ヤツデは、冬の寒い時期に白い花を咲かせる植物です。冬でも落葉せずに大きな葉を茂らせ、目隠し用の庭木に利用されたり、「先客万来」など縁起を担いで玄関先や門の脇に植えられたりすることもあるんですよ。今回は、ヤツデの花言葉などの基本情報から、剪定・挿し木・鉢植え・増やし方の時期や方法などの育て方までご紹介します。
ヤツデの花言葉と、その由来は?
『健康』『親しみ』『分別』
「健康」という花言葉は、枯れ葉や葉の傷みが目立たない光沢のある丈夫な葉に由来しています。
ヤツデの学名・原産国・英語
- 学名
- Fatsia japonica
- 科・属名
- ウコギ科・ヤツデ属
- 英名
- Japanese Aralia
- 原産地
- 日本
- 開花期
- 11~12月
- 花の色
- 白
- 別名
- テングノハウチワ(天狗の羽団扇)
ヤツデとはどんな植物?
日本が原産地の常緑低木です。日本では古くから親しまれており、庭園や公園によく植えられています。名前の「ヤツデ」から、葉っぱが8枚と思われることが多いのですが、実際は、肉厚で7~11枚ほどに葉先が分かれ、葉の数が奇数に別れるという特徴があります。
その葉っぱは20~40cmの大きさで、表面に光沢があり、縁がギザギザしている特徴があります。その葉の姿から別名「天狗の葉団扇」とも呼ばれています。
ヤツデの開花時期や見頃の季節は?どんな花が咲く?
11~12月が見頃で、小さな白い花が集まって咲き、球状になります。また冬から春にかけては白い花が果実をつけ、徐々に黒く熟していきます。翌年5月頃には、黒くなった実を鑑賞することができますよ。
ヤツデの育て方のポイント
半日陰で湿り気のある環境を好みます。乾燥していたり日光が当たりすぎたり、反対に全く日が当たらない環境では弱りやすく、ヒョロヒョロに育ちます。
ヤツデの種まきと苗植え!地植えと鉢植えの時期と方法は?
種まき
鉢植え、地植えともに3~4月頃が種まきの適期です。セルトレイやポットに土をいれて、種をまきます。発芽して十分に根が生えるまで、土を乾燥させず、日陰で管理してください。ある程度根づいてきたら、鉢か庭に植えましょう。
苗植え
4~5月が地植えの適期です。できるだけ根のしっかり張った株を選び、大きな葉は切り落としてから植え付けましょう。
ヤツデの土作り・水やり・肥料の時期と方法
用土
湿り気のある土壌を好むので、水もちと通気性のよい土が適しています。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた土を使います。地植えの場合は、腐葉土を1~2週間前に3割ほど腐葉土を混ぜて寝かせておきます。
水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。地植えでは一度しっかりと根がはれば、とくに水を与える必要はありませんよ。天候の都合で、土が乾くようなら水を与えます。
肥料
肥料を与えなくても育ちます。
ただし、肥料を与えることで新芽や新しい枝の生長が促されます。2~3月に油粕と骨粉を混ぜたものを株元に一握りほど施すか、鶏ふんをシャベル1~2杯ほど根元に施すのがおすすめです。
ヤツデの植え替えの時期と方法
4~6月頃、2年に1回ほど植え替えをします。根鉢を1/3ほど崩し、植え付けと同じ方法で鉢や庭に植え替えます。その際、大きな葉は切り落として、根と葉の取り除くバランスを整えましょう。
ヤツデの剪定の時期と方法
基本的には、剪定の必要がありません。込み合った部分がある場合は、付け根から切り取りましょう。または、古い幹が3~5本になるように間引いてもOK。短く切っても、1~2年後には発芽して整ってきますよ。
ヤツデの増やし方!種まきと挿し木の時期と方法は?
種まき
花が咲いた後、種を回収します。採取した種は乾燥させないように、少し湿った川砂などを混ぜてビニールに入れ、冷蔵庫に入れて保存しておきます。種のまき方と育て方は、植え方と同じ手順です。
挿し木
7~8月頃が適期です。若い枝の先を10cmほど切り取り、下葉を全て取り除いて、上についている葉っぱを数枚だけ残します。残した葉っぱは、半分にカットして根の負担を減らしましょう。
赤玉土などに枝を挿して、十分に発根するまで土を乾かさないように管理します。根と本葉が生長したら、植え替えましょう。
ヤツデの栽培で気をつけたい病気や害虫は?
カイガラムシ
5~7月頃、気温が高くなると発生する害虫です。葉っぱの水分を吸って弱らせます。また、カイガラムシの排泄物が原因ですす病を併発することがあるので、見つけ次第、退治します。幼虫は薬剤で、成虫はブラシでこすり落としてください。
すす病
枝や葉が黒いすすのようなもので覆われる病気です。光合成ができなくなるので、葉っぱが枯れて美観を損ね、植物が弱ります。
アブラムシの排泄物を栄養にして繁殖するので、アブラムシの発生を抑えることが有効な予防対策です。
ヤツデを育て方は簡単!園芸におすすめ
ヤツデは日当たりを避け、湿り気を好む庭木。水やりをあまり必要とせず、簡単に育てられるのも魅力の1つです。寒い日は温かいお部屋から外の白い彩りをゆっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか。異なる品種のヤツデを寄せ植えにしたりと、色々と楽しんでみてくださいね。
更新日: 2021年01月06日
初回公開日: 2015年09月18日