山野の中でひっそりと黄色い花を咲かせる弟切草。日本に古くから自生し、切り傷や神経痛を癒やす薬草として民間療法に利用されてきました。また、ちょっと怖い花言葉をもっていることでも知られています。今回は、そんな弟切草とはどんな植物なのか、花言葉や効果・効能、名前の由来などについてご紹介します。
弟切草(オトギリソウ)の花言葉とは?
『恨み』『秘密』『迷信』『盲信』『敵意』
弟切草の花言葉は、そのかわいらしい姿に反して、ネガティブなものが多いですよね。これは、ある鷹匠の兄弟の伝説にちなんでいます。
昔、ある鷹匠は、鷹が傷ついたときの治療薬として弟切草を使っていました。仲間の鷹匠には草の名前を明かしていませんでしたが、ある日彼の弟がうっかり他の鷹匠に秘密をバラしてしまいます。これに怒った鷹匠は、弟を斬り殺してしまいます。このエピソードから、「弟切草」と名付けられました。また、葉っぱの黒い斑点は、弟の血しぶきが飛んで残ったものをされています。
弟切草(オトギリソウ)の花の色や別名は?
- 学名
- Hypericum erectum
- 科・属名
- オトギリソウ科・オトギリソウ属
- 英名
- ー
- 原産地
- 日本、朝鮮半島、中国
- 開花期
- 7~8月
- 花の色
- 黄
- 別名
- 血止め草(チドメグサ)
鷹の傷薬(タカノキズグスリ)
弟切草(オトギリソウ)とは?どんな花を咲かせる?
弟切草は、オトギリソウ科・オトギリソウ属に分類される多年草です。ヒペリカムと呼ばれる植物の1種で、アレンジメントや庭木に利用されますが、日本原産のため園芸上でヒペリカムとは区別されます。
草丈は20~80cmに生長し、茎に細い楕円形の葉っぱを向かい合って生やします。そして、夏になると、長く伸びた茎の先に、黄色い花を咲かせます。
花の直径は15~20mmほどと小さく、花びらは5枚で、中心の雄しべがたくさん突き出た独特の形です。葉っぱと花には、黒く細かい斑点や黒い線がいくつも入っています。花が結実すると、3~10mmほどをした、中に種がたくさんつまった実をつけます。
弟切草(オトギリソウ)の効果・効能は?
弟切草は、タンニンを全草にたくさん含んでいます。タンニンとは、ワインや渋柿に含まれる渋味成分で、内服することで月経不順の改善や鎮痛作用が期待できます。
この効果から、「小連翹(ショウレンギョウ)」という生薬名で、果実が成熟する頃に刈り取って乾燥させたものが漢方医学に利用されます。また、茎や葉っぱの絞り汁は傷口や打撲症の患部に塗ると、痛みを鎮める効果がありますよ。
弟切草(オトギリソウ)の種類や品種は?
オトギリソウ属の植物は、アジアの熱帯から亜熱帯を中心に250~300種ほどが自生しているとされています。ガーデニングでよく見かけるものは、「ヒペリカム」もしくは「西洋オトギリソウ」と呼ばれるヨーロッパで品種改良されたもので、日本原産の弟切草とは区別されています。「金糸梅」「美容柳」など中国原産のものや、「ヒペリカム・サンバースト」といった園芸品種がガーデニングによく利用されています。
弟切草(オトギリソウ)の花言葉は怖いがかわいい花姿
弟切草は、漢方薬や民間療法の中で古くから利用されてきた日本原産のハーブです。その効能は、今でも多くの人に知られています。また、可憐でかわいらしい花は、見ているとほっとした気持ちにさせてくれますよ。
花言葉やその由来となったエピソードは怖く感じますが、それも弟切草の効能ゆえかと思えば、悪い印象ばかりではありませんね。
更新日: 2022年04月13日
初回公開日: 2016年02月04日