サンザシ(山査子)は、実がお酒やドライフルーツ、漢方などとして親しまれている中国原産の落葉低木です。白い花を咲かせ、秋には真っ赤な実をつけることから、盆栽の素材としても用いられています。今回は、そんなサンザシの花言葉や実の効能、苗木の育て方をご紹介します。
サンザシ(山査子)の花言葉
『希望』『ただ一つの恋』『成功を待つ』『厳格』
サンザシは、欧米では5月を象徴する花とされています。この5月が、1年で最も楽しい季節であるとされることから、「希望」という花言葉がつけられました。また、セイヨウサンザシの花が北アメリカに移住したピューリタンのメイフラワー号に描かれていたことも「希望」という花言葉の由来の1つになっています。
「たった一つの恋」は、「ハイランドのメリイ」というスコットランドの詩人ロバート・バーンズと亡くなった恋人との想い出と追悼を表した詩にちなんでいます。
サンザシの花の色や学名は?
- 学名
- Crataegus cuneata
- 科・属名
- バラ科サンザシ属
- 英名
- Japanese hawthorn
May tree
Mayflower
- 原産地
- 中国、北半球の温帯
- 開花期
- 5~6月
- 花の色
- 白、赤
- 別名
- クリトチ
オオトチ
メイフラワー(セイヨウサンザシ)
メイブロッサム
サンザシは中国原産の落葉低木で、北半球の温帯に800~1000種が分布しています。そのほとんどは北アメリカに自生しており、「メイフラワー」「セイヨウサンザシ」の名前で、街路樹や生け垣として栽培されています。日本へは朝鮮半島を経由して、江戸時代中期に薬用植物として伝わり、盆栽の素材として親しまれています。
クサボケの実である『山査』に味が似ており、山に実ることから「山査子(サンザシ)」と名付けられたといわれています。花は5~6月に咲き、9~10月に真っ赤な実をつけます。
サンザシの実の効能は?
中国原産のオオミサンザシの実は古来より「命を養う不良長寿の妙薬」とされ、胃の調子を整える漢方薬として親しまれてきました。また、セイヨウサンザシは血流をよくする作用があり、心疾患などの生活習慣病の予防に効果があるとされています。
他にも、実にはクエン酸を多く含むことから、疲労回復や抗酸化作用などの効果も期待できます。
サンザシの苗木の植え付け時期と方法は?
サンザシの苗木は、地植えと鉢植えで育てることができます。11~4月の花が咲く前に植え付けられますが、特に生長が停止している10月上旬~11月下旬か、落葉期である2月下旬~3月下旬が適しています。
地植えの場合は、日照不足になると枝つきが粗く、花つきも悪くなるので、水はけがよく、西日が当たらない日なたを選んで植え付けましょう。庭土を使う場合は、腐葉土や完熟堆肥を掘りあげた土を事前に混ぜ込みます。
そして根がよく広がるよう、根鉢の2倍の深さと幅の穴を掘り、苗を据えます。少し山高に土を盛ることで、水はけをよくできますよ。植え付けた後は、根鉢の回りに水をたっぷり注ぎ、棒で土をつついて根と土をなじませてください。
鉢植えの場合は、根鉢より一回り以上大きな鉢を準備します。そこへ赤球土(小粒)1:鹿沼土1:腐葉土1を混ぜあわせた用土を入れ、根鉢を1/3ほど崩して植え付けます。1年を通して戸外で管理できますが、真夏は半日陰で育てるといいですよ。
サンザシの水やり・肥料の与え方
地植えの場合は、特に水やりをする必要はありませんが、真夏の高温期で土壌が乾きすぎる場合は、朝か夕方に水やりをします。鉢植えの場合は、夏は水を切らさないように水を与え、春と秋には乾いたら与えるようにします。冬は特に乾燥気味に育てるようにしましょう。
肥料は、地植え、鉢植えともに緩効性の化成肥料や固形の油かすを2月上旬~3月下旬に寒肥として与えます。窒素分が多い肥料だと、枝はよく伸びますが、花つきが悪くなるので、リン酸やカリウムの多いものが適しています。鉢植えの場合は、花の後に追肥するのもいいですよ。
サンザシの剪定時期と方法は?
サンザシは、短い枝に花芽をつける性質があり、徒長した枝に花はつきません。そのため、木がまだ若いうちから毎年剪定するようにしましょう。
1~4月休眠期に行うのが最適で、長く伸びた枝は切りつめ、短い枝は残すように剪定していきましょう。また、内側に伸びた細かい枝や絡み枝などは、風通しと採光をよくして害虫の発生を抑えるために適度に切り落とします。
サンザシの増やし方!種をまく時期と方法は?
サンザシの苗木は、一般的にカリンやサンザシの枝を台木として、接ぎ木されたものが販売されています。しかし、台木の入手は難しいことから、家庭で増やす場合は、種をまいて育てていきます。種は実が熟した10月以降に採取することができます。
採取した種は、果肉を水で洗ってきれいにし、すぐに5号ほどの平鉢に赤玉土をまいて、1cmほどの深さに植え付けます。植え付けた鉢は戸外で管理し、土が乾かないように水やりをすると、翌年の春に発芽しますよ。ただし、サンザの園芸品種を種で育てると、親株と同じ花は咲かないので注意してください。
サンザシが気をつける病害虫は?
サンザシは、うどんこ病やテッポウムシの被害にあう場合があります。
うどんこ病は、葉にカビの菌が住みついて白い粉がふいたようになる、春夏や初秋に繁殖しやすい病気です。発生初期であれば重奏を溶かした水を散布して繁殖を抑えることができます。また、定期的に殺菌・殺虫財をまいて対処しましょう。
テッポウムシとはカミキリムシの幼虫で、幹の内部を害食し、被害が拡大すると木の生長が止まってしまいます。定期的に薬剤を散布することが大切です。
サンザシの花はかわいらしい姿
サンザシは、暑さに強く、耐寒性をもつ種類も多いので、ガーデニング初心者でも簡単に育てることができる花木です。春にはかわいらしい花を咲かせ、秋には美しい紅葉が鑑賞できる楽しさがありますよ。「庭に何を植えようかな?」と迷ったらぜひサンザシを植えるのがおすすめです。
更新日: 2021年07月07日
初回公開日: 2015年07月31日