花屋さんで見かける切り花のカサブランカは、1本2,000円くらいとユリの中でも高価な花です。自宅用で気軽に楽しみたいけど手が届かない…と困っていませんか。実は、自分で育てれば、安価でたくさんの花を咲かせることができます。今回は、そんなカサブランカの植え付けや植え替え、土や肥料、水やりや増やし方など、育て方について詳しくご紹介します。
カサブランカの育て方!球根の植え方や時期は?
カサブランカは球根植物なので、球根から育てるのが一般的ですが、花をつけた後には種をつけるので、種まきで育てることもできます。
カサブランカの球根は乾燥に弱いので、球根を購入した後はその日のうちに植え付けをしましょう。また、日光を浴びすぎても弱ってしまうので、午前中だけ日が当たる東側に植えるのがおすすめです。
球根の植え付け
時期は、10~11月が適しています。鉢の大きさは、7~10号の底の深い長鉢・深鉢がおすすめです。素焼きの鉢の方が通気性があって育てやすいですが、プラスチックの鉢でも構いません。
鉢植えの場合は、園芸用土か、赤玉土中粒6:腐葉土3:バーミキュライト1くらいの用土を用意しましょう。園芸用土以外の場合は、元肥として化成肥料を少量混ぜておきます。地植えの場合は、腐葉土と苦土石灰を混ぜ、カサブランカの好む弱アルカリ性の土壌にしてあげましょう。
まず、鉢底に軽石かゴロ石を敷き、1/3まで園芸用土を入れて球根を置きます。鉢植えの場合、球根1~2個分の深さ、地植えであれば球根3~4個分の深さの場所に植えることを意識します。球根同士は10cmほど(球根2~3個分)間隔を離します。7~8号の鉢に球根2~3個ほどが目安です。球根の上から土を被せた後、鉢底から流れ出るくらい水やりをして完了です。
春頃になったら支柱を1本、株元近くに立てましょう。上根を傷つけると、傷口からウイルスが入るので慎重に差し込んでくださいね。支柱を立てたら数か所、麻紐などで固定させることできれいな花を咲かせてくれますよ。
種まき
種まきの適期は、球根と同じく10~11月頃です。芽が出た後に植え替えるので、小さな鉢か箱を用意し、赤玉土中粒6:腐葉土3:バーミキュライト1を混ぜたものを入れておきます。バーミキュライトの代わりに川砂入れて水はけを良くするのもおすすめです。土は事前に水を与えて湿らせておきます。
種が被らないようにまき、3~5mmほど土を被せます。乾燥していたら水で湿らせ、ビニールや新聞紙を被せて乾燥を防ぎ、水分を切らさないように管理します。室内など日の当たらない場所に置いて、種まきから3週間ほどで発芽します。芽が出たところで2週間に1回ほど薄めた液体肥料を施しましょう。寒さに弱いので、15度以下の環境を避けて4月頃の暖かくなったら大きな鉢か、庭に植え替えを行います。
カサブランカの育て方!水やり・肥料のコツは?
カサブランカの水やりは、表面の土が乾いてから行います。午前か夕方の涼しい時間に鉢底から流れ出るくらいたっぷり与えましょう。乾燥具合によっては朝夕の2回行います。日中の水やりは、球根に熱湯を注いでいるのと同じで、根腐れを引き起こすのでやめましょう。
3月下旬~4月頃になったら、7~10日間に1回ほど薄めた液体肥料を施します。花が咲き終わるまで液体肥料を施し、花が咲き終わった後は、リン・カリ分の多い肥料を株元に施すとより大きな球根を育てることができますよ。
また、カサブランカは球根の上に生えている根から水と養分を吸収するので、肥料は株元の近くで球根の上の土に施すのがポイントです。球根の下から生えている下根は、カサブランカを支えてくれますが、水・養分を吸収する力はありません。
元気なカサブランカは葉っぱが肉厚で、つやつやとした濃い緑色をしています。細く頼りない茎でペラペラの葉の状態は、生育がうまくいっていないので、水やりや肥料の量・タイミングを見直してみましょう。
カサブランカに剪定は不要?花を摘んで養分を溜める
カサブランカには、特に剪定は必要ありません。基本的には、翌年も花を咲かせるための養分を球根へ蓄えるため、開花後の花を摘み、葉っぱをすべて残しておきます。
切り花にする場合、茎を半分以上残して切り取るようにします。花が咲き終わったら、できるだけ早く花びらの付け根から花を摘みとってしまいます。種がほしい場合は、メシベを残しておきますが、種が必要ない場合はメシベを取り除いて球根への負担を減らしておきましょう。
カサブランカの植え替えと球根の掘り上げ方は?
カサブランカの植え替えは、9~11月頃に葉が黄色くなってきたときに行います。鉢植えは1年に1回、用土を入れ替えてから植え替えを行い、地植えの場合は3年に1回の頻度で場所を変えて植え替えます。カサブランカの球根は乾燥に弱いことを思い出しながら、できるだけ掘り出した日のうちに植え替えましょう。
まずは、球根を掘り上げます。茎の部分を手でひねりながら球根を引き抜き、古く弱った根や短い根を取り除きましょう。根や茎をハサミで切るとウイルスが侵入する可能性があるので、手作業の方が安全です。
取り出した球根はきれいに水洗いをした後、オーソサイド液など殺菌剤を規定の倍率に薄めて、約30分漬け込んで殺菌します。その後、風通しの良い場所で数時間水揚げさせてから、新しい鉢や庭に植え付けます。
土は、園芸用土か、赤玉土中粒6:腐葉土3:バーミキュライト1を混ぜたものを用意しておきましょう。球根を乾燥させないように気をつけて、時間がないときは園芸用の殺菌剤スプレーで代用します。
地植えの場合は、植え替え、分球で数を増やすなどの理由がなければ、無理に掘り出す必要はありません。寒い地域は寒冷砂や腐葉土などを被せ、冬を越しましょう。
植え替えのタイミングで余った球根などは、掘り出して殺菌した後に湿らせたバーミキュライトの中に入れて日陰で保管しておきます。バーミキュライトを乾燥させないように気をつけます。
カサブランカの増やし方は?
カサブランカは、分球・木子・鱗片・種まきの4つの増やし方があり、分球と種から増やすのが一般的です。種まきの増やし方は、上記で紹介した種まきの育て方と同じです。
分球
10~11月頃に球根を掘り出した際、大きく育った球根が2つ以上に分かれていることがあります。その球根を切り分けて植え、数を増やす方法が分球です。
掘り上げた球根が2個以上に分かれていたら、手で茎と上根、弱って枯れている下根を取り除きます。その後、手で球根を分裂させます。分球させた球根はできるだけ早く、球根と同じ手順で植え付けます。1つの球根から茎が2本出ているのは分球している証しなので、1つの目安になりますよ。
鱗片挿し(りんぺんざし)
鱗片挿しは、球根の鱗片を1枚1枚はがして土に植え、数を増やす方法です。もともと球根は鱗片の集合体なので、外側から丁寧にはがしていくことができます。
8~9月下旬頃に球根を掘り出して、3周分くらい(20~30枚)鱗片をはがし、園芸用土か赤玉土中粒6:腐葉土3:バーミキュライト1くらいの土に挿します。水をたっぷり与え、半日陰でしばらく管理しましょう。
土の表面が乾いてきたら水やりをします。11月頃には小さな球根ができ始めるので、芽や葉が出てきたら、薄めた液体水肥料を2週間に1回ほど施します。気温が10度下回る寒い時期は、室内に移動させましょう。2~3枚の本葉が出てきたら、鉢か庭に植え替えを行います。
木子(きご)
木子とは、球根と茎(上根)との間についている小さな球根のようなものです。球根を掘り上げたときに木子が確認できた場合、木子と球根を手で切り離し、茎ごと土に植えて育てます。
土は球根と同じ園芸用土か赤玉土中粒6:腐葉土3:バーミキュライト1くらいを用意しましょう。1年ほどで小球根になり、3年も経つと立派な球根となって花を咲かせるようになります。育て方は球根と同じで、土を乾燥させないように半日陰で育てます。
カサブランカの育て方で注意する病害虫は?
カサブランカは、ウイルスの病気にかかりやすい植物です。根腐れや球根についた傷などからウイルスが侵入し、成長期にはアブラムシが寄ってきてウイルスに感染しやすくなります。
梅雨時は 高温多湿で根腐れが起きやすいので注意してください。土の上にバークチップなどでマルチングを施して、予防策をとります。地植えの場合、雨が降った後は毎回防除剤を散布できると良いですね。アブラムシなどの防虫薬剤は、しっかり葉っぱの表裏に散布することが大切です。防虫が手間だと思う方は、市販の置き型タイプも効果的です。
カサブランカを育ててきれいな花を咲かせよう
カサブランカは、育てた時間よりも開花期間が短い草花です。手のかかる植物ほど愛しくなるように、開花した花を見たときはきっと大きな喜びとなって返ってくるはずです。ぜひ、祝福の代名詞であるカサブランカを育ててみてくださいね。
更新日: 2021年08月04日
初回公開日: 2015年05月29日