独特の香りが食欲をそそる紫蘇。その中でも、梅干しの色付けやふりかけによく使われるのが赤紫蘇です。濃い紫色の葉っぱが目を引きますよね。今回は、そんな赤紫蘇について、旬の時期や栽培方法、育て方のポイントなどをご紹介していきます。
赤紫蘇とは?葉の特徴は?
赤紫蘇は、シソ科・シソ属の一年草です。中国からヒマラヤが原産とされており、日本では縄文時代にはすでに自生していたとされています。シソ属の植物は、交雑しやすいことからたくさんの品種があります。
なかでも、赤紫蘇は、全草が濃い赤紫色をしたものを指します。この色合いを活かして、梅干しの色付けに利用されるほか、「ゆかり」と呼ばれるふりかけに加工されたり、刺し身の薬味に使われたりします。
葉っぱは先端の尖った卵型で、縁にたくさんのギザギザが入ります。表面は葉脈がはっきりとしており、品種によっては表面が縮れていることもあります。夏~秋にかけて、株の中心から太い茎を伸ばし、先端の紫色の小さな花が穂のように集まって咲きます。
赤紫蘇の学名・原産国・英語
- 学名
- Perilla frutescens var. acuta
- 科・属名
- シソ科・シソ属
- 英名
- Red perilla
Red shiso
- 原産地
- 中国~ヒマラヤ
- 開花期
- 7~9月
- 花の色
- 紫
- 別名
- ー
赤紫蘇の栄養や効果・効能は?
赤紫蘇は、シソニンという色素によって赤色に染まっています。このシソニンは、酸と反応することで鮮やかな赤色になる特徴があり、梅干しを赤く色付けすることができるんです。
シソニンには、体内で作られた活性酸素を除去する強い抗酸化作用があり、動脈硬化の予防やアンチエイジングの効能が期待できます。また、香り成分には細菌の繁殖を抑える作用があり、生物が腐ったり、カビたりするのを防いでくれますよ。
赤紫蘇の育て方のポイントは?
20〜25度の気温でよく日光に当てることが、赤紫蘇を元気に育てるポイントです。赤紫蘇の種は、日光に当たらないと発芽せず、乾燥に弱い性質があります。ただし、直射日光に当たると葉が硬くなるので、半日陰で栽培してください。
赤紫蘇の種まきの時期と方法は?
地面に直接種をまいて育てることもできますが、苗までセルトレーで育てた方が、生育がそろいます。霜が降りなくなった3~5月が種まきの適期です。日光がないと発芽しないので、種が風に飛ばされないよう、薄く土を被せるのがポイントです。
- 種を1日水に浸けておく
- セルトレーに種まき用培養土を入れる
- 1区画に1粒ずつ種をまき、薄く土を被せる
- 日当たりのよい場所で、土が乾燥しないよう水やりをして管理する
- 10日ほどで発芽したら、土が乾いてから水やりをする
- 本葉が4~6枚生え、草丈が10cmほどになったら鉢やプランター、地面に植え替える
赤紫蘇の苗植えの時期と方法は?
4~5月が苗植えの適期です。自分で育てた苗か市販のものを鉢やプランター、地面に植えていきます。一年草なので、植え替えの必要はありません。生命力が強く、地面に落ちた種があたり一面に広がってしまうこともあるので、栽培場所を区切りたいときは地面に植えない方が安心です。
鉢・プランター植え
水はけと水もちのバランスがよい土を好みます。容器に植えるときは、赤玉土(小粒)6~7:腐葉土3~4の割合で混ぜた土か、市販の野菜用培養土がおすすめです。鉢植えなら7~10号鉢に1株、60cmプランターなら株同士の間隔が15cm以上空くよう、2~3株が植え付けの目安となります。
- 鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 土を容器の7~8割ほど入れる
- 株同士の間隔をとりながら、苗よりも一回り大きな穴をスコップで掘る
- 苗を穴に置き、周りに土を入れて安定させる
- たっぷりと水やりをして、半日陰で管理する
地植え
赤紫蘇は地植えでも栽培が可能です。半日陰の場所で腐葉土を3割ほど混ぜ込み、1〜2週間寝かせておきます。土の水はけが気になるようなら、腐葉土をたっぷりと混ぜあわせて耕しておきます。植え穴を15~30cm間隔で空けて、鉢・プランター植えと同じ手順で植えます。
赤紫蘇の水やり、肥料の与え方
水やり
赤紫蘇は、湿度を高い状態を好みます。鉢やプランターで栽培するときは、土の表面が乾きはじめたら、底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。地植えは、乾燥が気になったとき以外は水やりをしなくてかまいません。
肥料の与え方
植えるときに、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜ込んでおきます。追加で肥料を与える必要はありません。生育が悪いときだけ、7~15日に1回、薄めた液体肥料を与えてください。
赤紫蘇の剪定や収穫の時期と方法は?
赤紫蘇は収穫量を増やすために剪定をします。草丈15~20cmになったら、株の頂点の芽を摘み取り(摘心)ます。この摘心によって他のわき芽が増え、収穫量が多くなるのです。
草丈が20~30cmになったら、若い葉っぱを下の方から手で順番に摘み取ってください。収穫の時期としては、6月中旬から7月上旬が適期です。
赤紫蘇の栽培で注意する病気や害虫は?
赤紫蘇は丈夫な植物で、病気や害虫の心配は特にありません。ただ、ときどきアブラムシやバッタなどによって葉っぱが食べられてしまうことがあります。
害虫は見つけたら株からガムテープなどを使って取り除いていきます。食べるものなのであまり使いたくはありませんが、大量発生したときは食用の植物に使える薬剤を散布するのも1つの方法です。
赤紫蘇は初心者でも栽培しやすいハーブ
赤紫蘇は、土の乾燥に気をつけていれば元気に育つハーブです。こまめな手入れは必要なく、植物の栽培に慣れていない方でもおすすめです。収穫した葉っぱは、乾燥させてふりかけにしたり、煮だしてジュースにしたりと料理の幅も広がりそうですね。ぜひ、自宅で栽培した赤紫蘇を使ったご飯を堪能してみてください。
更新日: 2021年09月15日
初回公開日: 2016年07月25日