秋の野山に咲くアザミは、古代から私たち日本人になじみのある草花で、綿毛のついた紫やピンクの花がかわいらしいですよね。また、ギザギザのトゲが特長ですが、そんなアザミは食べることができることをご存知でしたか?今回は、アザミの花言葉や種類、食べ方などについてまとめました。
アザミ(薊)の花言葉
『独立』『報復』『厳格』『触れないで』
孤独を感じさせるアザミの花言葉は、トゲのある姿と、すっと伸びた固い茎に由来しているとされています。特に、「独立」という花言葉は、スコットランドがノルウェー軍に夜襲を受けた際、アザミのトゲを踏みつけたスコットランド兵の声でスコットランド軍が追い打ちをかけることができたという話に由来しています。このエピソードによって、アザミはスコットランドの国花となっています。
アザミ(薊)の花の色や学名は?
- 学名
- Cirsium
- 科・属名
- キク科アザミ属
- 英名
- Japanese thistle
- 原産地
- 日本など北半球
- 開花期
- 4~7月
- 花の色
- 紫、ピンク、白
- 別名
- 野薊(ノアザミ)
ドイツアザミ
ギザギザとしたトゲ状の縁の葉をつけ、堅い茎を持っているアザミは、紫色、ピンク、白の花を咲かせるキク科の植物です。花後は、タンポポのような綿毛を持った種をつけます。
園芸品種として育てられているのは、日本原産の山野草「ノアザミ」を品種改良した「ドイツアザミ」、または「ハナアザミ」といわれる品種群です。ドイツアザミといっても、ドイツとは関係がなく、大正時代に花を売るときに、おしゃれな横文字を名前に入れてみようと商人が考えたのが由来だとされています。
アザミ(薊)の開花時期と見頃の季節は?
園芸種は主に4~7月が開花時期です。7月に半分程度まで切り戻すと、秋にも花を楽しむことができます。野生種は種類によって開花時期が違うので、それぞれを咲かせて比べるのも楽しそうですよね。
アザミは本来多年草ですが、花後に枯れることが多いので、園芸品種としては一年草として扱われることもあります。
アザミ(薊)の種類や品種は?
アーリーシリーズ
アーリーレッド、アーリーピンクなどの園芸用に改良されたドイツアザミの一種です。明るい花色と、柔らかなトゲが特徴です。
フジアザミ
日本国内で最も大きな花を咲かせるアザミです。夏の終わりから秋にかけて開花します。
ナンブアザミ
草丈2mにまで成長し、花を横向きか下向きに咲かせる品種です。北海道から中部地方にかけての主に日本海側に生息しています。
タイアザミ
関東地方に生息するアザミで、ナンブアザミの変種です。「トネアザミ」という別名を持っています。
マリアアザミ
ヨーロッパ原産で、草丈1~2m、花は直径10cmにもなる大型種です。ヨーロッパでじゃ昔からハーブ治療に用いられていました。肝臓病に効果があるとされています。
キセルアザミ
横向きや下向きに花が咲き、煙管(キセル)に姿が似ている、ということからこの名前がつきました。「マアザミ」という別名があり、湿地に生息しています。
アザミ(薊)の食べ方は?
ほとんどのアザミは、野草独特の苦みがあり、食べて楽しむことができます。若い葉なら、油で揚げたり、茹でたりすればトゲトゲはほとんど気になりません。
また、葉や芽は天ぷら、ごまあえ、クルミあえ、からしあえなどの和え物、炒めものなどに向いています。根には強いアクがあるため、茹でた後に米のとぎ汁に一晩さらしてキンピラにするのがおすすめです。
採取する際には、茎が固いので、ケガをしないように軍手などを着用して鎌やナイフなどで切り取りましょう。また、トゲが刺さらないよう気をつけてくださいね。
アザミ(薊)は種類が豊富な花
日本には150種を超えるアザミが生息しており、そのうちの50~80種は日本の原生種といわれています。それぞれ花の様子や、花のサイズが違うので、長い期間アザミは楽しむことができます。
ただ、名前にアザミとつく別種の植物もたくさんあります。たとえばキツネアザミ、朝鮮アザミ(アーティーチョーク)、ヒメザミ(タムラソウ)、ルリタマアザミ(エキノプス)は、アザミとは何の関係もありません。このように、古くから親しまれるが故に複雑な部分もあるので、まずはアザミのことを知って楽しみたいですね。
更新日: 2022年03月16日
初回公開日: 2015年07月20日