種から育てた植物は、鉢植えや地面に植えるために、しっかりとした苗へと育てます。苗の状態がよいほど栽培の成功率が高まることから、丈夫な苗を育てることはガーデニングをするうえで大切なポイントの1つです。そこで今回は、苗や苗木とは何なのか、植え方や育て方についてご紹介します。
苗・苗木とは?
発芽してから間もない、草や花のことを苗といいます。また、植物が花木や樹木、大きくな観葉植物などの場合は、苗のことを苗木と呼びます。
苗や苗木は、種よりも生長して強くなっているので、温度や湿度の管理がしやすくなって、育成を妨げる病気や害虫の被害も少し減ります。
また、苗はサイズが小さいので小鉢や育苗ポットで販売されていますが、苗木は果樹苗など大きなタイプもあるため、大鉢や高さが数mになって販売されている苗木もあります。
苗・苗木の種類とは?
苗は、育成方法や出荷されるときの状態によって、呼び方が違います。以下に、それぞれの特徴をまとめました。
■ 育生方法による分類
実生苗(みしょうなえ)
種から育てられた苗のことです。植物は本来、種が地に落ちて自然に育つので、下に向かって生える根がよく発達し、水分や養分を吸収する力が強いとされています。ただ、販売できる苗になるまで時間がかかることから、流通量は少ないです。
挿し木苗
挿し木によって育てられた苗のことです。親と同じ性質を持つ苗を、簡単にたくさん生産することができます。ただ、実生苗や接ぎ木苗に比べて根が浅く、寿命が短いというデメリットもあります。
接ぎ木苗
土台となる別の樹木に、育てたい樹木の枝や芽を接ぎ合わせて育った苗です。接ぎ木にした部分は必ず土より上に出して植えると、接ぎ木した育てたい樹木が生長しますよ。繁殖方法は難しいですが、育てたい樹木の特性を維持することができます。
山引き苗
山野で自然に育った苗を引き抜いてきたものです。森を作るなど、大量に苗を植える林業の現場でよく利用されます。
■ 出荷される状態による分類
ポット苗
育苗ポットや鉢に植えられた状態で出回っている苗です。植え替えるときに容器から簡単に取り出せることから、根が傷む心配がありません。
土付き苗(コンテナ苗)
土から掘り起こした苗の根をワラ縄や麻布で包んで出荷される苗です。ポット苗に比べ価格が安く、流通量も多いです。容器で育てた土付きの苗を「コンテナ苗」と呼びます。海外では、コンテナ苗が主流です。
裸苗
根っこに土が付いていない状態で流通している苗です。果樹苗などはこの状態で販売されていることが多く、林業の現場でよく利用されます。
■ 育てた年数による分類
新苗
接ぎ木や挿し木などで苗として育てから1年目の苗のことです。育て始めたばかりで、また根が十分でない場合があります。
大苗(2年生苗)
接ぎ木や挿し木などで苗として育てから2年目の苗のことです。「2年生苗」と呼ばれることもあります。新苗よりも根を張っていて、育てやすいのが特徴です。
苗・苗木の育て方のポイントは?
日当たりと風通しがよい場所に植えるのがポイントです。日当たりがよくないと、株が軟弱になり、花付きも悪くなってしまいます。
ポット苗や土付き苗は、根に付いた土を崩さずに植え付けていきましょう。裸苗は、水を入れたバケツに一晩浸け、湿らせてから植え付けると生育がよくなりますよ。
苗・苗木の鉢植えや地植え!植え方や時期は?
時期
常緑樹は、4~5月か、9~10月が適期です。はじめて苗から育てる方は、生育期の4~5月に植えた方が安心です。花木や果樹などの落葉樹は、葉っぱが落ちた11~3月に植えると、株へのダメージは少なくすみます。
鉢植え
1. 苗よりも1回り大きな鉢を用意する
2. 鉢底石を入れる
3. 鉢の1/3ほど土を入れる
4. 鉢の中に苗を置き、周りに土を入れる
5. 根のすき間に土が入るよう箸で土を突く
6. たっぷりと水を与える
地植え
1. 植え付ける2週間前に、日当たりと水はけのよい場所を選び、苗よりも1回り大きな植え穴を掘る
2. 苦土石灰を土に混ぜて、1週間ねかせる
3. 植え付ける1週間前に、土に2~3割腐葉土を混ぜる
4. 根に付いた土を崩さず、苗を植え穴に置く
5. 掘り上げた土を苗に被せる
6. たっぷり水を与える
苗・苗木の水やり・肥料の与え方は?
水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただ、常に濡れているような状態では、根の生長が悪くなり、根腐れの原因になるので注意してください。
肥料
苗の根っこは、強い肥料に当たると弱ってしまいます。根元から少し離れた場所に、ゆっくりと効く緩効性肥料を施しましょう。
よい苗・苗木を栽培して、大きな樹木を育てよう
元気で丈夫な苗は、植え付けた後も生育がよく、枯れる心配が少ないことが特徴です。失敗しないためにも、苗を育てる段階でしっかりとよい苗へと育てましょう。また、苗を購入するなら、幹が太く、葉っぱのツヤがよいものを選ぶのがポイントです。丈夫な苗から、大きな樹木を育ていきましょう。
更新日: 2015年11月02日
初回公開日: 2015年11月02日