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アスパラガスの栽培|育て方のコツ、苗植えの時期と方法は?

ソテーやサラダの具材として食卓にのぼることの多いアスパラガス。トマトやナスなどの野菜とちがい、食べられるようになるまで3年以上かかることから、家庭菜園においては玄人好みの野菜として知られています。

ただ、一度芽が出てしまえば、それほど手入れは必要なく、長い間毎年収穫を楽しめますよ。今回は、育て方のポイントや苗植えの時期と方法など、アスパラガスの栽培についてまとめました。

アスパラガスの種まきの時期と方法は?

アスパラガス スプレンゲリー 苗

発芽適温は25~30度と高いことから、3~5月が種まきの適期です。30度くらいの水に一晩浸けておくと、発芽率が上がります。育苗ポットに赤玉土(小粒)など清潔な土を入れ、乾燥しないように水やりをして管理しますその後草丈が10cm以上に生長したら、鉢か地面に植え替えます。

野菜ソムリエ 伴野さん
種まきからでも育てることはできますが、発芽しなかったり、収穫まで3年以上かかってしまったりと、なかなか大変な工程です。アスパラガスを家庭菜園で楽しむ場合には、市販の苗を用いることをおすすめします。ポット苗や地掘りの根株などがあり、収穫までの時間をグッと短縮できますよ。

アスパラガスの苗植えの時期と方法は?

鉢植え・プランター植え

アスパラガスの苗植えは、夏と冬を避けて、春か秋に行いましょう。3~5月が植え付けの適期です。鉢は12号以上、プランターは65cm幅以上で、深さ30cm以上のものを準備します。そして、鉢やプランターの1/3ほど土を入れ、根をひねるように広げながら植えましょう。そこから上に土をかぶせ、たっぷりと水を注いで根と土をなじませれば完了です。

ポット苗の場合は、苗の土の表面と植える場所の高さを合わせて植え込みます。根鉢は崩さないように注意しましょう。

地植え

植え付ける2週間前から、深さ50~60cmほど土を耕して、土作りをしていきます。そして、株同士の間隔は30~40cmほど空けて植えましょう。根株の場合は、根を傷つけないように地中に均一に広げて、芽の上に4〜5cmほど土がかぶるように植え込みます。

野菜ソムリエ 伴野さん
アスパラガスは肥料が大好きで、酸性土壌を嫌います。植え付け前に堆肥と苦土石灰を土に撒いて、アスパラガス好みの土を準備しましょう。

アスパラガスの栽培・育て方!土作り、水やり、肥料の時期と方法は?

アスパラガス

鉢植え・プランター植えの土作り

中性~弱アルカリ性の土を好みます。鉢やプランター上は、赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で混ぜた土か、市販の野菜用培養土を使ってください。市販の培養土を用いる際にも、培土10リットルに対して10〜20gの苦土石灰と、同量の化成肥料を混ぜると良いです。

地植えの土作り

地植えは、植え付ける2週間前に苦土石灰、1週間前に完熟堆肥を2~3割ほど、耕した土に混ぜて寝かせておきます。畑に地植えする際は、1㎡に対して堆肥3リットルと、苦土石灰150cc、鶏糞500cc、化成肥料100ccを目安に土作りをしましょう。深く、丁寧に耕すことも重要です。

野菜ソムリエ 伴野さん
地上部が寒くなる冬の季節は、保湿と保温を兼ねて、もみ殻やワラなどを被せておくと良いですよ。

水やり

蒸れに弱いことから、植え付け場所にかかわらず、土が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。活動が鈍る冬は、水やりを控えめにします。

肥料

アスパラガスは肥料を好む植物です。植え付けるとき、鶏糞や堆肥などの有機肥料をたっぷりと施します。そして、植え付けた年の1~2月、3年目以降の収穫後にも同様の肥料を土に混ぜていきます。

アスパラガスの栽培・育て方!支柱の時期と方法は?

アスパラガス

生長すると、1mほどの高さまで茎を伸ばします。茎葉は細く倒れやすいことから、草丈がある程度まで伸びたら、支柱を立てて株を支えましょう。草丈が伸びてしまってからでは作業がしにくいので、毎年6月頃を目安に行うとよいですよ。

また、細かい葉が広がってボリュームも出てくると支柱1本だけでは支えきれないので、数本の支柱に紐を結んで倒伏しないようにしましょう。

野菜ソムリエ 伴野さん
アスパラガスの茎葉は、翌年に新芽を出すための養分をたくわえる為にとても重要です。しっかりと大きく育つように養生してあげましょう。

アスパラガスの手入れの時期と方法は?

1年目の手入れ

鉛筆の芯ほどの太さのアスパラガスが出ますが、収穫はせずそのまま育てましょう。すでに1〜2年間ほど育成された苗を購入した場合は、植え付け1年目から太い芽が出ます。これは収穫可能ですが、収穫初めから2週間ほどで収穫を終えて、その後に出る芽は来年のためにそのまま育てましょう。

春に植えた株は、秋になると地上部が徐々に枯れてきます。茎が黄色くなってきたら、株元から5~10cmほどのところでバッサリと刈り取りましょう。刈り取った後は5cmほど土を盛り、寒い地域では霜よけと保温、保湿のためにもみ殻やワラなどを被せておくと良いです。これは2年目以降も同様に行います。

2年目の手入れ

3~4月に、根をたくさんつけるよう肥沃な土に植え替えます。株を掘り起こし植え付け時と同じように耕した土に、株同士の間隔が30~40cm空くよう植えていきます。このとき、地上部が隠れるように株を土で覆いましょう。

そして、秋になりったら、1年目同様に茎を刈り取ってください。そして、株元から離れた場所に穴を掘り、堆肥や油かすを追加で施します。霜が降りる地域では、地下の部分が凍らないようにワラなどで株を覆い防寒してください。

野菜ソムリエ 伴野さん
すでに1〜2年ほど育成された苗を購入した場合は、植え替えの必要はありません。1ヶ月に1回、1株につき軽く半握り程度の追肥を与えます。株から10cmほど離れた場所に均一に撒き、土の表面をほぐしながら混ぜ合わせます。収穫する時期は追肥せず、株を成長させる時期に施しましょう。

アスパラガスの収穫時期と方法は?

植え付けてから3年目の春から本格的に収穫できるようになります。芽の長さが15~20cmほどになったら、収穫の適期です。株元をナイフで刈り取っていきましょう。

大きく育ちすぎると、スジが固くなってしまうので注意してください。また、たくさん収穫してしまうと株が弱ってしまうので、6月上旬くらいで収穫は一旦やめて、後は株を育てるようにすると翌年以降もたくさん収穫を楽しめるようになります。

野菜ソムリエ 伴野さん
ただし、細かいものを収穫したり、沢山採り過ぎてしまうと、翌年以降の収穫量が格段に減ってしまいます。少し我慢して、翌年分の芽を残しておきましょう。複数の株を育てて、ホワイトアスパラガスに挑戦してみても楽しいのではないでしょうか。

アスパラガスの栽培で注意する病気や害虫は?

茎枯病

蒸れや冬の寒さが原因で茎表面に小さな斑点が発生し、それが拡大して褐変し、やがて枯れてしまう病気です。かかると回復しないことから、感染した株は引き抜いて処分します。一度発生すると他の株にも伝染するので、できるだけ早く発見し、対処することが大切です。

対策方法としては、前年の茎葉は畑に残さないこと、水はけや日当たりを良くすること、発症した株を早めに取り除くことなどがあります。

ジュウシホシクビナガハムシ

幼虫や成虫が株を食害します。放っておくと地上部が食べ尽くされてしまうので、発見したらすぐに農薬で駆除しましょう。

カイガラムシ

茎葉に寄生する害虫で、成虫は薬が効かないため、ブラシなどを使って株からこすり落とします。幼虫は、早めに殺虫剤を散布して駆除しましょう。

ヨトウムシ(夜盗虫)

名前の通り夜に活動するため、昼間は土の中などに潜んでいるので見つけにくいという、厄介な害虫です。葉が食べられているのに、虫の姿が見当たらない場合は周囲の土の中を探してみましょう。

アブラムシ

こまめに観察し、少しでも発生したら捕殺しましょう。さらには予防も兼ねて、農薬散布をして対策を取っておくと良いですよ。

アスパラガスの栽培のポイントは?

広いスペースに植え付け、たっぷりと肥料を与えることがポイントです。

根が深さ1~2mと長く、樹高も1m以上になることから、プランターや鉢で育てるときは30cm以上の深さのあるものを準備しましょう。また、植え付け時と定期的に有機肥料をたっぷりと施すと、太いアスパラガスを収穫することができます。

野菜ソムリエ 伴野さん
私がよく聞く失敗実話をいくつかご紹介します。
①植えた事を忘れて、冬の間に耕運機で耕してしまった。
②欲張って収穫し過ぎて、翌年にほとんど芽が出なかった。
③1年目にほとんど芽が出ず、失敗だと思って全て引っこ抜いてしまった。
④夜盗虫に気づかず、気付いた時には手遅れで葉が丸坊主になっていた。

こんな失敗は繰り返さないようにしたいですね。ただし、これらは少し気をつければ防げる失敗なので、日頃からしっかり観察をするようにしましょう。

アスパラガスの栽培を長期間楽しむには?

収穫まで少し時間のかかるアスパラガス。毎年秋に茎を刈ったり、たくさんの有機肥料を施したりと、他の野菜に比べれば少し手間がかかるかもしれません。ただ、頑張って育てたアスパラガスを収穫できたときの喜びは、とても大きいものです。採れたてのアスパラガスは甘く、よい歯ごたえですよ。

一度しっかり育ててしまえば、10〜15年ほども収穫を楽しめる野菜です。長期間家庭菜園を楽しみたい方は、ぜひアスパラガスの栽培にもチャレンジしてみてくださいね。

野菜ソムリエ 伴野さん
アスパラガスに限らず、収穫がひと段落してから株に肥料をあげることを「お礼肥え」と呼ぶことがあります。大地の恵みに感謝するとともに、翌年の収穫にも期待を寄せる。気持ちを込めて育てれば、野菜もそれに応えてくれるものです。ぜひ動物を飼うような感覚でアスパラガスを育ててみてくださいね。

更新日: 2022年01月26日

初回公開日: 2015年12月27日

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