アジサイには様々な種類がありますが、小さくてかわいらしいと人気のヤマアジサイのその一つ。アジサイ同様、初心者にも育てやすい種類です。今回はヤマアジサイの育て方をご紹介します。
ヤマアジサイ(山紫陽花)はどんな花を咲かせる?
ヤマアジサイはガクアジサイと比べて花序や花房が小さく、葉も小ぶりで繊細な印象があります。細い枝の先に花が咲き、満開時に花が咲き膨らむ姿はかわいらしく、華やかさも感じられます。
咲き方としてはまず中心部に小さな花が集まって咲き始め、その周りを囲うように花弁状の「装飾花」が咲くのが特徴です。この装飾花の色調変化が美しく、時に虹色の変化を帯びることもあります。
ヤマアジサイは日本各地で古くから自生している野生種ですが、最近ではさまざまな品種が生み出され庭木や鉢植えの花としても親しまれています。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!土づくりのコツは?
ヤマアジサイは水はけがよく保水性の高い土を好みます。土はホームセンターなどに売られている庭木用培養土やアジサイ専用培養土を使っても構いません。
一から自分で作る場合は、小粒の赤玉土7:腐葉土3の割合が最も作りやすい割合ですが、青色をよりきれいに出したいならば、小粒の赤玉土6:鹿沼土3:ピートモス1などで土を弱酸性の状態に傾けるとよいでしょう。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!日当たりや置き場所は?
ヤマアジサイは基本的に水を好みます。サワアジサイと呼ばれることもあり、水辺の近くで比較的よく見られます。
日光を好むものの、耐陰性もあり水気の多いジメジメした土壌でよく育ちます。
しかし強い直射日光には弱く、日光に当たる時間が長いと花弁が全体的に色あせてしまうこともあります。
半日陰や木陰の下で管理を行うとよいでしょう。多少日当たりが悪くても花付きが悪くなるようなことはありません。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!水やりのコツは?
ヤマアジサイは、特に鉢植えの場合に水切れさせやすいので特に注意しましょう。
水やりのタイミングとしては表面の土が乾燥していたり、根元を指でほじって土が手につかないほどサラサラになっていたら水をたっぷりと与えます。また水やりする時は花弁(ガク)部分をあまり濡らさないようにしましょう。濡れた状態から直射日光にあたると色あせしやすくなります。
鉢植えの場合は、鉢から水がぽたぽたと染み出るまで与えます。庭植えの場合は、植え付け直後~2週間ほどはこまめな水やりが必要ですが、その後は基本的に天候にまかせても問題ありません。(夏場など気温が極端に高い日をのぞく)
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!肥料の与え方は?
ヤマアジサイの肥料には「お礼肥」と「次の花芽のための肥料」、そして冬場に栄養を蓄えさせるための「寒肥」があります。
お礼肥は花が咲き終わったあとの6月頃に即効性のある液肥を10日1回ぐらいの割合で与えます。その後8月頃に緩効性肥料を与えるのですが、これは株の体力回復と次の花芽が元気につくようにです。
そして1月頃に寒肥(骨粉、油かすや鶏糞など)を与えると春にまた元気な新芽をつけてくれます。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!注意すべき病害虫と対策法は?
ヤマアジサイがかかりやすい病気としてうどんこ病や、炭そ病、モザイク病などがあります。大きな被害が出ることは稀ですが、うどんこ病は枝葉が混み合っている箇所に発生しやすいです。
害虫ではカイガラムシやオオミノガがアジサイの生育期間中に発生したり、春先から夏・晩秋の頃などにハダニが発生することがあります。病気の対策法としては枝葉が混み合っている箇所は剪定し、黄葉や枯れ枝などはまめに取り除くなどです。
害虫発生を見つけたら、オルトラン水和剤を1000倍に薄めて散布するなどの方法があります。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!植え付けの時期は?
ヤマアジサイの植え付け時期は大体11月~3月頃の株の休眠期に定植するのをおすすめします。鉢植えの場合は値詰まりを起こしやすいので、2~3年に一度同じく休眠期に植え替えをしましょう。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方!剪定の方法は?
ヤマアジサイの剪定ですが、各枝の上から数えて2つめの芽の上で切るのが基本的な剪定方法です。
ヤマアジサイの剪定は7月末までに行う必要があります。このころはまだ花がきれいについているかもしれませんが、8月以降になると翌年の花芽をつけます。
これ以降の時期の剪定になってしまうと、翌年分の花芽まで切り落としてしまい、翌年花が咲かなくなってしまうからです。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の増やし方は?
ヤマアジサイの増やし方としては「挿し木」が一般的です。鹿沼土を敷いた植木鉢に挿し木することで新たな株が増やせます。挿し木の時期は花が咲き終わる頃の6月末~7月の梅雨時期が湿度も高く、発根しやすいのでおすすめです。
株分け
ヤマアジサイも含めアジサイの株分けはあまり一般的な方法ではありませんが、鉢植えにされているアジサイの中には2~4株を寄せ植えされていることがあります。それらは根が込んでいなければ株分けすることができるでしょう。小分けにしすぎると花つきが悪くなったり株が衰弱するので注意しましょう。
挿し木
ヤマアジサイの挿し木のやり方ですが、前年度の枝を用いて3月~4月頃もしくは、6月頃にその年に出た枝を土に挿します。挿し木に用いる枝はできるだけ威勢のよい太くて丈夫な枝を選びましょう。挿し木する枝は葉芽を二段ほど残します。(葉は半分ほどに切り落とす)
そして土に挿す部分を斜め切りにし、活力剤のメネデールを100倍に薄めたものを3~5時間ほど吸わせます。その後ビニールポットや植木鉢に入れた鹿沼土に挿します。(鹿沼土も水を吸わせておくとベスト)
その後2~3週間で発根するので、根が十分に伸びたらアジサイ用土に植え替えます。挿し木が終わった直後~2週間ほどは用土が乾燥しないように朝夕の水やりを続け、風通しのよい半日陰で管理します。週に1回メネデール(100倍に薄めたもの)を与えます。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方で注意すべきポイントは?
注意すべきポイントとしては、やはり水切れしやすいことです。庭植え、鉢植えともに土が乾燥しないように注意しましょう。
ヤマアジサイ(山紫陽花)の種類、品種
ヤマアジサイの代表的な品種の1つに「紅(くれない)」と呼ばれる品種があります。
咲き始めは白ですが、花が成熟するにつれて色調が真紅に変化していくのが特徴です。このように花の色が移り変わる品種としては他に「藍姫(あいひめ)」などがあります。最初は赤紫色をしていますが、色鮮やかな藍色に変化してき、その様は美しくとても見ごたえがあります。
またヤマアジサイの変種として「七段花(シチダンカ)」というものがあります。公園の花壇や植物園などで星のような形の花を咲かせるアジサイを見かけたことはありませんか?系統は同じヤマアジサイですが変種の一つだといわれています。
この他にもヤマアジサイの園芸品種の銘品が次々と生み出されています。
ヤマアジサイ(山紫陽花)を育ててみよう
普段は木陰で静かに枝葉を広げていますが、開花時期には、梅雨の物憂さを吹き飛ばすかのように美しい色調変化で私たちの心を和ませてくれます。
ベランダなどでは鉢植えで育てることも多いと思いますが、水切れや根詰まりにはくれぐれも気を付けてくださいね。
更新日: 2021年07月14日
初回公開日: 2020年05月29日