上手に育てれば何年も花を咲かせるラベンダー。開花期には紫色や青色のきれいな花びらをつけます。一度でも栽培経験がある方なら「もっとたくさんラベンダーを育てたいな」と思ったことがあるのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、「挿し木」と呼ばれるラベンダーの増やし方です。今回はラベンダーの挿し木の方法と、種まきや株分けなどほかの増やし方についてもご紹介します。
ラベンダーって増やせるの?挿し木って何?
ラベンダーは種や茎があれば簡単に数が増やせます。自然界ではこぼれ落ちた種で数を増やしていきますが、花を咲かせるまで時間がかかるため、園芸では茎をよく利用しますしょう。
この切り取った茎を土に挿して根を生やさせ、新しい苗として育てる方法を「挿し木」といいます。ラベンダーの挿し木は切り取った茎を土に挿して育てるだけです。
「挿し木は初心者でも気軽に取り組めること」「ラベンダーは茎の数が多く、根が出やすい」などの理由から、初めてラベンダーを増やすなら挿し木をおすすめします。
一度に何本も茎を切って育てれば、複数の苗を栽培できますよ。
ラベンダーの挿し木をするときに揃えたいグッズは?
- 鉢に植えられたラベンダー
- 新しい植木鉢(プランターや小鉢など)
- 無菌の土(バーミキュライト)
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 剪定ハサミ
- 茎の切り口に塗って根の生長をサポートする薬剤(発根促進剤)
ラベンダーの挿し木に必要なグッズをご紹介します。現在育てているラベンダーの鉢と同様に、ラベンダーの苗を育て始めるときのグッズをもう1セット用意します。
苗から育てるときとの違いは、培養土ではなく無菌のバーミキュライトと、発根促進剤が必要な点です。
ラベンダーの挿し木!根を生やすコツや適した時期はいつ?
ラベンダーの挿し木を成功させるには、まず茎から根を出させる必要があります。根を生やすコツは挿し木の「時期」に注意し、「手順」を間違えないこと。
4〜6月、または9月の「時期」を見計らって、次の「手順」で進めましょう。
- コップなどの容器に水を入れておく
- 新しい鉢の底へ鉢底ネット、鉢底石、無菌の土を順に入れる
- 5〜6cmだけラベンダーの茎を切り取る
- その茎の下半分についている葉っぱを取り除く
- 茎を容器に入れて1時間ほど切り口を水に浸す
- 切り口に発根促進剤を塗る
- 鉢の土に指や割り箸で穴を空けてそこへ茎を挿し込む
- 土が乾燥しないように水やりを続ける
- 蛍光灯の下、直射日光の当たらない窓辺など明るい日陰で管理する
- 3週間ほどたって根が生えたら新しい苗として植え直す
挿し木で育てたラベンダーの苗の育て方!その後のお手入れは?
ラベンダーの茎が根を出したあとは、茎ごとに新しい鉢へ植え替えて苗として育てていきます。植え替えの前に根を出した茎の数だけ鉢を用意しておきましょう。用意するグッズとお手入れ方法をご紹介します。
■ 用意するグッズ
- 3号ほどの植木鉢
- ハーブ用の培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
■ お手入れ方法
- 根が生えたら水やりをやめて土を乾燥させる
- 新しい3号鉢に鉢底ネット、鉢底石、培養土を順に入れる
- 根を傷つけないよう苗を取り出して新しい鉢に植える
- 苗が固定されるよう土を苗の周りに入れる
- 水やりをする
- 1週間単位で徐々に日当たりのよい場所へ鉢を移動させる
- 土が乾燥したら水やりをする
ラベンダーの挿し木で失敗しがちな2つのパターン
ラベンダーの挿し木は初心者でも取り組みやすい一方で失敗することもあります。
その失敗の多くは2つに分類され、1つは「根が生えてこない」「根が生えたけど、植え替えたら枯れてしまった」など挿し木自体が失敗するパターン。
もう1つは「茎を切ったあと親株が枯れた、花が咲かなかった」という親株の栽培が失敗するパターンです。
挿し木自体が失敗する原因は「水の与えすぎ/水が足りない」ためなので、「根が生えるまでは土を乾燥させない」「根が生えてからは土を一度乾燥させてから水やりをする」ことを忘れないでください。
親株の花が咲かないのは「茎や葉を切りすぎた」ことが原因として考えられます。「茎を切り取る」段階で切り取られる茎に4〜6枚ほど葉っぱが残るようにしましょう。
ラベンダーの挿し木以外の増やし方!種まきのポイントは?
ラベンダーを早く増やしたい方には挿し木をおすすめしますが、挿し木よりもたくさん数を増やしたい方は「種まき」がおすすめです。
種まきの成功率を高めるには、事前に発芽を促進する薬剤にしっかり種をつけておくことや、種をまいたあとに常に土を湿った状態を維持することが大切です。
ラベンダーの挿し木以外の増やし方!種まきの時期や方法は?
ラベンダーの種まきは4〜5月に行うのでそれまでに種まきグッズを用意してください。
■ 準備するグッズ
- ラベンダーの種
- 植木鉢かプランター
- ピートモス(1L):苦土石灰(2g)の割合で混ぜた土
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 発芽促進剤(ジベレリン溶液)
■ 時期や方法
- ピートモスと苦土石灰を混ぜて10日以上寝かせる
- 4〜5月の間に種を1000倍に薄めたジベレリン溶液に3日間つける
- 浮いてきた種は捨てて沈んだ種のみを回収する
- 寝かせておいた土を鉢に入れる
- 土のうえに種をばらまく
- 種の3倍ほどの高さの土をかける
- 土が乾燥しないように霧吹きするか水やりをしてラップなどで覆う
- 2週間ほどで芽が出てくる
- 元気な芽を残してそれ以外の芽を取り除く
- 葉っぱが3〜4枚生えてきたら通常の苗として育てる
ラベンダーの挿し木以外の増やし方!株分けの時期や方法は?
今と同じ大きさのラベンダーがほしい場合や今のラベンダーを一回り小さくしたい場合は「株分け」という繁殖方法がおすすめです。
株分けは1つの植物の根を分裂させてそれぞれ育てる方法です。鉢で数年育てたラベンダーを対象に、3〜5月、9〜10月の間に行います。
株分けのコツはできるだけ根を傷つけず清潔に保つこと。できるだけ手で分けるか、難しい場合は清潔なハサミやカッターを使いましょう。
根を傷つけすぎると株分け後に枯れてしまうので注意してくださいね。
■ 準備するグッズ
- 生長したラベンダーの株
- 植木鉢やプランター
- ハーブ用の培養土
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- ハサミやカッター
■ 手順
- 水やりを控えてラベンダーの鉢を乾燥させておく
- 新しい鉢の底へ鉢底ネット、鉢底石、土の順に入れる
- 鉢から株を取り出す
- 手やカッターを使って根を半分もしくは三分割にする
- 分けられた株をそれぞれ植え直す
- 通常のラベンダーの株として育てる
ラベンダーを挿し木で増やして香りを楽しもう
「挿し木」はラベンダーの数を増やす手段の中で1番成功率が高く手軽にはじめられる手法です。初めてラベンダーの繁殖にチャレンジする方は、まず挿し木から取り組んでみてください。
だんだん挿し木に慣れてきたら、種まき、次に株分けと挑戦してみるのもおもしろいかもしれません。収穫したラベンダーでお部屋を彩り、香りあふれる生活を楽しんでくださいね。
更新日: 2021年12月22日
初回公開日: 2015年05月12日