スイカは、みずみずしく甘い夏の味覚の王様です。水分、カリウム、βカロテンを豊富に含み、夏バテや熱中症の予防にぴったり。大玉、中玉、小玉などいろいろなサイズがあるので、栽培する場所の広さに合わせて育てられますよ。今回は、そんなスイカの栽培について、育て方のポイントや種まき受粉の方法などについてご紹介します。
スイカ(西瓜)の育て方や栽培のポイントは?
日当たりがよく気温が高い場所で育て、植え付け時は肥料少なく、追加の肥料はたっぷり与えることがスイカを栽培するコツです。生育適温が20~30度と高く、1日6時間以上直射日光が当たる場所が栽培には最適。
また、植え付け時の肥料を与えすぎると、「つるぼけ」と呼ばれる茎葉ばかりが茂ってしまう状態になるので注意してください。また、ウリ科の植物を過去に育てたことのある土だと、連作障害を起こすので避けます。
スイカ(西瓜)の種まきの時期と方法は?
スイカの種まきは、3~4月に行います。広い場所でたくさんの株を育てるときは、地面に直接種をまけますが、家庭菜園なら必要な分だけを育苗して育てていった方が無駄なく育てられますよ。
- 3号(直径9cm)の育苗ポットに赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れる
- 土に深さ1cmくらいのくぼみを指で3ヶ所空け、それぞれに1粒ずつ種をまく
- 種に土を被せて指で軽く押さえる
- それぞれの育苗ポットにたっぷりと水を与え、土が乾かないよう水やりをして管理する
- 本葉が2~3枚生えてきたら、それぞれのポットで生育のよいものを1本選んで、ほかをハサミで切り落とす
- 苗を日向に置いて、土が乾いたら水やりをして引き続き育てる
- 本葉が5~6枚になったら鉢や地面に植え替える
スイカ(西瓜)の苗植えの時期と方法は?プランターでも育てられる?
苗植えは、4月下旬から6月上旬が苗植えの適期です。日光を好み、生育気温が高いので、もしも気温が足りないようであればホットキャップなど保温対策をしておくとよいですよ。
鉢・プランター
スペースが限られているなら、鉢やプランターでスイカを育てていきます。大玉スイカなら幅60cmの深型プランターに1株、小玉スイカなら10~12号で深さのある鉢に1株が植え付けの目安です。
底に鉢底石を敷き、容器の8分目くらいまで土を入れたら、スコップで苗よりも1回り大きな植え穴を掘って苗を置いていきます。このとき、根に付いた土は崩さないようにしておきます。土は、市販の野菜用培養土か、赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で混ぜた土がおすすめです。
地植え
地植えは、植え付ける2週間前にコップ1杯(100g)、1週間前に堆肥1袋(2kg)と化成肥料コップ1杯(100g)を1㎡あたりに混ぜあわせたもので畝を作っていきます。
畝は、高さ10~15cm、幅70cm以上の大型サイズがよいですよ。株同士の間隔は100~150cm空けて植え穴を掘り、根に付いた土は崩れないよう植えていきましょう。それぞれの株には、株元にワラを敷き、上からホットキャップを被せて保温しておきます。
スイカ(西瓜)の水やり、肥料の与え方
水やり
スイカは多湿に弱く、水やりを控えめにした方が甘くなります。地植えは、日照りが何日も続かない限りは降雨のみでかまいません。鉢・プランター植えなら、土の表面が白く乾いたら水やりをするのを基本に、開花後は3日に1回くらいの頻度にして乾燥気味に育てていきます。
肥料
植え付けるときの肥料は、地植えは苗植えのところでご紹介した通りです。鉢植えは、スプーン大さじ1杯(10g)ほどの化成肥料を植え付け時の土に混ぜあわせます。
その後は、つるが伸びはじめてから最初の実が確認できるまでに1回と、実がこぶし~ソフトボールくらいの大きさになったら1回の計2回追加で肥料を与えていきます。1株ごとに大さじ1杯くらいの化成肥料を株元から60cmほど離れた場所に施していきましょう。また、必要であれば2~3週間ごとにさらに追加で肥料を与えてもかまいません。
スイカ(西瓜)の剪定!摘心の時期と方法は?
スイカには雌花に花粉が付いて果実を付けます。この雌花は、親づるではなく子づるや孫づるにたくさん付くので、摘心をしていきます。時期は、本葉が6~8枚ほど生えた5月中旬~6月上旬までが適期です。3~4本ほど元気のよい子づるを残してほかを摘み取り、さらに親づるの頂点を摘み取ります。
スイカ(西瓜)の人工受粉の方法は?
花粉が風に乗って受粉しますが、人工受粉をすることでスイカを収穫できる確率が高まります。6月上旬~下旬に、行っていきます。花の付け根のあたりが膨らんでいるのが雌花、そうでないのが雄花です。雄花を摘み取り、雌花にこすりつけていくと受粉されますよ。
スイカ(西瓜)の収穫の時期と方法は?
摘果
たくさんの果実を付けてしまうと、株の栄養が分散して実が大きくならなかったり、甘くならなかったりしてしまいます。それぞれの株に対して1~2個実を育てるようにするとうまくいきますよ。また、最初に付いた実は特に栄養を取ってしまうのですぐに摘み取ってしまいましょう。つるの先端の方に付く実を残します。
その後、巻きひげが付きはじめたときに、実を横に倒して裏返す「玉直し」をすると、全体に日光が当たってまんべんなく色づきますよ。
収穫
大玉は人工受粉後40~45日、小玉なら30~35日ほどたった7月中旬~8月下旬に収穫の時期を迎えます。実に付いている葉っぱが枯れている、手のひらで実を叩くとポンポン澄んだ音がする、つるの付け根が少しくぼんで縞模様が出てきたなどが適期を迎えたサインです。ヘタを清潔なハサミで切り取っていきます。
スイカ(西瓜)の栽培で注意する病気や害虫は?
スイカは、連続して同じ場所で育てると連作障害によって生育不良を起こしてしまいます。同じウリ科だと起こってしまうので、同じ場所で栽培するなら少なくとも5~6年は栽培期間を空けましょう。このほかにも、病気や害虫が発生しやすいので、それぞれの症状と対策を事前に知っておくと安心ですよ。
うどんこ病
葉茎がうどん粉をまぶしたように白っぽくなる、カビが原因の病気です。真夏の高温時期を除いた4~11月頃に発生しやすくなっています。粉状のカビが株全体に広がると、栄養を奪われるだけでなく、光合成ができなくなるので、味や小さい果実が付く原因となってしまいます。風通しをよくすることを心がけ、被害が大きければ野菜用の殺菌剤を散布します。
炭疽病
高温多湿時期に発生しやすい病気で、梅雨明けから葉っぱや果実に黒褐色の斑点が現れたら炭疽病を疑います。病気になった葉はできる限り取り除き、殺菌剤をまいて拡大を防ぎましょう。雨風や、水やりをしたときに地面から跳ね返った泥から感染するので、株元にワラを敷くことが予防につながります。
ウリハムシ
体長7~8mmほどをしたオレンジ色の虫で、幼虫はウリ科植物の根を、成虫は葉っぱや果実を食べてしまいます。農薬に耐性をもつものもおり、効果のある薬剤がないので、発生すると基本的に手作業での駆除となります。土に未熟な有機物を入れないようにし、防虫ネットをかけて成虫の飛来を防ぎます。
ウリノメイガ
「ワタヘリクロノメイガ」というのが正式名ですが、ウリ科の作物を好むのでこちらの別名の方が一般的です。背中に2本の白い筋が入った緑色のイモムシから、褐色の羽に白い模様が入った蛾へと成長していきます。
5~10月にかけて年3~4回発生し、幼虫が新芽にもぐったり、葉裏に糸を張ったりして株を食べてしまいます。もともと薬剤に強いので、発見したら葉っぱごと切り取って株から取り除きましょう。また、防虫ネットを被せておくことも効果的な予防です。
スイカ(西瓜)の栽培は苗選びが大切
スイカを家庭菜園で栽培するときは、少量の株を苗から育てはじめる人が多いです。そのため、スイカの栽培では、苗選びが特に大切。茎が伸びすぎているものや、葉っぱが変色しているものはよくありません。茎葉が鮮やかな緑色をしており、節の間がつまったものを選ぶとよいですよ。自宅で甘いスイカを栽培できれば、夏の家庭菜園も暑さに負けず楽しめそうですね。
更新日: 2021年05月19日
初回公開日: 2016年05月12日