オオベンケイソウとも呼ばれる植物・ベンケイソウは、小さな花をたくさん咲かせるのが特徴です。なかには、日本に自生する品種もあります。日本の寒さにも強いので、屋外での越冬も可能です。今回はベンケイソウの育て方について、育て方の注意点なども含めてご紹介します。
ベンケイソウとは?
多肉植物のベンケイソウは、もともと日本で自生していた植物。しかし現在は「オオベンケイソウ」と呼ばれる品種を指すのが一般的です。この品種は中国から入ってきたもので、ピンク色をした小さな花の塊をたくさんつけます。
寒さにも強く、とても丈夫なので、初めて多肉植物を育てる人にもおすすめです。冬になると地上に顔を出していた部分は枯れてしまいますが、根は生きているので春になると再び芽を出します。
ベンケイソウの特徴は?花の色は?
科名 | ベンケイソウ科 |
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属名 | ムラサキベンケイソウ属 |
学名 | Crassulaceae |
花の色 | 赤、ピンク |
開花時期 | 7月〜11月 | 別名 | オオベンケイソウ |
原産地 | 中国・日本 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
草丈 | ~60cm |
ベンケイソウの育て方!土づくりのコツは?
ベンケイソウは多肉植物なので、水はけの良い土を好みます。市販の多肉植物用培養土で充分です。自分で土づくりするなら、赤玉土をベースに6割ほど用意し、そこへ腐葉土3割、くん炭やパーライトなどを1割加えます。
土はいろんな種類があるので、栽培環境や育て方に合わせて、オリジナルのブレンドを見つけてみてください。
土づくりのコツは、土の微塵をしっかり取り除くことです。微塵を残したままにすると、良い土の比率であっても水はけが悪くなります。微塵の取り方は、園芸用ふるいに土を適量入れ、しっかりふるうだけ。
これをやるのとやらないのとでは、土の環境がかなり変わります。特に自分で土を配合する際は、忘れずに行うようにしましょう。
ベンケイソウの育て方!日当たりや置き場所は?
ベンケイソウの置き場所は、日のあたる場所を選びます。しかし夏は暑すぎるので、半日陰や遮光するといった工夫が必要です。
冬場は霜のかからない所(軒下)へ移動させます。寒さは平気な植物なので、地植え・鉢植えともに屋外管理で問題ありません。
梅雨の季節は、雨が当たらない場所や風通しの良いところにおくほうが良いでしょう。長雨に当たると土がいつまでも乾かず、多肉植物が嫌いな環境になってしまうからです。
ベンケイソウの育て方!水やりのコツは?
ベンケイソウの水やりのコツを、夏と冬それぞれの季節ごとに解説します。
夏
夏の水やりは、午前中や夕方以降の比較的涼しい時間帯に与えます。太陽がかんかん照りのような、気温の高い時間帯に水やりすると、水分を吸収するよりも根が蒸れる可能性が高いです。
水を与える頻度も、月に1回から2回に減らします。春や秋は土が乾いたらたっぷりで問題ありません。ベンケイソウは春と秋に成長期を迎え、夏は半休眠、冬は休眠する植物。夏にたくさん水を与えても、あまり水を吸わないので注意しましょう。
冬
冬は休眠期なので水やりはほとんど必要ありません。どうしても与えるなら、月に1回程度、軽くで大丈夫です。
しかし与えるときに注意点があります。いくらベンケイソウが寒さに強い多肉植物だからといって、寒い日に水やりするのはおすすめしません。育てている地域によっては根が凍ったり傷んだりする場合もあるからです。
冬場に水やりするときは、まず暖かい日が3~4日続くか、天気予報を確認します。天気が大丈夫そうだと判断したら、比較的気温が高い午前中に水やりしましょう。このとき葉に水はかけず、土へ水差しで与えるか、底面吸収で与えるようにしましょう。
ベンケイソウの育て方!肥料の与え方は?
Photo by C*A-gardenさん@GreenSnap
ベンケイソウに肥料は、基本的に必要はありません。しかし与えたほうが栄養をしっかり取り込めるため、丈夫に大きく育ちます。
肥料を与えるときは、効きめがゆっくり出る固形肥料を根の端のほうに置きます。株の近くに置くよりも、端の根のほうが溶けた肥料をすぐ吸収できるからです。与える頻度は使用した肥料の取り扱い方に従ってください。
一般的な目安は、2ヶ月に1回程度。また肥料を与えるのに適した季節は、春と秋です。
すぐに効きめがある液体肥料は、夏場に少しだけ与えると株が暑さで弱るのを抑えられます。夏の反対、冬は休眠しているため必要ありません。
ベンケイソウの育て方!注意すべき病害虫と対策法は?
気をつけたい害虫はケムシで、植物につくとむしゃむしゃ葉や茎を食べてしまいます。鉢植えではほとんど被害に合いません。しかし地植えの場合はどうしても被害に合いやすいので、定期的に薬剤噴射や虫がついていないか毎日チェックするといいでしょう。
ベンケイソウの植え替え方法は?
鉢植えで育てている場合、根詰まりを防ぐために年に1回程度のペースで植え替えるのが望ましいです。植え替えの詳しい手順は以下のとおり。
鉢植えの場合の植え替え方法
- 鉢から株を取り出す
- 古くなった根と土を落とし、育ちすぎている場合は適当に根を整理する
- 植え替え用の新しい鉢に用土を少し入れる
- オルトランDXとゆっくり効く肥料を適量追加する
- 土を少しかぶせて、1で抜いた株を鉢へ入れて植えつける
- 土をかけて、最後に鉢を両手で持ち軽くトントンと土を落ち着かせたら完了
このとき、土を手で押し付けたりしないようにするのがポイントです。
地植えの場合の植え替え方法
- 株が入る深さに土を掘り、新しい用土に殺虫剤と肥料を加える
- 少し土を足し、根に直接薬剤が触らないようにする
- 最後に株を植えつければ完了
植え替えをする適期は春と秋です。
ベンケイソウの増やし方は?
ベンケイソウの増やし方は、挿し木と株分けです。葉挿しでもできますが、大きく育つまでとても時間がかかります。時期は春と秋。そのため、手軽にできる挿し木や株分けの方がおすすめです。
挿し木の方法
- 葉を数枚つけた状態で茎を切る
- 切り口を乾燥させながら、根が出るまで日陰~半日陰で管理する
- 根が出たら土へ植えれば完了
まず切り口を乾燥させるのは、切り口からばい菌が入らないようにするためです。多肉植物の挿し木は花や観葉植物のように茎を切ったら水につけるといった作業は必要ありません。強い日には当てずに、適度な日陰~半日陰で管理しましょう。
株分けはある程度子株が大きく育ったら、丁寧に親株から引き離して土に植えれば大丈夫です。
ベンケイソウの育て方で注意すべきポイントは?
ベンケイソウの育て方で、注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 春と秋冬は日が当たる場所で育てる
- 風通しの良い場所かどうかも重視する
- 雨や霜を避けるため、屋根のある棚や軒下で管理する
- 水やりは春・秋に土が乾いたらたっぷり
- 夏は月に1~2回涼しい時間帯に与える
- 冬は月に1回比較的暖かい日に与える
- 肥料は春・秋は固形肥料で夏は液体肥料
- 葉と葉が密集しないように適度に切り戻すのもあり
- 害虫対策として定期的な薬剤噴射を行う
- 根詰まりしないように植え替えも忘れずに
ベンケイソウの種類
ベンケイソウの種類はたくさんの種類が存在します。そのなかで、オオベンケイソウの園芸品種は、オータムジョイ。春になるとお店でよく販売されています。また、ミセバヤもベンケイソウの仲間です。オータムジョイは赤みよりのピンクですが、ミセバヤは青みよりのピンクの花を咲かせます。
ベンケイソウを育ててみよう
ベンケイソウは冬も屋外で問題なく育てられる植物です。育てていて特に注意が必要なのは夏や梅雨の頃。この時期は湿度の高さを意識して、適切な置き場で管理してください。冬になると表面に出ている葉が枯れますが、暖かくなれば新しい芽を出すので、のんびり観察しながら育ててみましょう。
更新日: 2020年06月27日
初回公開日: 2020年02月27日