植物を育てるとき、発生するとやっかいなのが害虫。葉っぱを食い荒らして美しさが失われるだけでなく、被害が拡大すると植物を弱らせてしまいます。ハマキムシもそんな害虫の1種です。今回は、ハマキムシとはどんな虫なのか、駆除対策や症状、発生しやすい時期などについてご紹介します。
ハマキムシ(葉巻虫)とは?種類や生態は?
ハマキムシとは、ハマキガ科の幼虫の総称です。自分で出した糸で2~3枚の葉っぱをつづって巻き、その中に潜んで葉っぱや新芽、つぼみ、果実の表面を食害していきます。日本には500種類以上が存在し、中でもチャハマキとチャノコカクモンハマキ(コカクモンハマキ)などが代表的なものとなっています。
生態
体長は、チャハマキの幼虫で約25mm、チャノコカクモンハマキの幼虫で約20mmの大きさです。成長すると1~1.5cmほどの地味な色合いの蛾になります。集団行動はせず、孵化した幼虫はそれぞれ個別に活動します。やわらかい葉っぱは巻き、かたい葉っぱは2~3枚を糸で合わして中に潜みます。30日ほどでサナギになり、冬であれば幼虫のまま巻いた葉っぱの中で過ごします。
種類と被害にあいやすい植物
チャハマキ | サクラ/柑橘類/リンゴ/ウメ/柿/サルスベリ/ツツジ/カナメモチ/ツバキ/サザンカ/キンモクセイ/コニファー/クチナシ |
チャノコカクモンハマキ | バラ/柑橘類/ブドウ/柿/ゼラニウム |
カクモンハマキ | サクラ/栗/ウメ/リンゴ |
クロネハイイロハマキ | サクラ/リンゴ/ウメ |
ミダレカクモンハマキ | サクラ/栗 |
リンゴコカクモンハマキ | リンゴ/サクラ/バラ/モモ/ウメ |
ハマキムシ(葉巻虫)による被害は?
ハマキムシは、巻いた葉っぱに潜んで植物の美観を損ねるだけでなく、葉っぱの光合成を妨げます。そのため、生育が遅れるなどの被害が生じます。また、つぼみが食べられることで奇形の花が咲いてしまいます。他にも、果実の表面から中へと侵入し、落果の原因となります。
ハマキムシ(葉巻虫)の発生しやすい時期や条件は?
ハマキムシは、真冬を除いた4~11月頃に草花や野菜、庭木、花木、果樹など多くの植物に発生します。年に3~4回ほどのサイクルで発生し、特に7~8月の暑い時期は活発になるので、成虫と幼虫を繰り返し発生して被害が拡大していきます。
成虫は、夜に飛び回り、1度に200粒ほどの卵を並べて産み付けます。卵は14日ほどで孵化し、1ヶ月ほどでサナギとなります。
ハマキムシ(葉巻虫)の駆除対策は?
ハマキムシは、早期の発見と駆除が大切です。大量に発生してしまうと、すべての葉っぱが糸でつづられてしまい、内部から食害されて植物が枯れてしまいます。
葉っぱの中に幼虫が潜んでいると、薬剤が直接かからず効きにくいので、見つけたらすぐに葉っぱごと摘み取りましょう。また、葉っぱの表面に卵を見つけたときも、葉っぱごと摘み取って処分します。大量発生してしまった場合は、浸透移行性剤のオルトラン液剤やオルトラン水和剤、スミチオン乳剤、マラソン乳剤を葉っぱの表面や中にかかるようまいていきます。
ハマキムシ(葉巻虫)を予防する方法は?
防虫ネットをかける
植物にネットをかけて、ハマキムシの飛来を防ぎます。食用にする野菜や果実といった薬剤が使えない場合におすすめです。
夜間の不必要な電気を消す
ハマキムシの成虫は、多くが夜行性です。光に誘われる性質があるので、植物の近くに電気があると産卵場所になってしまいます。
薬剤を使用する
葉っぱの中に潜むため、散布する薬剤は効果が期待できません。葉っぱを食べたときに効く浸透移行性のタイプを使ってください。発生時期である4~11月に、毎月1~2回ほど定期的に散布すると効果的です。
越冬中の幼虫を駆除する
幼虫は巻かれた葉っぱの中で冬を越します。摘み取ることで、翌春から夏の被害を抑えることができますよ。
ハマキムシ(葉巻虫)は増えると困る害虫
ハマキムシは個体数が増えるにつれて、被害が拡大していく害虫です。植物の美観を損なうばかりか、生育に悪影響が出て枯れさせてしまいます。早めの予防と駆除を心がけ、個体が少ないうちに対処して植物を守ってくださいね。
更新日: 2016年01月24日
初回公開日: 2016年01月24日