綿は、私たちの服やタオルなど古くから身近な繊維として親しまれています。ただ、その元となる植物が栽培されている姿を見たことのある人は少ないかもしれませんね。実は、美しい花を咲かせた、その後にできる種の周りに付いた毛を収穫して繊維にしているんですよ。
今回は、そんな綿とはどんな植物なのか、育て方のポイントや種まきからの栽培方法などについてご紹介します。
綿の学名・原産国・英語名は?
- 学名
- Gossypium
- 科・属名
- アオイ科・ワタ属
- 英名
- Cotton flower
- 原産地
- 世界中の熱帯・亜熱帯
- 開花期
- 7~10月
※綿の実ができるのは9~11月
- 花の色
- 黄色
- 別名
- –
綿とは?花の特徴は?
綿は、アオイ科ワタ属に分類される植物の総称で、アジアや中南米などを中心に世界中の熱帯・亜熱帯に分布しています。多年草ですが日本での寒さを越すのはむずかしく、園芸上は一年草として扱われます。
草丈は80~150cmと種類によって様々で、花はアオイ科の植物によく見られるハイビスカスやオクラを思わせる黄色い花びらが特徴です。この花は1日しか開花せず、その後ツンと尖った丸い実を付けます。この実が膨らんではじけると、中からフカフカの綿毛が出てきます。
綿花とは?
綿花とは「綿の花」のことではなく、種子を包む白い「綿毛」のことを指します。まるで白い花のように見えることから、「綿花」と呼ばれるようになりました。
この綿は、白いものだけでなく、茶や緑、赤色のものがあり、加工して繊維になるだけでなく、切り花やドライフラワーに使われます。また、種は綿実油になり、食べることもできるんですよ。
綿の花言葉とは?
『繊細な』『有用な』
綿の花言葉はいずれも、美しい花の姿とやわらかい綿毛の用途の広さに由来しています。
綿の育て方のポイントは?
日当たりがよく、水はけと風通しのよい場所で育てることが綿の栽培では大切です。耐暑性は高いですが、寒さに強い性質があるので、日本では一年草として扱います。また、綿の毛が雨に濡れてしまうと固まって質感が落ちるだけでなく、カビが生えてしまうので、早めに収穫して楽しんでください。
綿の種まきからの栽培方法と時期は?
発芽適温は25~30度なので、5月初旬~中旬にかけて種まきをしていきます。移植を嫌うので、種まきから育てた苗は、鉢やプランターの場合は直播きに、地植えにするときは双葉が生えたタイミングで早めに育苗ポットから移していきましょう。
鉢植えは、10号以上の鉢を準備し、中心に穴を開けて3~5粒まいていきます。前日から一晩水に浸けておいた方が発芽しやすくなりますよ。60cmプランターなら2~3株が適当です。
土が乾かないよう水やりをしていくと10日ほどで開花するので、双葉が生えたタイミングで株同士が触れ合わないよう間引き、本葉が4~5枚になったタイミングで最終的な株の数を調節していきます。
綿の苗植えの時期と方法は?
育苗ポットで育てた苗の地植えは、日当たりと風通しのよい場所を選び、あらかじめ土作りをした土で幅40cm、高さ10~15cmの畝を作って植え付けていきます。本葉が4~5枚になった6月初旬頃が適期で、株同士の間隔は30cm以上空けてください。
綿の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
水はけのよい弱アルカリ性の土を好みます。鉢やプランターで育てるときは、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:川砂1の割合で混ぜた土に、大さじ1杯(10~20g)の苦土石灰を加えたものに植え付けるとよいですよ。地植えは、植え付ける2週間前から土作りをはじめます。耕した土に2週間前に苦土石灰を混ぜて寝かせ、1週間前に腐葉土や堆肥を混ぜて寝かせてから畝を作っていきます。
水やり
若苗時期は加湿を嫌うので、水を与え過ぎないように注意します。鉢植え・地植えともに、表土が乾いたら水やりをしましょう。
開花期は乾燥に弱く、水を欲しがるので、朝夕たっぷりと水やりします。特に鉢植えでは水切れさせないようにしましょう。
肥料の与え方
植え付けるとき、土へゆっくりと効く緩効性化成肥料を混ぜ込んだら、その後の肥料は特に必要ありません。とはいえ、株の様子を見ながら、開花する7月までに追肥として、三要素等量の緩効性肥料を与えるといいでしょう。ただし、与え過ぎると花付きが悪くなってしまいます。
綿の手入れ!支柱立てや剪定の時期と方法は?
支柱立て
生長がゆっくりなところはじれったいですが、最終的には草丈1m前後まで生長します。草丈が20cmほどになってきたタイミングで株のそばに支柱を立てて支えます。1.2m支柱を立て、伸びてきた茎と麻ひもなどでゆるやかに8の字で結ぶとよいですよ。
剪定
放っておくと上にばかり伸びてしまうので、7月頃に頂点を摘み取る摘心をします。すると、枝が横にはるようになり、花数が増えます。
綿の収穫の時期と方法は?
コットンボールができあがるのは、花が咲き終わった9~11月です。花が咲いてから40~50日後が収穫時期の目安です。
繊維として活用するときは、実が開いた時点ですぐに摘みとっていきます。割れた直後の実は、水分を沢山含んでいるので、すぐに袋に入れるとカビが生えてしまいます。よく乾燥させるようにしてください。
また、雨に濡れると固くなり形が崩れてしまうので、アレンジメントやドライフラワーなどの切り花として利用するときも、茎ごと早めに摘みとった方がよいですよ。
綿をアレンジして楽しもう
コットンボールの付いた実は、枝ごと収穫してドライフラワーとして飾って長く楽しむこができます。また、実をクリスマス・リースに付けてアレンジするのもおしゃれですよね。栽培自体はあまりされない植物ですが、丈夫で育てやすいので、花材として活用したい人はぜひ育ててみてください。
更新日: 2018年07月26日
初回公開日: 2016年05月01日