入れる
4. 台木と増やしたい枝の断面を合わせて、接ぎ木テープで固定する
桃の木の栽培のポイントは?
品種選びと日当たりのよい場所で育てることが栽培のポイントです。桃は品種によって1本の木で受粉するものと、人工授粉が必要なものがあります。また、実が熟れる時期が品種によって異なり、梅雨明けから成熟する晩生種は、味がよいぶん病害虫の被害にあいやすい傾向にあります。
はじめて育てるなら、「ひめこなつ」「ちよひめ」「ちよまる」「武井白鳳」「大久保」など6~7月の早い時期に実をつける品種がおすすめです。また、地植え、鉢植えともに夏はたっぷり日に当てると実つきがよくなりますよ。
桃の木の栽培で注意する病気や害虫は?
モモ縮葉病
雨が多く低温が続くと発生しやすい病気で、葉っぱや実、枝が縮れてしまいます。この病気は、発芽してすぐの葉に寄生することが多いので、発芽前に薬剤を芽の周りにかけて予防しましょう。
病気にかかった部分は回復しないので、切り取って処分します。
灰星病
収穫の2~3週前から発生する病気で、実の表面が丸く褐色に変色します。
発生から2~3日で全体に病気が広がり、株を枯らす恐れがあるので、早めに病気にかかった実を処分しましょう。また、薬剤を散布して拡大を防ぎます。
アブラムシ
5~7月にかけて発生しやすい害虫で、株の栄養を吸い取って弱らせます。見つけたら殺虫剤をまいて駆除するか、ガムテープなどで株から引きはがしてください。
モモハモグリガ
体調3mmほどの蛾の幼虫で、葉っぱの内部に渦巻状の道を作り、食害します。実をとった後の秋に発生しやすく、どんどん同じ株で繁殖するので、定期的に薬剤を散布して防除していきます。
カイガラムシ
幹や葉、花などに寄生する害虫で、成虫になると薬剤が効きづらくなります。幼虫のうちは殺虫剤で駆除できますが、成虫はブラシなどを使って枝や幹からこすり落としましょう。
ハダニ
葉の裏に寄生し、白くかすり状の傷をつける害虫です。水に弱いので、葉っぱの表裏に霧吹きで水を吹きかけると予防できます。大量に発生したときは、薬剤で駆除してもかまいません。
桃の木の栽培は日当たりのよい場所で行おう
せっかく栽培するのなら、おいしい桃の実を食べたいもの。収穫した実は、スイーツやドリンクなど、色々なアレンジをして楽しむことができます。また、収穫期が近くなると、木の周りが甘い香りで包まれるのもうれしいポイントです。
果樹としては手間がかかる方ですが、そのぶん1年を通して花や実など満喫できるものが多いので、栽培していると高い満足感が得られますよ。
更新日: 2022年12月14日
初回公開日: 2015年12月18日