植物を種から育てるとき、「間引き(まびき)」という言葉をよく耳にします。生えてきた芽を抜いていく作業であるのは想像できますが、時期や手順はあいまい。また、せっかく生えてきた芽をつむのは気が引けます。ただ、植物をきちんと生長させるためには必要な作業なんですよ。今回は、間引きとはどんな意味があるのか、時期と方法についてまとめました。
間引きとは?間引く意味や目的は?
種をまき、たくさん生えた新芽の中から、生命力が強い(生長が早く、太い)ものを選び、それ以外の若い芽は土から引き抜く作業を「間引き」といいます。間引きは、新芽同士の根の衝突や密集を防いで病気や害虫の被害を減らすという目的があります。
種まきをしても、全ての種が発芽するわけではありません。発芽する種は10%の種類もあれば、90%発芽する植物もあります。基本的には、育てたい株の数よりも多くの種をまきます。
間引きをしないとどうなる?
種まきから発芽した後、間引きをせずに全ての種を育て続けていると、株同士の間隔が狭くなり、日当たりが悪くなったり、肥料が行き渡らなくなったりします。
また、風通しが悪くなることで病気や害虫の被害にもあいやすくなります。剪定をする目的に、この風通しをよくするというものもあります。
この結果、枯れた葉や枝が多くなり、植物の外観が悪くなったり、花や実も少なくなってしまったりします。
植物の種類によっては、育っていく中で強い株だけが生き残り、弱い株が徐々に枯れていくこともあります。ただ、家庭菜園やガーデニングで育てる植物でこの性質を持っているものはほとんどないので、間引きをしてあげる必要があります。
植物が健康的に育ち、美しい外観を保つために、間引きをしてあげましょう。
間引きと、間引き剪定とは違う?
間引き剪定とは、混み合っている枝を切手風通しや日当たりをよくする、樹木を剪定する方法の一つです。苗を抜いていく間引きとは異なります。
間引きのやり方や時期は?
植物を間引くタイミングは3回あります。以下に、それぞれの時期に合った間引き方法をご紹介します。
発芽直後
新芽の葉が重なり合ってきたら間引きのタイミングです。株同士の間隔を2~5cm空けて、株を抜いていきましょう。密集している場合、無理に手で抜くと株を傷めてしまうので、ピンセットを活用するとうまくいきますよ。先で根元をはさみ、そっと土からつまみあげます。
本葉が1~2枚になったとき
それぞれの株の葉が触れないように再び間引きます。生育の悪いものを選んで、手で根ごと引き抜いていきましょう。野菜なら、抜いた苗をベビーリーフとして、味噌汁やサラダに加えるとおいしく食べられますよ。
本葉が3~4枚になって株が混み合ってきたとき
葉が育っていく中で、生長の遅いものや病気や害虫の被害にあったものを間引いていきます。株を引き抜いた後に土が乱れてしまったら、手で押し固めます。根をよく張り、引き抜くのがむずかしいときは、株元をはさみでカットするか、土ごとスプーンで掘りあげてもかまいません。
間引きのタイミングや目安は?
苗の生育状態を揃えることも、間引きのポイントの1つです。どの苗を間引いたらいいのか迷ったときは、茎葉の状態や株のサイズに注目するとよいですよ。葉の色つやがよく、茎葉のしっかりしているものを残していきましょう。
間引く苗の選び方
● 他よりも遅く芽がでた
● 他の株に比べて小さい
● 茎が細くて弱々しい
● 葉の色が薄い、変色している
● 茎がひょろりとしている
● 葉の形が悪い、欠けている
● 他の株よりも極端におおきい
● 病気や害虫の被害にあっている
間引きをするときの注意点は?
間引きのタイミングと量は、植物によって異なります。過度に間引いてしまうと、植物が弱くなってしまうこともあります。
また、間引きの作業は、種をまいた量に比例して大変になりますが、間引きをしたくないからと株の間隔を開けすぎてしまうと、苗が丈夫に育ちません。
たとえば、ニンジンは乾燥した環境だと発芽しにくいため、ある程度育つまでは株が密集した状態を好みます。植物ごとの性質や生育のタイミングに合わせて間引くことが大切です。
植物や生育環境によって間引きのタイミングや量は異なるということを意識してください。
間引きのやり方は簡単
せっかく種から育てた植物の芽を摘みとるのは、悲しい気持ちになるかもしれません。ただ、これから元気な株を育て、おいしい野菜を収穫するためには、間引きは欠かせない作業です。一度基本のやり方を覚えておけば、他の植物にも応用がききますよ。
更新日: 2023年01月28日
初回公開日: 2015年10月12日