苔玉は、多肉植物を育てるような感覚で、草木を栽培する方法の1つです。植物の根元を丸く苔で覆うことから「モスボール」とも呼ばれ、盆栽感覚で楽しむことができますよ。また、部屋に置いても重苦しさがなく、インテリアとしても人気です。今回は、植物と苔玉の手入れや水やり、植え替え、虫の対処法などの育て方についてご紹介します。
苔玉の育て方のポイントは?
苔玉を美しく維持するためには、水やりがポイントです。苔は発達した根をもたず、葉や茎で水を吸収することから、水が多すぎると根が傷んで枯れてしまいます。
ただ、植え付けている植物には水が必要なので、霧吹きで葉っぱに水を吹きかけるなど、苔玉以外での湿度の調節も必要です。
苔玉の手入れ!置き場所、水やり、肥料の与え方は?
置き場所
苔は日陰を好みますが、全く日に当たらない場所では光合成ができず、枯れる原因になります。2~3日に1回は屋外の明るい日影や半日陰に置きましょう。ただし、夏場の直射日光は苔や植物を傷める原因になるので、避けてください。
また、湿気の多い環境で育てると、苔にカビが生え、腐って枯れてしまいます。風通しのよい場所に置くか、日に当てるタイミングでお部屋の換気をすると安心です。
水やり
苔玉が枯れる一番の原因は、水不足です。苔に覆われているので水分があるように見えますが、中まで水が浸透しないことがあり、植えている植物を枯らしてしまいます。
苔玉を持ち上げて軽くなっていると感じたときは、水やりのタイミングです。バケツや洗面器に水を溜め、その中へ苔玉を沈めます。5〜10分ほど浸け置き、気泡が出なくなったら水から引き上げてください。2〜3日に1度の水やりが目安です。
また、苔は完全に乾燥させると今度は水をはじき、中まで水が染み込みにくくなります。1~2日に1回、苔が乾いていたら霧吹きで水を吹きかけましょう。
肥料の与え方
苔に肥料は必要ありません。ただし、植物の生育を促すためには肥料が必要です。ただ、与えすぎると根腐れを起こすことがあるので、規定より2倍以上薄めた液体肥料を1~2週間に1回、与えるようにしてください。
濃度の調節が難しいと感じるなら、肥料をあまり必要としない植物を植え付けるのも1つの方法です。
苔玉の植え替えの時期と方法は?
2~3年に1回、苔玉の植え替えをします。植え付けた植物の種類にもよりますが、植物が芽吹く3~4月が適期です。鉢植え同様、植え付けた植物が生長すると根をはるスペースが足りなくなり、根づまりを起こして枯れてしまいます。
苔が裂けてきたときや、水を与えても植え付けた植物の元気がないときは、植え替えのサインなので見逃さないようにしましょう。
苔玉のサイズを変えたくないときは、植え付けた植物の根を切り詰めて生育を抑制し、根の長さに合わせて葉や枝を切り落として植え替えます。
植え替え方
1. 苔をはりつけている糸を切り、回りの苔をはがす
2. 根の回りについた土を洗い流す
3. 傷んだ根や細い根をカットする
4. 根の回りの土を増やし、新しい苔をはりつけていく
5. 苔玉ごと水に浸けて、十分に吸水したら引き上げる
苔玉の剪定の時期と方法は?
苔玉で育てている植物にも剪定は必要です。植物が育ちすぎると、水分不足に陥ったり、根詰まりを起こしたりして枯れる可能性があります。
植物ごとの剪定適期に合わせて、伸びすぎた枝や細い枝は切り取りましょう。ただ、切りすぎても枯れてしまうことがあるので、葉と根のバランスを維持するように心がけましょう。
苔玉についた虫の対処法は?
有機肥料を与えたり、根腐れを起こしたりすると、コバエが発生することがあります。また、屋外に出したときに虫がついてしまうことも。
コバエが発生した場合は、苔玉を一度解体し、根腐れをしている部分を切り取って新しい土に植え付けてください。何の虫かわからないときは、植物用殺菌・殺虫剤を1週間に1回散布して様子を見ます。
苔玉についたカビの対処法は?
気温と湿度が高く、風通しが悪いと、苔玉の表面にカビが生えてしまうことがあります。特に梅雨の時期は発生しやすいので注意してください。
カビを見つけたら、まずはベランダなど日当たりのよい場所で乾燥させます。その後、薄めた木酢液を染み込ませたティッシュやガーゼでカビをふきとっていきます。カビの発生範囲が広いときは、ベントレーやトップジンなどの殺菌剤を散布してもかまいません。
カビの予防のためにも、2~3日に1回は苔玉を日向に置き、部屋を換気してください。
苔玉が茶色くなったらどうする?寿命で枯れるの?
苔が茶色くなってしまう原因は、生育環境が悪いか、休眠期に入ってしまった場合が考えられます。
水のやり過ぎや風通し、日当たりの悪い環境では、苔が十分に育たずに枯れてしまい、変色している可能性があります。
水の与えすぎは苔が黒っぽくなり、ヌルヌルとするので、水やりを控え、風通しのよい場所で乾燥させましょう。また、2~3日に1回、外で日光浴させることを忘れずに。
休眠期に入ってしまった場合は、これまでと管理方法を変える必要はありません。春になると新芽が出て、また緑色に戻っていきますよ。乾燥した環境が続くと休眠してしまうので、適度に水やりをすることも大切です。
旅行や出張のときの苔玉の手入れは?
旅行や出張などで何日か家を留守にするときは、水に浸しておきます。底の深い皿や洗面器に水をはり、苔玉が1/4ほど浸かるようにしましょう。
苔玉の育て方は水、日光、風通しを意識しよう
草木と苔の2つの植物を育てられることも、苔玉の魅力の1つです。日光がよく当たる、風通しのよい場所に置き、水を十分に与えていれば、苔玉が枯れることはありません。鉢植えから苔玉へ、苔玉から鉢植えへ植え替えを楽しむのもよいかもしれませんね。
更新日: 2022年05月18日
初回公開日: 2015年10月17日