草花や野菜を育てているとき、一番やっかいなのが病気や害虫への対処ではないでしょうか?中でも、根の病気は地中で被害が広がり、気づいたときにはもう手遅れ…なんてことも少なくありません。今回は、そんな病気の1つ、「根こぶ病」とはどんな病気なのか、症状や被害、農薬などによる対策方法などをまとめました。
根こぶ病とは?
根こぶ病とは、カブや白菜、キャベツ、ブロッコリーといったアブラナ科の植物に発生する病気です。土の中に潜む糸状菌というカビによる感染が原因で、根っ子にさまざまな大きさのコブができてしまいます。
ネコブセンチュウに寄生されたときと似たような症状が現れますが、根こぶ病方が大きなこぶができるので、見た目で違いが分かります。
根こぶ病にかかるとどんな症状や被害にあうの?
根こぶ病にかかると、根の働きがコブによって衰えるので、水分や栄養分を十分に供給できなくなってしまいます。そのため、日中は葉っぱや茎がしおれ、夕方になると元気になるという症状をしばらく繰り返します。そして、どんどん生育が悪くなり、次第に枯れてしまいます。ブロッコリーの下葉が枯れる、白菜が結球しないといった現象は、根こぶ病の典型的な症状となっていますよ。
また、病原菌は7~10年間ほど土の中に生存し続けます。これは、根こぶ病で作られたコブの中に、たくさんの休眠胞子が詰まっており、土の中に放出されるためです。たとえ感染した株を無事に収穫できたとしても、汚染された土にアブラナ科の植物を植えると、感染を繰り返してしまいます。
被害にあう植物の例
白菜/ブロッコリー/カリフラワー/カブ/キャベツ/小松菜/大根/ミズナなど
根こぶ病の発生時期や条件は?
根こぶ病は、水分量が多く、酸性に傾いた土で発生しやすくなっています。そのため、5~11月の間、特に梅雨や秋の長雨といった湿度の高い時期は、注意が必要です。逆に、真夏や真冬といった地面が乾燥しやすい時期や、pH7.0以上のアルカリ性の土壌では発生しにくくなっています。
根こぶ病の農薬による対策方法は?
一度根こぶ病にかかった株は、回復することがないため、処分するほかありません。ただ、発生初期であれば、ネビジンやフロンサイドなどの土壌殺菌剤によって駆除することができる可能性があります。薬剤は、ラベルに書かれている注意事項を守って使うようにしてください。また、必ず駆除できる保証はないので、かかってから対策を講じるのではなく、かからないよう予防策を施しておくことが大切です。
根こぶ病の予防方法は?
連作を避ける
前述の通り、根こぶ病の病原菌は土の中で10年近くにわたって生存します。そのため、一度発病した場所には、アブラナ科の野菜を植え付けない方が賢明です。アブラナ科以外の植物を植えることで、土の中で眠っている胞子の濃度を低くしていくことができますよ。
土の酸性度合を中和してから作付けをする
根こぶ病は、酸性に傾いた土で発生しやすくなっています。そのため、作物を植え付ける前に、苦土石灰や石灰を土に混ぜ込んでおき、酸性度合を中和することは有効な予防手段となります。苦土石灰は、粒子が細かければ細かいほど土になじみやすく、pH矯正作用が大きいとされているので、できるだけ粒子の細かいものを選ぶとよいですよ。
おとり作物を植える
アブラナ科の中でも、葉大根やほうれん草など一部の植物には、根こぶ病に感染しても根の内部で菌が増殖しないものがあります。この作用を持つ植物をおとりとして利用して、他のアブラナ科の植物を育てていきます。
農薬を土に混ぜておく
ネビジン粉剤やダコニールといった根こぶ病に効く土壌殺菌剤を土に混ぜておくことで、糸状菌の発生や拡大を抑えることができます。
そば殻を土に混ぜる
信州大学の研究により、そば殻が根こぶ病を抑える働きがあることが近年明らかになりました。これは、そば殻に含まれるカフェー酸が糸状菌の胞子の発芽を誘発し、土壌中に出た遊走子(水中を遊泳する胞子)を増殖させず、死滅させるためです。さらに、土にそば殻を混ぜることで、土がフカフカになり、通気性と水はけもよくなります。
根こぶ病の予防には輪作が効果的
根こぶ病は、一度発生すると、広範囲に被害が広がってしまう恐ろしい病気です。アブラナ科にしか発生しないというのは、面白い生態ですよね。ただ、完全に駆除することはむずかしく、毎年被害に悩まされる人が大勢います。ぜひ、植物を植える前に予防策を施して、たくさんのおいしい野菜を収穫してくださいね。特に、同じアブラナ科を育てない輪作は、簡単にできる予防策ですよ。
更新日: 2016年02月26日
初回公開日: 2016年02月26日