バーミキュライトは、土壌改良材や種まき、挿し木など園芸の幅広いシーンで利用される土です。茶褐色の層の中に金色や銀色をしたかけらの混ざった土を、一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
今回は、バーミキュライトとはどんな土なのか、種まきや水耕栽培での使い方、肥料成分や効果、安全性などについてご紹介します。
バーミキュライトとは?
バーミキュライトとは、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを主成分とする鉱物です。日本や中国、南アフリカ、オーストラリアなどで採取された雲母系の「ひる石」を原料とし、700度以上高温で焼き、膨張させて作られます。ゴールド、シルバー、ホワイトなど原産地によって色が異なるのが特徴で、いずれも光沢があります。
バーミキュライトの肥料成分は?
植物の生育をよくするマグネシウムやカリウム、鉄分といった微量要素を含んでいます。ただ、含有成分が水や土に溶け出すことはほぼないことから、肥料としての効果は期待できません。そのため、土壌改良材として使われるのが一般的です。
バーミキュライトの効果、特徴は?
保水性と排水性のバランスがよく、保肥性も高い
薄い層が積み重なった構造をしており、水や空気を通しやすい特徴があります。酸素不足になってしまった土に加えることで、土の排水性を改善させる効果があります。その一方で、容積の25~30%の水を吸収することから、水持ちをよくし、肥料を中に保っておく作用もあります。
断熱性と保温性
たくさんの穴が表面に開いているため、外からの熱を遮断し、中に熱を保つことができます。そのため、植物の発芽を促したり、真夏の暑さをしのいだりと、植物にとって生育しやすい環境を作り出します。
軽い
通常の土の約1/10以下の重さしかないため、ほかの園芸土と混ぜることによって土全体の重量を軽くすることができます。あまり重くできない吊り鉢や、土の持ち運びに苦労するベランダでのガーデニングに活用しやすくなっています。
無菌で清潔
pHはほぼ中性で、無菌なことから、病気や害虫に侵されやすい発芽や挿し木などの土として最適です。同じく無菌のピートモスや赤玉土と混ぜて使われます。
バーミキュライトの種まきでの使い方は?注意するポイントは?
単用で用いるか、パーライトや川砂、赤玉土、ピートモスなどと混ぜて使います。種まきから草丈がある程度伸びるまでは、バーミキュライトの量を多くし、大きくなるにつれて地上部の重さを支えるために、赤玉土や川砂など想い土を混ぜていきます。
バーミキュライトの水耕栽培での使い方は?注意するポイントは?
バーミキュライトを培地として活用し、苗を支えます。容器の下側には液肥を溶かした水を入れ、根から株へ栄養を与えます。バーミキュライトは軽く、水やりや移動させると根も動いてしまうため、根が安定せず、生育が悪くなってしまいます。
バーミキュライトの安全性は?
1970~1980年代にかけて、アメリカのリビー鉱山で採取されたバーミキュライトに毒性の高いアスベストが混入されているとして問題になりました。この鉱山は現在閉鎖されているので、アスベストが混入されている危険性はありません。
また、2006年にはアスベストの含有量が重量に対して0.1%を超える製品の製造・譲渡などを禁止する労働安全衛生法の改正施行令が実施され、その後も農林水産省の指導のもと製造業者に対して継続的な安全性の確認が行われています。
バーミキュライトの価格相場は?
市販されている用土の中では比較的高価な土です。ホームセンターでは、20L入りで600~900円ほど、5L入りだと200~300円くらいで販売されています。メーカーや品質によって数百円から数千円の幅があるので、使用量や目的に応じて好みのものを選びましょう。
バーミキュライトの特徴を知ろう
バーミキュライトは通気性・保水性・保肥性に優れた土です。単用で種まきや挿し木用土に、ブレンドして土の軽量化や土壌改良にと、用途が広いので、常備しておいて損はありません。少しの重さを持たせるだけで赤玉土の代わりとしても使えるので、マンションのベランダ栽培では特に活用できますよ。
更新日: 2018年07月24日
初回公開日: 2015年12月11日