サラダに必ずと言っていいほど入れられているキュウリは、パリッとした歯ごたえが魅力の野菜です。植え付けから収穫までが2ヶ月ほどと短いことは家庭菜園を楽しむ上では大切なポイント。ただ、作業内容が多いので、いつ何をすればよいかわからなくなってしまうという人もいます。今回は、そんなキュウリの栽培について、育て方のポイントや苗植えの時期と方法などをご紹介します。
キュウリの栽培!種まきの時期と方法は?
生長するまでに時間はかかりますが、たくさんの株を育てていきたい人は種まきから栽培をはじめていくのがおすすめです。4月上旬~5月が種まきの適期です。
セルトレイに赤玉土(小粒)など種まき用の培養土を入れ、各スペースに1粒ずつ種をまいていきます。その後、薄く土を被せたら霧吹きで湿らせ、土が乾かないよう定期的に水やりをして管理していきます。セルトレイは土の容量が少ないので、乾燥するのがとても早いです。1日数回チェックして乾かさないようにしましょう。1度乾かしてしまうとアウトです!
発芽したら、日当たりのよい場所に移して引き続き管理し、本葉が4~5枚に生長したら、生育のよいものを苗として、鉢やプランター、地面に植え付けていきます。キュウリは低温にとても弱く、種まきから育てると温度管理が難しいです。初心者の方は苗を購入して育てることを強くおすすめします。
キュウリの栽培!苗植えの時期と方法は?
鉢・プランター
キュウリは、1株で10~30個ほどの収穫が見込めるので、少量しか育てない方は市販の苗を購入し、鉢やプランターで育てていくとよいですよ。植え付け時期は4月下旬~5月で、10~12号鉢に1株、65cmの標準プランターに2株が植え付けの目安です。
- 容器の底に鉢底ネットと軽石を入れる。
- 赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で混ぜた土か、市販の野菜用培養土を準備する。土10ℓに対して、石灰を10g、化成肥料を20gほど混ぜ込みましょう。
- 土を苗の高さくらい容器に入れる。
- 苗がすっぽり収まる大きさの植え穴を掘る。
- 苗を植え付ける。
- 株元が薄っすら隠れるくらい土を足す。
- 容器の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをする。
地植え
地植えにするときは、過去にウリ科の植物を育てたことのない場所を選び、植え付ける2~3週間前から土作りをはじめます。
- 植え付ける2~3週間前に土に1平方メートルあたり2kgの堆肥と、両手いっぱい(100g)の苦土石灰を加えて、よく耕しておく。
- 植え付ける1週間前に土に1平方メートルあたり200gの肥料を混ぜ込み、高さ10~20cm、幅60~80cmのうねを作り、表面にマルチフィルムを張っておく。
- 1週間寝かせた土に、株同士の間隔が40~50cmとってマルチフィルムに穴を空ける。
- 苗よりも1回り大きな植え穴を掘り、苗を植え付ける。
- 株元に注ぐように、たっぷりと水を与える。
キュウリの育て方!水やり、肥料の与え方は?
水やり
キュウリは根を浅く広く張る乾燥に弱い野菜なので、水切れを起こらないよう注意します。鉢植えやプランターは、土の表面が乾いたたっぷりと水やりをしていきます。敷きわらをしておくと、保湿と根の保護、また雨の跳ね返りからくる病気の予防に効果があります。
特に夏場は、水切れになりやすいので毎日夕方の気温が下がった頃に与えるくらいでよいですよ。地植えは、基本的に降雨のみでかまいませんが、土が乾燥しているようなら水やりをしてください。
肥料の与え方
植え付けるとき、土に野菜用の化成肥料を規定量混ぜ込んでおきます。その後は生長にたくさんの肥料が必要で、植え付け2週間後から2週間に1回粒状の化成肥料を施すか、1週間に1回薄めた液体肥料を与えます。
追肥は一度にたくさんやらず、少量ずつこまめにあげるようにしましょう。1株に1回5g程度が目安です。肥料が不足すると、つるが真横から下向きに伸びてくるので、目安にするとよいですよ。
キュウリの育て方!支柱立ての時期と方法は?
キュウリはつるを伸ばして生長するので、植え付けてから1週間後には、つるを絡ませられる支柱を立てていきます。
鉢植えは、バラの栽培で利用するドーム状のオベリスクを使うと便利です。支柱を使うときは、細いものを3~4本頂点で束ね、円錐を作るように株の周りに立てていきます。プランターなら、緑のカーテンの要領で、支柱を立ててネットを張りましょう。
地植えは苗の10cm外側に2~2.4mほどの支柱を立て、合掌式に組み上げてきます。支柱は土へ20~30cmほど深く差し込むと安定しますよ。市販のキュウリネットを使うと楽ですよ。
キュウリの育て方!誘引の方法は?
キュウリのつるが伸びてきたら、支柱へ誘引していきます。週に1回を目安に、麻ひもや誘引用のワイヤーでつるを支柱に結びつけましょう。このとき、きつく結んでしまうと紐が茎にめり込んでしまうので、多少余裕を持たせることがコツです。
キュウリの剪定!脇芽摘みや摘心の時期と方法は?
脇芽摘み
苗植えから1ヶ月くらいたち、草丈が30cmほどに生長したら、下から5枚目の本葉までに付いている脇芽は全て摘み取ってしまいます。これによって株の風通しがよくなり、生育も促されます。
6枚目の本葉より上の脇芽は伸ばしていき、それぞれの脇芽に葉っぱが1~2枚付いた時点で先端を摘み取ると株の形がきれいにまとまっていきます。脇芽が小さいうちに摘み取るようにすると、傷口が小さく済んで株の負担も軽くなります。
摘心
キュウリの草丈が背丈を超えてくると、収穫や管理が大変になるので、摘心をして草丈がそれ以上大きくならないようにします。先端に付いている芽を手やハサミで摘み取り、生長を止めましょう。
生長が止まることで、栄養が葉っぱや花、実に分散して株が充実します。切り口に菌が入らないよう、晴れた日の朝に清潔な用具を使って行うと安心です。
キュウリの収穫の時期と方法は?
キュウリの収穫時期は、6月上旬~9月下旬までです。収穫時期のキュウリの生長はとても早く、開花から10日くらいたつと実は20cmほどの大きさになっていますよ。実は大きくなりすぎると味が落ちるので、時期を逃さないようにしてくださいね。
半日ほどでも大きくなるので、朝と夕方、1日に2回収穫すると良いですよ。葉の裏などに隠れていることもあるのでよーく探して収穫しましょう。小さめで収穫するようにすると持続的にたくさん採れます。特に栽培初期は早めに収穫するように心がけましょう。
キュウリの栽培で注意する病気や害虫は?
キュウリの栽培中は、うどんこ病に注意が必要です。気温が高く、湿度の低い環境で感染しやすく、株が葉っぱの表面に繁殖して白い粉をかぶったようになり、葉っぱが枯れて収穫量も低下してしまいます。病気にかかった葉っぱはすぐに取り除き、殺菌剤を散布して防除していきましょう。
葉に多角形の黄色い斑点ができる“べと病”にも注意が必要です。水はけと風通しを良くして、肥料不足、実のならせすぎに注意してかからないようにしたいです。また、アブラムシ、ハダニ、ウリハムシなどの害虫にも要注意!
キュウリの育て方のポイントは?
風通しと日当たりのよい場所で、たっぷりと水を与えて育てることが、おいしいキュウリを育てるポイントです。
キュウリの95%は水分で、「水で育てる」と言われるほど水を必要とします。果実が曲がったりくびれたりしていびつになってしまうようなら水分もしくは肥料が足りないサインです。こまめにチェックしましょう。
ただ、過湿による病気にもかかりやすいので、梅雨の時期は気をつけましょう。また、連作障害を防ぐため、過去にウリ科の植物を育てた土には植え付けないようにしてください。接木苗を用いることで連作障害は回避できますよ。
キュウリの栽培で野菜の育て方の基本が身につく
キュウリは、鉢植えでも気軽に栽培できる、初心者でも取り組みやすい野菜です。摘心や誘引など、植物の栽培の基本がつまっているので、一通り育て終えると他の植物の栽培にも生かすことができますよ。まずは1株から栽培をはじめてみてはいかがでしょう。
更新日: 2021年05月19日
初回公開日: 2016年04月14日