かぐや姫のお話などに登場し、多くの神社やお寺の境内に植えられている竹。観賞用や食用、道具をつくる素材など、古くから私たちの生活の中で使われてきました。青々とした茎を空に向かってまっすぐ伸ばす姿は、日本らしい和の雰囲気を演出してくれますよね。今回は、そんな竹とはどんな植物なのか、花や葉っぱの特徴、種類、笹との違いなどについてご紹介します。
竹とは?どんな植物?
竹とは、イネ科・タケ亜科に分類される植物の総称です。縄文時代の頃にはすでに日本に自生していたとされ、軽くて加工しやすい性質から、日用品や住宅資材、武具、楽器と私たちの生活の様々な場面で利用されてきた歴史があります。
樹木のように見えますが、植物学上は常緑性の多年草です。分厚い地下茎を地中に広げていき、そこからタケノコとして知られる芽を何本も出して上へ上へと伸びていきますよ。生育旺盛で1日に1mほど生長すると言われ、日本では最長25mほどのものが確認されています。細長くシュッとした見た目の葉には格子状に走る葉脈があります。
竹の学名・原産国・英語
- 学名
- Bambusoideae
- 科・属名
- イネ科・タケ亜科
- 英名
- Bamboo
- 原産地
- 世界中の熱帯地方
- 開花期
- 不定期
- 花の色
- 黄緑
- 別名
- バンブー
笹(ササ)
竹の花や葉っぱの特徴は?
花は、細い枝の先にできる稲穂のようなものにぶら下がった、玉のような形をしたものです。一見すると花には見えず、とてもユニークな形をしていますよ。この花の咲く周期はとても長く、60~120年に1回とされ、種類によっては開花後に種をつけて一斉に枯れてしまいます。この不思議な現象は、「開花病」「十年枯病」と呼ばれ、昔からよくないことが起こる前ぶれとして恐れられていました。この花が咲く周期や、なぜ種をつけると枯れてしまうのかについては、詳しいことはわかっていません。
竹と笹との違いは?
竹、バンブー、笹は全てタケ亜科に分類されていますが、植物学上はある程度区別されています。一般には、大きさによって竹と笹を区別していますが、その境目はあいまいです。そこで、以下にそれぞれの違いを簡単にまとめました。
竹 | バンブー | 笹 | |
原産地 | 日本(本州~九州) | 熱帯地域 | 日本(北海道や高山地帯) |
根 | 地下茎 | 根元から新芽が伸びて株分かれする | 地下茎 |
草丈 | 高い | 高い | 低い |
タケノコの皮 | 生長するとはがれ落ちる | 生長するとはがれ落ちる | 生長してもついている |
枝 | 節目から2本ほど生える | 節目から2本ほど生える | 節目から3本以上生える |
竹の種類や品種は?
タケ亜科に分類される植物は、世界に600~1,200種、日本にも150~600種あるとされています。以下にいくつかの代表的な種類をご紹介します。
真竹(マダケ)
太さ10~15cm、高さ10~20mに生長する大型種で、日本に古くから自生しています。竹細工の素材として最も多く用いられており、タケノコも採取して楽しまれます。「苦竹」という別名を持っています。
孟宗竹(モウソウチク)
アジアの温暖な地域に分布する種類で、中国江南地方を原産とすることから、「江南竹」とも呼ばれます。日本へは平安時代に渡来しました。タケノコはえぐみが少なく、独特の甘みがあることから「春の味覚の王様」とも呼ばれていますよ。
淡竹(ハチク)
中国黄河流域から南に分布する種類で、孟宗竹や真竹とともに日本にたくさん植えられています。直径3~10cm、高さ10~20mほどに生長し、耐寒性があることから寒い地域でも栽培することができます。幹が他の種類に比べて細く、やわらかいことから、茶道具などによく利用されています。
女竹(メダケ)
福島~四国、九州に分布する笹の1種で、季節を問わず緑色の葉っぱを茂らせています。樹高は5~10mほどに生長し、幹の直径は2cmほどと細いことから、竹細工などに利用されます。
黒竹(クロチク)
淡竹の変種で、茎が黒色をしていることが特徴です。樹高3~5mほどに生長し、葉っぱの緑と茎のコントラストが美しいことから、観葉植物としても育てられています。
朱竹(シュチク)
風水では「幸運を呼ぶ竹」とされ、寒い風と直射日光に当てると茎が赤色に変わります。茎が1~2cmと細く、やわらかな雰囲気がありますよ。
隈笹(クマザサ)
笹の代表的な種類で、高さ1~2mに生長します。葉っぱに隈取りが入ることが名前の由来です。
竹は花が咲くと枯れてしまう不思議な植物
竹は古くから私たちの身近にあった植物ですが花の咲く周期や、種をつけて一斉に枯れてしまう原因は、まだわかっていません。庭やお寺の境内に植えられている竹を見ていてミステリアスな雰囲気がするのは、そうした謎に包まれた生態からかもしれませんね。
更新日: 2022年02月09日
初回公開日: 2016年02月10日