ゴムの木(フィカス)は、熱帯地域を中心に約800種類が存在しています。もともとゴムの原料として育てられていましたが、強い生命力と美しい葉っぱが人気を集め、最近では観葉植物として楽しまれ、フィカス・ウンベラータやフィカス・アルテシーマなど、様々な種類があります。今回は、ゴムの木の育て方について、挿し木や取り木の増やし方、剪定や植え替えなど手入れの時期と方法を紹介します。
ゴムの木(フィカス)の育て方!鉢植えの時期と方法は?
ゴムの木は、5~9月頃にポット苗を、一回り大きな鉢に植え替えます。株を取り出し、根についた土を1/3ほど揉みほぐして取りのぞいてください。
鉢に鉢底石、土の順にいれて、苗を植え付けます。苗のまわりの隙間を土で埋めて、最後に手で土を押し固めましょう。苗がぐらつかないようであれば、水やりをして完了です。
ゴムの木(フィカス)の育て方!苗の地植え方法と時期は?
植え付けは、2週間前に土を作っておきます。苗よりも一回り大きな穴を掘り起こして、掘りあげた土に腐葉土を3割ほど加え、苦土石灰を少量混ぜてねかせおきます。植え付けのときは、苗を植え付けて最後に土を踏み固めてください。
寒さに弱いため、地植えは四国や九州などの暖かい地域でのみ育てることができます。冬に氷点下を下回る地域、冷たい風がよく吹く環境では1日で葉っぱが全て落ちたり、低温障害をおこして腐ったりして枯れてしまうので気をつけてください。
ゴムの木(フィカス)の育て方!土作り・水やり・肥料の時期と方法は?
土作り
水はけのよい中性に近い土を好みます。自作なら赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜ合わせます。苦土石灰を少量混ぜると酸性度が弱まるので、土質に合わせた量を混ぜ合わせてください。また、市販の観葉植物専用の土を利用しても問題ありません。
水やり
土の表面が乾いて、白くなってから水を与えます。鉢植えのときは、鉢底から流れ出るくらい水を与えてください。ただ、乾燥させずに水を与え続けると、根腐れの原因となるので注意してください。
特に鉢土の上から与えた水が受け皿に停滞していると雑菌により根腐れを起こす危険性が高くなります。与えた水は必ず受け皿にためないよう、掛け流しにするようにしてください。
肥料
小さいうちは肥料がなくても問題ありませんが、株が大きくなりやすいので、長期間植え替えていなかったり成長期になると肥料不足で葉色が悪くなることがあります。夏の成長期には固形肥料や液体肥料など使用してあげると効果的です。
ゴムの木(フィカス)の育て方!剪定の時期と方法は?
樹形の崩れや葉の密集を解消するために、5~9月頃に枝を切りそろえます。内向きの枝や重なり合った枝を、根本や枝の分かれ目で切りとりましょう。新芽のすぐ上で切りとると、次の枝が切り口の近くから伸びやすくなります。
切り口からは、ゴムの木特有の樹液が出てくるので、直接触れたり、床が汚れたりしないようにゴム手袋や新聞紙を用意しておきましょう。皮膚の弱い方は、かぶれる可能性があります。切り口にティッシュなどをあてがえば数分で樹液が止まります。
ゴムの木(フィカス)の育て方!植え替えの時期と方法は?
1~2年に1回、5月上旬~8月中旬に植え替えをします。鉢が根でいっぱいになって鉢底から出てきたり、水もちや水はけが悪くなったりしたときが、植え替え時です。
鉢から取り出した苗の古い土を半分ぐらい落とし、長い根や傷んだ根を切りとります。そして一回り大きな鉢に植え替え、1〜2ヶ月間は肥料を与えず、直射日光や風の当たらない場所で管理してください。
ゴムの木(フィカス)の増やし方!挿し木・取り木の時期と方法は?
ゴムの木は、5〜6月頃の生育期に取り木や挿し木で数を増やします。植え替えと一緒に剪定をして、切りとった枝で挿し木をすると、効率的に数を増やすことができますよ。
挿し木
枝を10cmほど切りとって、切り口の樹液を洗い流します。切り口を斜めに切りとったら、水に1時間ほどつけておきましょう。発根していないと吸水する力が弱く、葉っぱから水分が飛んでいくのを防ぐ必要があります。下葉は全て取りのぞき、上葉は輪ゴムでしばるか、半分に切り落としてください。この作業によって葉からの蒸散を防止します。
赤玉土単用を鉢にいれて、指や割り箸で穴を空けてから枝を挿し込みます。その後は、土が乾かないように水やりを続け、発根するまで涼しい日陰で管理してください。発根後、本葉が2~4枚ほど育ってきたら新しい鉢に植え替えましょう。
取り木
取り木は、数を増やすと同時に新しい根っこを作る方法です。ゴムの木は、弱ると葉っぱの数が減ってくるので、取り木によって新しい根を作ってあげましょう。
根にしたいあたりの幹の表皮をナイフで傷つけ、皮をはいでいきます。5cmほどの幅で1周皮をはいだら、湿らせた水苔で囲みます。さらにビニールで水苔のまわりを覆って固定し、常に湿った状態を保ちます。乾燥しそうなときは水を含ませてください。
2~3ヶ月ほどで発根しているので、ビニールや水苔を取りのぞき、発根部分より下で切りとります。発根が進んでいるので、新しい鉢に植え付け、通常通りに育てられます。
ゴムの木(フィカス)の育て方で注意する病気や害虫は?
ゴムの木は、病気や害虫に強い植物です。ただし、風通しが悪い、枝が混み合っている、過湿状態などの悪条件が続くと、カイガラムシやすす病の被害にあいます。
カイガラムシは、植物を弱らせ、すす病を誘発する害虫です。成虫になる前であれば、発見したときに薬剤を散布して駆除しましょう。成虫は薬剤が効きにくいので、歯ブラシなどでこすり落として退治するのが有効です。
空気中の乾燥が続くと葉にハダニがつくことがあります。ハダニは水分が嫌いなので、葉水をマメに掛けてあげるか勢いのある水流で植物全体を洗い流してあげると予防になります。
ゴムの木(フィカス)の育て方のポイントは?
ゴムの木は日当たりのよい場所で育てると、葉が厚くなり、色つやがよくなります。日陰でも育ちますが、日照不足になると株が弱り、葉の色が悪くなるので、日々様子を観察してください。
場所を移すときは、1週間ほどかけて徐々に日の当たる量を増減させるようにしましょう。日照時間が急激に変わると、葉が焼けて落葉したり、日照不足で葉がしおれたりします。夏場に急激に葉が落ちたりなど、それまで元気だったゴムの木が弱る事があります。それは成長期に必要な光合成のエネルギーが得られないため。
葉が緑色のまま急激に落葉し始めたら日照不足のサインなので直ちに明るい場所へ移動します。場合によっては戸外の日陰などに移してあげるとよいこともあります。
非常に日照を好む植物ですので、落葉は日照不足のサインです。気づいたらすぐに移動してあげるよう注意してください。
ゴムの木(フィカス)の育て方をマスターしよう!
ゴムの木は種類によって耐陰性や耐寒性、剪定の時期や方法が異なりますが、育て方の違いも、ゴムの木を育てる楽しみでもあります。それぞれの種類にあった適切な育て方で、元気なゴムの木を育ててくださいね。
更新日: 2021年08月04日
初回公開日: 2015年08月28日