強い香りをはなつヤマユリは、日本を原産とするユリの1種です。お店でよくみかけるカサブランカのの交配親として知られています。また、そのほかにもたくさんの園芸品種を生み出すために使われてきました。今回は、そんなヤマユリの花言葉と育て方、球根を植える季節や方法などについてご紹介していきます。
まず知っておきたい!ヤマユリとはどんな植物?
- 学名
- Lilium auratum
- 科・属名
- ユリ科・ユリ属
- 英名
- Gold banded lily
- 原産地
- 日本
- 開花期
- 7〜8月
- 花の色
- 白
- 別名
- 鳳来寺百合(ホウライジユリ)
叡山百合(エイザンユリ)
吉野百合(ヨシノユリ)
白百合(シロユリ)
ヤマユリとは、日本を原産とするユリの1つです。球根が「ユリ根」として食べられることでも有名で、国内では中部地方から北の平地や山地に自生しています。
ヤマユリの花や花言葉の意味は?
『荘厳』『甘美』
ヤマユリは、数あるユリの中でも「ユリの女王」と呼ばれています。その大きく美しい花の姿から、「荘厳」という花言葉が生まれました。
ヤマユリの背丈は1〜2mと高く、笹のように細い葉っぱを茎にたくさん生やします。7〜8月には、直径20cm以上、小さな赤や黄色の斑点が入った花を1〜10輪咲かせます。
開花した花から甘く強い香りがただようのも、ヤマユリの特徴です。
ヤマユリを自宅で育てよう!まず準備するものは?
- ヤマユリの球根
- 底にたくさん穴の開いている深鉢
- 鉢底石か軽石
- 市販のユリ専用土
ヤマユリの球根は、水はけのよい環境を好みます。水はけのよい土と、底に穴が開いている植木鉢を用意しましょう。植木鉢は、菊鉢のように深さのあるタイプがおすすめ。
土は、市販のユリ専用土を準備しましょう。市販の土であれば、手間をかけずに育成を始められます。
ヤマユリの育て方!球根を植える季節や方法は?
ヤマユリの球根は、2〜3月に以下の手順で植えていきます。
- 鉢の底に軽石や鉢底石を敷き詰める
- 2〜3cmほど土を入れる
- 土の表面から球根3つ分の深さのところい球根を植える
- 周りに土を足す
- たっぷりと水やりをする
ヤマユリの球根を植えたらどこで育てる?
ヤマユリは落葉樹の下などに自生していることが多いので、それと近い環境で栽培することが大切です。鉢植えは、午前中だけ日なたになる場所で育てるのが最適です。
ただ、夏の直射日光と冬の冷たい風が苦手です。7〜9月の間は日光を遮れるよう、屋外で育てるときは30〜50%遮光できる寒冷紗や遮光ネットをかぶせてあげてください。
冬は、室内に鉢を移動するのも1つの方法です。
ヤマユリのお手入れ!水やりや追加の肥料の与え方、支柱の立て方は?
ヤマユリは、球根を植えて日光を浴びせ、水や肥料を与えればどんどん大きくなります。最終的には、1m以上に生長することも。大きくなる前に支柱を立てて、倒れないように支えてあげましょう。
水やりのタイミングや注意点は?
ヤマユリは鉢の土の表面が乾いたら水やりをします。鉢の底から水が流れ出るくらい、たっぷり与えてください。また、土が湿っている間に水やりをすると、球根が腐ってしまうので注意が必要です。
追加で与える肥料の量とタイミングは?
ヤマユリは、芽が出る4〜5月と梅雨明けの6月にそれぞれ追加で肥料を与えます。緩行性化成肥料を一握り(5g)ほど土に混ぜるか、固形肥料を土の上に置きましょう。
花が咲いてから9月までは、リン酸とカリウムが多めに含まれた液体肥料を薄め、7〜10日に1回水やり代わりに与えて球根を太らせます。
支柱の立て方は?
新芽が生えはじめる5〜6月に支柱をたてます。球根が傷つかないよう、株元から10cmほど離れたところに1〜1.5mの支柱を立てます。
茎が生長してきたら、支柱をゆるく8の字に麻ひもで数か所くくりつけます。
ヤマユリの育て方で注意する病気や害虫は?
ヤマユリの栽培中に注意するのは、ウイルス病とアブラムシの2つです。ウイルス病は、感染すると治らず、他の球根にも感染が広がる恐れがあります。
葉っぱにモザイク状の病変があらわれたら、株を抜き取って土ごと処分してください。アブラムシは、新芽や茎につく害虫です。蒸れた環境が好きなので、風通しのよい場所で育て、過剰な水やりは避けましょう。
発生したときは、すぐに薬剤を散布して駆除してください。そのまま放っておくと、ウイルス病を招く原因にもなるので、早めに退治していきましょう。
ヤマユリに剪定は必要?
ヤマユリの枯れた花をそのままにしておくと、種がつきます。種を育てるために球根の栄養が奪われてしまうので、採取する時以外は枯れた花を摘み取ってしまいましょう。
このとき、葉っぱは剪定せずに全て残しておきます。これで葉っぱは光合成を続け、球根に栄養が補給されます。
1〜2年に1回はヤマユリを植え替えよう
ヤマユリは生育旺盛なので、1〜2年に1回、2〜3月に一回り大きな鉢へ植え替えます。植え替えで準備するのは、はじめて球根を植えるときに準備したものと同じです。
ただ、球根は乾燥に弱いので、土から取り出したらすばやく植え替えてあげましょう。1mを越す株は鉢だと倒れやすくなるので、大きく育ったものは地植えに切り替えてもかまいません。
ヤマユリをもっと楽しもう!種まきや分球などの増やし方は?
ヤマユリには、種まき、分球、木子、鱗片刺しの4通りの方法で数を増やすことができます。いかにそれぞれの方法を詳しくご紹介します。
種まき
枯れた花をそのままにしておくと、果実ができ、10〜11月に種を採取することができます。そのまま、鉢植えで使った土を準備して、重なり合わないようまいていきましょう。
- 土に種をまく
- うっすら土をかぶせてたっぷりと水やりをする
- 表面に新聞紙をしく
- 土が乾かないように水やりを定期的に続けながら管理する
- 1〜2年で発芽し、5年ほどで花が咲く球根に生長する
分球
植え替えで掘り上げた球根に2つ以上芽が生えていたら、分球で数を増やすことができます。それぞれに芽がつくよう、手やナイフで球根を切り分けたら、それぞれを新しい土に植えて育てていきましょう。
切り離したあと、ベントレー水和剤などを吹きかけて、殺菌しておくと病気への感染を予防できます。
鱗片刺し(りんぺんざし)
大きく生長した球根であれば、花が咲いて1ヶ月から9月まで鱗片刺しを行えます。
- 球根を掘り上げる
- よく水洗いし、消毒液に30分ほど浸ける
- 球根の鱗片を1枚ずつはがしていく
- 2/3ほどが土に埋まるよう、鱗片を湿らせたバーミキュライトに植える
- たっぷりと水を与え、半日陰に置く
- 土が乾かないよう水やりをして管理する
- 土から鱗片が押し上げられているなら、バーミキュライトを足す
- 芽が出て4〜5年ほど育て続けると花を咲かせる
木子(きご)
球根を掘り上げたタイミングで、地中の茎に小さな球根がついていることがあります。これが木子です。それぞれを球根を植える時とおなじ要領で、土に植えていきましょう。
すると、2〜3年で花を咲かせるようになります。
ヤマユリは庭に植えて育てられるの?
ヤマユリは日本原産なことから、庭に植えても問題なく育ちます。落葉樹の下など、適度に日当たりの確保できる風通しのよい場所を選んで植えてください。
- 直径と深さ30cmほどの植え穴を掘る
- 掘り上げた土にたっぷりと腐葉土を混ぜ合わせる
- 球根3つ分の深さに調節しながら球根を植える
- たっぷりと水やりをする
- 4〜5月と6月、葉がな咲いた後〜9月まで鉢植えと同じ肥料を与える
- 新芽が生える5〜6月に支柱を立てる
- 咲いた花は摘み取る
- 3〜4年に1回、違う場所に植え替える
育て方が簡単なヤマユリで山野草に慣れよう
栽培が難しそうなヤマユリ。実際は、ウイルス病などにさえ注意していれば、それほど栽培は難しくありません。一度花を咲かせれば、甘く濃厚の香りを放つ花を毎年咲かせるようになります。ぜひ、おうちの中やベランダでヤマユリの花を咲かせてみてください。
更新日: 2021年08月11日
初回公開日: 2016年12月09日