「水やり3年」という言葉があるように、ガーデニングの基本であり、マスターするまでに3年かかるといわれるほど奥の深い水やり。
また、水やりの説明を読んでいて、「灌水」という聞き慣れない言葉も出てきて混乱することも。ただ、言い換えると水やりのコツをつかむことで、植物を元気に育てることができるんですよ。
今回は、灌水とは何か、春夏秋冬の水やりや葉水のコツについてまとめました。
水やりする前に知っておきたい!植物の仕組みは?
植物は、根から水分や酸素、栄養を体内に取り込んで生長しています。水不足になると植物は枯れ、与え過ぎると根腐れを起こします。
根腐れは酸素不足のことで、根が十分に呼吸できていないことを表します。土と水の隙間がないと根が呼吸できなくなるため、粒状の石や土を入れて、空気が入り込む適度な隙間を土の中に作ることが土作りでは大切になります。
植物の大きさや種類、生育スペース、日の当たり具合、土質、気温などによって、水やりの頻度は異なります。お住まいの地域の環境に合わせた水やりを心がけてください。
水やり・葉水とは?
「水やり」「灌水・潅水(かんすい)」
草花や花木など、植物に水を注ぐことを、「水やり」「灌水・潅水(かんすい)」といいます。水やりには、土の中に「水を与え、肥料を溶かして浸透させ、老廃物を洗い流し、空気を入れ替える」といった役割があります。
また、ジョウロや霧吹きによる葉水、ホースや自動スプリンクラーなど、水やりには様々な方法があります。
葉水
葉水とは、霧吹きで水を吹きかけることです。観葉植物などの葉っぱが大きな植物は、葉っぱがしおれやすいでの、水やりとは別に、葉水を毎日続けることで、きれいで元気な葉っぱを保つことができます。
葉水は、葉っぱに霧吹きで水を吹きかけることです。株のまわりの湿度を葉水によって上げることで、乾燥を防止し、生育を促すことができます。
また、葉っぱについたホコリや汚れを除去し、ハダニなど、防虫効果もあります。乾燥しやすい冬や、水不足に陥りやすい夏に行うとよいですよ。
水やりの基本!表面の土が乾燥してから
土の表面が乾燥したころになると、古い空気と水が残った状態になっているので、そのタイミングで水を十分に与え、古い空気と水を押し出し、新鮮な空気と水が補充されます。
水やりの基本!花や葉っぱに直接水をかけない
ジョウロやバケツなどで水やりをするときは、花や葉っぱに水をかけないようにするのが基本です。
葉水やホースの霧状の水であれば、直接吹きかけても問題ありませんが、バケツなどの大粒の水はいつまでも葉っぱや花の上に残り、光合成など活動の邪魔となって植物を弱らせる原因になります。
植物別!水やりのタイミングは?
基本は「土の表面が乾燥したら」
植物の水やりの基本は、土の表面が乾燥して白っぽくなってからです。わかりにくければ、素手で指の第一関節あたりまで土に差しこんでみてください。
指先に湿り気を感じるようなら、植物がまだ水を必要としていない証拠です。また、植え付け時に割り箸を差し込んでおき、土中の湿り気を確認する方法もあります。
水を好む植物
高温多湿を好む植物や植物の生長期、一部の苔植物などは、土の表面が乾く前に水やりをします。
ただ、常に水が滴るような状態ではなく、あくまで多少の湿り気が残った状態でもよいということなので、水やりをしすぎないようにしてください。
乾燥を好む植物
多肉植物など、体に貯水機能を持ち合わせている植物は、乾燥に強い植物といいます。これらは、土の表面が乾いて、数日たってから水やりを行います。
多肉植物などの体内の水が少なくなってくるのが、乾燥してから数日後になるので、そのタイミングが水やりの適期です。
また、植物の生育がゆるやかになる冬(休眠期)の水やりも同じように水やりをします。休眠期は、吸水する力が弱まっているので、生長期ほど水を必要としないため、多すぎる水は根腐れを引き起こします。
一般に、植物は水やりを控えると耐寒性が増すため、葉色が悪くなったり、地上部がしおれてきたりしないとき以外は我慢し、土が乾いてから1~4日たってから水を与えましょう。
季節別!水やりのタイミングは?
水やりは、どの季節も同じようにやればいいというものではありません。
植物の生育サイクルは、外気温によって変化するため、合わせて水やりの方法も少しずつ変えていく必要があります。今回は、季節ごとに土が乾燥する(水やりの)目安をご紹介します。
春:1~2日に1回
気温の上昇とともに、多くの植物の生育がよくなり、種が芽吹く時期です。春先の早朝はまだ冷え込み、水やりで土が凍ってしまうこともあるので、日が昇ってから水を与えましょう。
夏:1日に1~2回
夏は時間帯がポイントです。日中に水やりをすると、直射日光によって地中の温度が上昇し、根が蒸れて傷んでしまいます。遅くても、午前10時くらいまでの早い時間帯か、夕方に水やりをすると安心です。
秋:1~2日に1回
花や実をつけ終った植物は、冬に向けて徐々に生育が穏やかになっていきます。水やりの回数も減らしていきましょう。
ただ、秋まきの草花などこれから生育するものには、春のように水やりをして、水切れしないように気をつけましょう。朝晩が冷え込むようになったら、夕方の水やりを控えるようにします。
冬:3~4日に1回
午前中の暖かいうちに水やりをします。寒いときの水やりは、土の凍結を招くので避けます。特に熱帯原産の観葉植物や多肉植物は、1ヶ月に1~2回の水やりで十分なものも多くあります。
水やりの注意点!受け皿に水をためない
受け皿に水をためたままにしておくと、土が長時間湿って根腐れを起こす可能性があります。また、不潔な水をそのままにしておくと、病気や害虫の被害にあうことも。
水やりをした後、受け皿にたまった水は、腰水をするとき以外は捨てるようにしてください。
水やりの注意点!乾燥してからたっぷりと
土が湿る程度しか水を与えないと、土中の酸素が入れ替わらず、老廃物がたまったままの状態になり、生育環境を悪くしてしまいます。
また、表面の土は乾燥しても、土の底はまだ湿った状態が続き、結果根腐れを引き起こしてしまいます。「鉢底から流れ出るくらいたっぷりと」が基本です。
腰水とは?方法やコツは?
腰水とは、バケツなど容器に水をため、鉢の1/3~1/2を水に浸けて底穴から吸水させる方法です。
種が小さすぎて水やりをすると流れてしまう場合や、水切れしやすい植物に対しての潅水方法とされ、苔玉や盆栽では通常の水やり方法として行われます。
別名、「底面潅水(ていめんかんすい)」「底面給水(ていめんきゅうすい)」とも呼ばれます。底穴から水を必要な分だけ供給できるので、水やりの手間が省ける、水切れを起こさないといったメリットがあります。
苔玉や盆栽では通常の水やり方法として行われます。ただ、過湿による根腐れを起こしやすい、新鮮な水が供給されず酸素不足や老廃物が土中にたまる、害虫が発生しやすくなるといったデメリットもあります。
水やりをマスターしてガーデニングをもっと楽しく
水やりのタイミングをつかむには、土の状態をよく観察しておくことがポイントです。「表面が白っぽいな」と感じたら、土を指で触って状態を知っていくと、徐々に感覚がつかめてきますよ。
また、初心者の方には、土の中の状態がわかりやすい素焼き鉢で植物を育てるのがおすすめです。自分にあった方法で、少しずつ水やりをマスターして、ガーデニングが楽しくなるとよいですね。
更新日: 2018年08月21日
初回公開日: 2015年11月25日