苔は、世界中のどこでも見かけるほど種類が多い植物です。ジメジメとした薄暗い場所で育つイメージですが、実は種類によって好みの生育環境は様々。また、環境によって色合いも変わってきますよ。苔の世界を知れば知るほど、苔のイメージが変わるかもしれません。今回は、そんな苔の種類についてまとめました。
目次
苔(コケ)の種類と特徴は?
1. スナゴケ(砂苔)
スナゴケは、北半球の広い範囲に分布する苔の種類で、日当たりがよい砂地や岩の植えに自生しています。乾燥、高温、低温、湿度といったあらゆる環境に強く、直射日光にも負けずに育つことから、緑化素材としても利用されます。茎を3~5cmほど不規則に伸ばし、卵型の葉っぱを密に茂らせます。
2. ハイゴケ(這苔)
ハイゴケは、湿度さえあればどんな環境でも育つことから、日当たりのよい草むらやあぜ道などで見かけることができます。黄緑や茶色っぽい色をしており、丈夫なことから、苔玉やテラリウムなど様々なシーンで利用されます。ただ、蒸れやすい性質なので、明るい場所で管理するときは注意が必要です。
3. ギンゴケ(銀苔)
ギンゴケは、日本を含む世界中に分布している小型な種類で、南極大陸にも生息しています。野山ではなく、都会のコンクリートの上の方がよく見かけますよ。乾燥と寒さに強い品種が多いので、たくさんの水を与える必要がなく、管理しやすいことがポイントです。
4. ミズゴケ(水苔)
ミズゴケは、森や林の中の湿った場所や水の滴る岩上などに生えている種類です。日本では、自生しているものは保護されているので、採取することができません。外国産の乾燥させたものが蘭などの植え込み材として利用されます。
5. タマゴケ
タマゴケは、湿った林の中や岩の上に、半球状の塊になって生えている種類です。「朔(さく)」と呼ばれる胞子嚢が丸いことから名付けられました。日陰を好み、明るい緑色の葉色が美しいですよ。
6. シノブゴケ
シノブゴケは、日陰の湿った土や岩の上に群れて生える種類です。横にはって広がり、マットのようになる姿が美しいことが特徴です。葉の形や色がと鮮やかで、アクアリウムやテラリウムの素材としてよく利用されます。
7. ヒノキゴケ(檜苔)
ヒノキゴケは、山地の林の中など湿度の高い環境に自生する種類です。ふさふさとした葉っぱが柔らかい印象で、色味も鮮やかなことから、造園によく利用されます。「イタチのしっぽ」という別名を持っています。
それぞれの苔(コケ)が好む日照条件
日陰 | やや暗い日陰 | 半日陰 | 日向 | |
ヒノキゴケ | ○ | |||
シノブゴケ | ○ | ○ | ||
ハイゴケ | ○ | ○ | ||
ギンゴケ | ○ | ○ | ||
スギゴケ | ○ | ○ | ○ | |
スナゴケ | ○ | ○ |
苔(コケ)の鑑賞方法とおすすめの品種
苔庭
苔の楽しみ方にも色々ありますが、ポピュラーなのものの1つが苔庭です。庭の日当たりによって選ぶ苔の種類は変わるので、上記の好む日照条件を確認してみてください。よく利用されるヒノキゴケやハイゴケは、育てやすくおすすめです。
盆栽
盆栽が好きな方は、樹木と苔のコラボレーションを楽しむのもよいですよね。おすすめは、スナゴケギンゴケ・タチゴケ・ミズゴケ・ヤマゴケなどです。
苔玉(コケダマ)
苔玉は、最近流行している植物の育て方の1つです。好みの観葉植物の根をケト土などで包んで球状にし、外側に糸で苔を巻きつけると完成します。すずしげな雰囲気で、見ているだけで穏やかな気持ちになれますよ。
苔玉作りに向いている苔は、ハイゴケ・ハネヒツジゴケ・スナゴケなどです。お気に入りの植物で苔玉を作ってくれるお店もあるので、手作りするのはハードルが高いという方は利用してみてください。
苔テラリウム
苔玉や盆栽とおなじように、苔と植物を一緒に観賞する方法として、「苔テラリウム」があります。テラリウムとは、透明な容器の中で植物を栽培するもので、お気に入りのガラス容器やコップに土を敷き、その上に好みの苔や植物を植えて作っていきます。あまり世話の必要ないタマゴケ・シノブゴケなどが向いています。
自分の生活に合った苔(コケ)を栽培して楽しもう
苔と一口に言っても、好む環境や見た目は様々です。その生態を知っておくと、利用するシーンもイメージしやすいのではないでしょうか?最近は苔玉作りもブームとなり、苔の需要が増えています。だからこそ、自分の生活に合った苔を選んで、長くその魅力に触れていけると、楽しみがより広がりそうですね。
更新日: 2022年09月07日
初回公開日: 2016年01月27日