ガーデニングや園芸を行うときに、マルチングという言葉を一度は聞いたことがありますよね。地面をビニールなどで覆うのはなんとなく知っているけれど、何のために行い、どんな効果があるのかはご存じでしょうか?今回は、そんなマルチングとは何か、効果や方法、注意点などについてご紹介します。
マルチングとは?
マルチングとは、植えた植物の地表面(株元)をビニールなどで覆うことで、雑草の発生を防ぐほか、水分の蒸発や病害虫の発生を防ぐことができます。略して「マルチ」と呼ぶこともあり、古くからワラが利用されてきました。
近年は、マルチング用のビニールのほか、自然素材の腐葉土やワラ、ウッドチップ、バーク、ピートモス、枯葉、水ゴケなどさまざまな素材が使われています。
マルチングの目的と効果は?
1. 土の乾燥を防ぐ
土の表面から水分が蒸発するのを抑え、急激な乾燥を防ぐ効果があります。激しい高温乾燥の時期である夏場は、特に根を守るのに有効な方法です。
2. 急激な温度変化から守る
急激な温度の上昇や低下を防ぐ効果があります。植物の根は、土の急な温度の変化によって強いダメージを受けます。また、冬の冷気から土を保温し根を保護する役割を果たします。
3. 雑草を防ぐ
雑草は、育てている植物から土壌中の養分や水分を奪う、日光を遮る、生育スペースを圧迫するといった被害を及ぼします。そんな雑草の発芽や繁殖を防ぐために、ウッドチップやバークなどで土を覆っていきます。
4. 病害虫を防ぐ
飛来する害虫を防ぐほか、病気の原因となる泥の跳ね返りを防ぎます。植物は、雨や水やりのときに、病原菌を含んだ泥が茎や葉っぱに跳ね返ることで、病気にかかってしまうことがあります。
5. 土が硬くなるのを防ぐ
土は雨によって固まって、植物の生育を妨げてしまいます。マルチ素材によってこれを防ぐことが可能です。
6. 用土の流出を防ぐ
強い雨によって土が流れることをマルチング素材によってある程度防ぐことができます。
マルチングの種類は?デメリットもあるの?
黒マルチと白マルチ
黒マルチは、主に雑草の抑制と保温の用途に使用されますが、地温を上げすぎるので夏場は不向きです。白マルチは、黒などと違って地温を抑える効果があります。
透明マルチ
雑草が生えてしまうので駆除は大変になってしまいますが、特に春先の地温を上げ、保温するのに効果的です。
シルバーマルチ
地温が上昇しすぎがないので夏場が主に活躍するタイプのマルチです。太陽の光を反射し、害虫の飛来を防止します。
腐葉土
ビニールと違って土へと分解され、土壌改良にも役立つ優れたマルチングの素材です。防寒、真夏の根の温度が上がりすぎないようにできるほか、蒸発を防ぐ効果があります。
自作することもできますが、市販の腐葉土を利用すると手早く簡単です。また、水分不足によって乾燥しやすいというプランター栽培のデメリットを補う効果もあります。
さまざまなメリットがある一方で、腐葉土はコガネムシの幼虫など虫を呼び寄せてしまうデメリットもあります。
ワラ
昔から野菜栽培にはなくてはならないものとして、腐葉土と同じように使われてきました。スイカやメロンなどのツル性の植物は、ワラに絡みつかせることで風に負けないようになるほか、保温や乾燥防止に優れています。
また、腐食したら堆肥としても効果があり、雨など土の跳ね返りによる病気の予防にも有効です。
バーク
樹皮を使ったマルチングの素材です。土壌の温度を一定に保つほか、雑草の抑制、保温、泥の跳ね返りによる病気の予防などの効果があります。また、自然素材なので、ガーデニングや室内での観葉植物などの見栄えをよくします。
マルチングの手順は?
ビニールマルチ
地熱を好む野菜などは、透明のビニールを使うとよいでしょう。ただし、ビニールには追肥ができない、ゴミが発生するなどのデメリットもあります。植え穴の開いたビニールも売っているほか、庭など小さな場所で利用する場合はゴミ袋などでも代用可能です。
- 育てる植物や植え場所にサイズのビニールを使う
- 苗の間隔に沿ってビニールに指で穴を開け、ハサミなどで十字に切る
- 開けた穴から苗を植え付ける
マルチングをした後の水やり、肥料、注意点は?
水やり
マルチングには、蒸発を防ぎ、乾燥を防止する効果があるので、水やりの回数を減らすことができます。
夏場の水やりを減らせるほか、冬の水やりがほとんど不要になりますよ。土へたっぷりと水分を含ませた状態でマルチングを行いましょう。その後は、切れ目や穴のあるところを持ち上げて株の周囲に水やりをしていきます。
肥料
マルチングを行うことで、肥料は与えにくくなります。マルチングをする前に、肥料を土へたっぷり入れておくことがポイントです。追加で肥料が必要なときは、穴のあいているところから与えるようにしましょう。液肥の方が手っ取り早いかもしれません。
注意点
- マルチングを行うときは、雨上がりの後など土に水分が十分染み込んでいるときにする
- 追加で肥料を施しにくいので、植え付けるタイミングでたっぷりと施しておく
- 土の表面とマルチをぴったりと密着させる
- 長年マルチを続けた土の中は、有機物の分解が進んでいるので堆肥をたくさん混ぜ込む
- 水のやりすぎは植物が腐りやすくなるので注意する
マルチングで花壇や鉢植えを快適に
マルチングの種類によっては、水やりや肥料を与えづらくなるというデメリットもありますが、栽培を成功させるメリットの方がたくさんあります。せっかく育てる植物や野菜ですから、マルチングを行って育ちやすい環境を作り、病害虫などの被害から守ってあげましょう。ちょっとの手間が、栽培を成功させる近道になりますよ。
更新日: 2023年04月13日
初回公開日: 2016年04月11日