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摘蕾・摘花・摘果とは?作業の時期と方法は?

摘蕾(てきらい)、摘花、摘果(てきか)とは、どれも園芸をしている方でないと耳にしない言葉ですよね。これらは、実の収穫量や花の数を増やすための園芸作業です。今回は、摘蕾、摘花、摘果とはどんな作業なのか、作業の時期や方法についてご紹介します。

作業は摘蕾、摘花、摘果の順に

ヤマザクラ 実

「蕾(つぼみ)をつけ、花を咲かせ、実をつける」のは、どの植物にも共通している生長の流れです。そのため、3つの作業は、ほとんどの場合、摘蕾、摘花、摘果の順に行われます。

作業内容は簡単で、蕾を摘み取るのが「摘蕾」、花を摘み取るのが「摘花」、果実を摘み取るのが「摘果」です。観賞用の花を楽しむときは、全ての実を摘果することもあります。

作業目的

これらの作業の目的は2つあります。1つ目は、数を減らすことで養分を集中させ、蕾・花・果実を増やし、大きく育てることです。蕾・花・果実は、数が増えすぎると全体的に小ぶりになったり、味や質が落ちたりすることが考えられます。

2つ目は株や根への負担を減らすことです。増えすぎた蕾・花・果実は、収穫や鑑賞価値を減らすだけではなく、株を弱らせ、翌年以降の生長が悪くなります。

つまり、摘蕾・摘花・摘果がうまくなると、花や実の収穫量、大きさをコントロールできるようになり、より園芸や家庭菜園を楽しむことができます。

摘蕾(てきらい)とは?

ツバキ 蕾

摘蕾とは、蕾のうちに花を摘み取って、開花する花数を減らす剪定作業の1つです。咲かせたい花数を厳選することで、株の栄養が消耗されることを防ぎ、実る果実を大きく、おいしく育てることができます。

また、株が小さいうちは、花を咲かせるよりも株の生長を優先する目的で、全ての蕾を摘み取ってしまうこともあります。株の栄養を使いすぎたことで翌年実付きが悪くなる隔年結果(かくねんけっか)を防ぐことができます。

隔年結果(隔年結実)とは?

隔年結果とは、豊作と不作を交互に繰り返す現象のことです。別名、「隔年結実(かくねんけつじつ)」とも呼ばれます。

豊作の年は、多くの花が咲き、木の養分は実へと優先的に運ばれます。すると、翌年は不足した養分を木が回収しようとするため、花付きや実付きが悪くなり、不作になるのです。

摘蕾(てきらい)の時期と方法は?

摘蕾は、花が咲く前に蕾を摘み取ります。素手か手袋をつけた手で枝や茎をさするようにポロポロと落としたり、1つ1つをつまんで摘み取ります。摘み取る数や残す数は、植物によってもことなるので、詳細は、植物ごとの注意点を守ります。

連続でたくさんの花を咲かせる植物の場合

あまり早い時期に行なうと、次に作る予定だった2番花がたくさん咲いてしまうので、蕾がいくつかまとまって付いてきたら、摘蕾を行なってください。

桃や梨などの果樹の場合

枝の中心付近の蕾を残して、先端、下向き、育ちの悪い蕾を摘み取りましょう。ただし、例年実付きが悪かったり、霜や雹(ひょう)の被害にあって数が少ないときは、摘蕾は避けるか摘み取数を減らします。また、下向きの蕾は雹被害にあいにくため、あえて残して置く場合もあります。

バラや芍薬など

大輪の花を咲かせたい植物は、形のよい蕾を1つだけを残して他を摘み取るといいですよ。

摘花(てきか)とは?

ツバキ 花

摘花とは、花が咲いた段階で、生育のよいものを残し、他の花を摘み取っていく剪定作業の1つです。大胆な花数の調整は摘蕾で行ない、微調整を摘花で行ないます。株の栄養が過剰に消費されたり、余分な実が付いたりすることを防ぐ役割があります。

果実をつける植物であれば、摘花と摘果を行ないますが、果実の生長には、摘花の方が効果は大きいといわれています。園芸では、花摘みや単に剪定と呼ばれることがあります。

摘花の時期と方法は?

摘花は、植物の花が八分咲きくらいになったタイミングで、摘花を行ないます。摘蕾と同じように、枝の先端や下向き、育ちの悪い花を摘み取っていきましょう。摘蕾の段階で花芽を十分減らせているようであれば、無理に花を摘み取る必要はありません。また、花の茎は硬いので、先端の細い摘果バサミなどを使って、1本1本摘み取ってください。

摘果(てきか)とは?

ツバキ 実

摘果とは、実をつけた果樹の未成熟の実を摘み取る、剪定作業の1つです。実がまだ小さいうちに、生育の悪い実や増えすぎた実を摘み取って、残した実に栄養を十分に与え、株への負担を減らします。

摘蕾のように早い時期から必要なものだけを残しておいた方が、株の消耗は防げますが、摘果なら果実の生育状態を見て作業ができるので、過剰な摘み取による失敗が少なくすみます。

また、実の大きさを揃えやすく、厳選したものを成熟させるため、味も濃厚になります。庭で収穫した実がおいしくないのは、摘果が十分でないことに関係していることが多いようです。

摘果の時期と方法は?

摘果は、実が付いたらできるだけ早い時期に行ます。しかし、霜の降りる地域などでは、予備摘果と本摘果(仕上げ摘果)と段階的に行ない、必要な分だけ実が残るように調節するのがおすすめです。

予備摘果は、花が満開になってから20~30日後頃に行ないます。実が細胞分裂をし終える前に行なうことがポイントです。大きすぎる、育ちが悪い、発育不良、奇形、位置が悪い実を摘み取ります。また、病気や害虫の被害にあっている果実も取り除きましょう。

本摘果は、花が満開になってから40~50日後に行ないます。生育がよく、枝の中心に付いている実以外は摘み取っていきます。

摘蕾・摘花・摘果は神経質になりすぎず

ドイツトウヒ 実

家庭菜園で実のなる草花や樹木を育てると、収穫が待ち遠しくなりますよね。ただ、柿などは渋くて食べられないということもしばしば。摘蕾や摘果をきちんと行ない、おいしい実を収穫していきましょう。

とはいって、せっかく趣味ではじめたガーデニングなので、あまり神経質になると、楽しみが半減してしまいます。摘蕾、摘果などの作業は、植物の様子を観察しながら、行なえたらすてきですね。

更新日: 2022年05月11日

初回公開日: 2015年11月07日

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