鋭いトゲが特徴のサボテンですが、見た目のバリエーションは豊富で、トゲの有無、丸型や柱状などさまざまな形をしています。中には花を咲かせる種類もあり、インテリアとして室内に取り入れている方も多くいますよね。
他の植物に比べて乾燥に強く、水やりなどの手間がかからないところも好まれるポイント。今回は、そんな室内で育てるのにおすすめサボテンの属の種類やその中の代表品種をいくつかご紹介します。
サボテンとは?
サボテンとは、サボテン科に属する植物の総称です。サボテンの多くが砂漠などの高温乾燥地が自生地のため、肥大化した茎や葉っぱに水分を溜め込む力を持っています。つまり、サボテンは多肉植物の仲間になります。また、外敵から身を守るためにトゲやアレオーレという綿毛が発達して、他の植物と比べて独特の容姿しているのもサボテンの特徴です。
サボテンの種類や品種の数は?
サボテンは、約140属2,000種以上が存在しているといわれています。園芸においての代表的な種類は7つほどで、「玉サボテン」「柱サボテン」「ウチワサボテン」「エビサボテン」「木の葉サボテン」「森林性柱(紐)サボテン」「葦サボテン」などがあります。
種類によって形や性質、色などに細かい違いがあるので、それらの特徴をまじえながら室内で育てるのにおすすめの属15選と、その代表の種類を1〜2ずつご紹介します。
1. ブラジリカクタス属の種類の代表は?
ブラジリカクタス(パロディア)属は、「ブラジル」を原産とするサボテンです。美しい花が長く咲き続けるため、品種数は少ないのですが、ファンが多い種類でもあります。見た目は、細長い球形で「刺座(アレオーレ)」と呼ばれる白い綿毛と細かいトゲが表面に生えています。
雪晃
雪晃(セッコウ)は、球型で、白く細かいトゲをたくさん生やすブラジリカクタスの品種です。ほとんどのサボテンは2~3日で花が枯れてしまいますが、雪晃は2週間もの長い間、鮮やかな赤や黄色の花を咲かせます。白いトゲと鮮やかな花色のコントラストが美しいサボテンです。
2. コリファンタ属の種類の代表は?
ボコボコの突起が重なりあって山の様な形をしているコリファンタ属。ゴツゴツとした岩山のような見た目からは、男性的な強さが感じられます。代表品種である「鳳華丸」や「象牙丸」のように、頭頂部が白い綿毛で覆われている品種が多くあります。
象牙丸
象牙丸(ゾウゲマル)は、コリファンタ属に分類される、ゴツゴツとした茎に細く鋭いトゲを生やすサボテンです。表面はツヤのある濃い緑色をしており、上部に綿毛をつけます。暑さにも寒さにも強く、開花期には淡い紫色の大きな花をてっぺんに一輪咲かせます。
3. エキノプシス属の種類の代表は?
高温多湿の環境を得意とするエキノプシス属は、日本でも育てやすく市場にもたくさんの品種が出回っている種類です。生長も早いのですぐに大きくなり、大型の花を咲かせます。
短毛丸
短毛丸(タンゲマル)は、エキノプシス属の園芸品種の1つです。トゲが短いことから名付けられました。はじめは球形ですが、大きくなるにしたがって細長くなり、円筒形へと姿を変えます。子株が増えやすく、放っておくと群生しやすいサボテンです。
4. オプンチア属の種類の代表は?
オプンチア属は、平たい茎が連なってつくウチワサボテンの1種です。茎の表裏には鋭いトゲを何本も生やします。生長が早く、丈夫で栽培も簡単なので、初心者でも手をつけやすいですよ。
金烏帽子
金烏帽子(キンエボシ)は、平べったい茎を生やすウチワサボテンの1種です。烏帽子(エボシ)に似た形をしていることにちなんで名付けられ、うさぎのような形をしている小さな株は、100均でも見かけることがあります。
5. エキノカクタス属の種類の代表は?
エキノカクタス属は、いわゆる「サボテン」のイメージに一番合う種類です。風格のある姿で、トゲの色も赤、紫、黄色、褐色など変化に富んでいるのが特徴です。
金鯱
金鯱(キンシャチ)は、エキノカクタス属の園芸品種です。トゲが黄色で、球形をしています。エキノカクタス属の中でも1番知られている園芸品種かもしれません。
丈夫で育てやすく、栽培環境が悪くなければ数十年もの長い間生き続けます。
6. フェロカクタス属の種類の代表は?
フェロカクタス属は、強刺類とも呼ばれる種類で、長いトゲをもっています。寒さに強く、育てやすいため初心者におすすめ。代表品種には、「神仙玉」「江守」「金冠竜」などがあります。
鯱頭
鯱頭(シャチガシラ)は、フェロカクタス属らしい長いトゲを節々から何本も生やす品種です。生長するにつれてトゲは赤みを増しながら伸び、株全体を覆いつくすようになります。また、直径10cmほどの小さいときからてっぺんに黄色い花を咲かせて楽しませてくれます。
7. コピアポア属の種類の代表は?
コポアポア属のサボテンは、「強刺類」の1種で灰褐色や黒っぽい色をした太いトゲが魅力の種類です。「黒王丸」「コピオピア・ギガンデア」などが代表品種です。
黒王丸
節から太く短いトゲを1〜2本ずつ生やすのが、黒王丸(コクオウマル)です。生長がゆっくりのため、お手入れの手間が少なくてすみます。大きくなるにつれて表面が白くなっていき、黒いトゲと合わさって独特の色合いになります。
8. ウバタマサボテン属の種類の代表は?
一般的なサボテンのイメージとはちょっと違い、トゲがなく、ふかふかの饅頭のような姿をしているウバタマサボテン(別名ロフォフォラ、ロホホラ)属です。多肉植物に近い見た目をしています。弾力性のある株の刺座(アレオーレ)からは白い綿毛の束がでています。
鳥羽玉
烏羽玉(ウバタマ)は、トゲではなく白い綿毛を生やすことが特徴のサボテンです。開花期になると淡いピンクの花を株のてっぺんに咲かせます。北アメリカ南部からメキシコにかけて自生し、ネイティブ・アメリカンは薬草として儀式などの際に利用していました。
9. アストロフィツム属の種類の代表は?
アストロフィッツム属のサボテンは、上から見た形が星の形で、肌にも小さな白い星の様な点を散りばめていることから、「有星類(ユウセイルイ)」とも呼ばれます。
恩塚鸞鳳玉(オンズカランポーギョク)、碧瑠璃鸞鳳玉(ヘキルリランポーギョク)、兜丸(カブトマル)、瑞鳳玉(ズイホウギョク)、白鸞鳳玉(シロランポウギョク)、群鳳玉(グンポウギョク)などが代表品種です。
兜丸
兜丸(カブトマル)は、武士の兜のような見た目をしている園芸品種です。数あるサボテンの中でも特に人気の種類で、育て方がややむずかしいとされています。強い光と寒さが苦手なので、室内の暖かい場所で育てるのがポイントです。
碧瑠璃鸞鳳玉
碧瑠璃鸞鳳玉(ヘキルリランポウギョク)は、トゲのないアストロフィツム属の品種です。本来、アストロフィツム属のサボテンには表面に白い斑点がありますが、碧瑠璃鸞鳳玉にはそれがなく、全体が深緑色をしています。
碧瑠璃鸞鳳玉錦(ヘキルリランポウギョクニシキ)というさまざまな色の斑の入る品種もあります。
10. ギムノカリキウム属の種類の代表は?
ギムノカリキウム属は、丈夫で育てやすく、サボテンの中でもポピュラーな園芸品種が多い種類です。分類される品種が多いので見た目は様々ですが、株が若い頃から花を咲かせるのが特徴。
「光琳玉」「新天地」「海王丸」「牡丹玉」「天平丸」「怪竜丸」「バッテリ」「守殿玉」「鳳頭」「龍頭」「瑞昌玉」などが代表品種です。
緋花玉
緋花玉(ヒカギョク/ヒカダマ)は、4~9月の長い間真っ赤な花を咲かせる園芸品種です。耐寒性が高く丈夫で育てやすい点や、直径12cmほどの小型品種である点から人気を集めています。
緋牡丹
緑色の茎の先に、赤や黄色の花が咲かせたようなユニークな姿が特徴の緋牡丹(ヒボタン)。実は、緋牡丹はてっぺんの色付いた部分だけで、緑色の茎は接ぎ木した別のサボテンです。
緋牡丹はもともと葉緑素を持たず単体では育てないことから、接ぎ木で育てたものが流通しています。また、接ぎ木のため長期的な育成はむずかしいため、切り花のうような感覚で楽しむのがおすすめです。
11. テロカクタス属の種類の代表は?
テロカクタス属は、大輪の花を咲かせ、姿もユニークで親しみやすいサボテンの種類です。ツルツルした小さな山が集まったようなサボテンの「天晃(テンコウ)」、大きなイボに太く長い刺をもち、花も刺も大きく美しい「獅子頭(シシガシラ)」がよく出回ります。
天晃
天晃(テンコウ)は、丸みを帯びた茎がたくさんつなぎ合わさったような見た目をしているサボテンです。テロカクタス属の代表品種で、南北アメリカの広い範囲に分布しています生長するにしたがって、トゲが長く伸びていく姿は、フェロカクタス属の「鯱頭」とよく似ています。
12. エリオカクタス属の種類の代表は?
春先の園芸店でお馴染みのサボテンといえば、エリオカクタス属です。育て方が簡単で手間いらずなので、初心者の方でも安心して楽しめます。黄色いトゲを生やすことが特徴です。
金晃丸
エリオカクタス属らしい、黄色いトゲを茎全体にびっしりとつける金晃丸(キンコウマル)。接ぎ木で増やすのも簡単で、群生しているように仕立てて販売されていることが多い園芸品種です。花を咲かせることはほとんどありませんが、大型のサボテンを育てたい方に向いています。
13. アリオカルプス属の種類の代表は?
肉厚な三角形の葉っぱを重ね合わせたような姿をしているのがアリオカルプス属のサボテンです。メキシコが原産で、てっぺんに大きなピンクや白の花を咲かせます。
黒牡丹
黒牡丹(クロボタン)は、トゲがなく寒さや暑さに強いことから人気の園芸品種です。また、1年に数mmほどしか生長しないため、植え替えの手間が少ないのも特徴の1つです。ただ、流通量が少ないので、見つかった後にすぐ育てられるよう常に準備しておきたいですね。
14. マミラリア属の種類の代表は?
ラテン語で「コブや疣(イボ)がある」という意味をもつマミラリア属。トゲが疣(イボ)のてっぺんから生えているところから、「疣サボテン」とも呼ばれます。全体的にまん丸で、白いとげに覆われている小型種が多いです。
白鳥
白鳥(ハクチョウ)は、白くて軟らかいトゲで覆われた姿が美しいサボテンです。針は触っても痛くなく、ふわふわとした感触をしています。また、鮮やかなピンクのかわいらしい花を咲かせることからも人気があります。
白珠丸(ハクジュマル)
白珠丸(ハクジュマル)は、マミラリア属のサボテンには珍しく、トゲが四方八方に長く伸びる品種です。長く育てていると直径1mほどと大きく育つものも多く、株元からは次々と子株を生やして群生します。夏になると、小さな花をいくつも咲かせるのが特徴です。
15. エピテランサ属の種類の代表は?
エピテランサ属は、株全体が白い綿毛で覆われている姿が涼しげな種類です。子株が増えやすく、群生しやすい性質をもっています。小型のものが多く、いくつもサボテンをコレクションしたい方におすすめです。
月世界
月世界(ツキセカイ)は、小さな子株をぽこぽことたくさん生やすエピテランサ属の品種です。その姿は、サボテンというよりは森の中に生えるキノコを思い起こさせるかわいらしさがあります。丈夫で育てやすく、種から増やして楽しむのもおすすめです。
サボテンの種類を知って育ててみよう
サボテンは、数えきれないほどの種類が存在し、大きさや色、形は多岐にわたります。同じ種類にもかかわらず、見た目が全く違うということも少なくありません。
お部屋の雰囲気にあったものを選んでインテリアとして飾ったり、育成したり、楽しみ方は人それぞれです。まずは、色んな種類のサボテンを育てて楽しんでみてください。
更新日: 2022年04月13日
初回公開日: 2016年01月01日