街路樹や公園樹、庭木でもよく見かけるヤマボウシ。白やピンクの花びら(総苞片)が美しく、自宅でもヤマボウシを育ててみたいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ヤマボウシの植え付けや剪定方法、挿し木での増やし方などをご紹介します。
ヤマボウシ(山法師)の苗木の植え方!時期と方法は?
ヤマボウシの植え付け時期は、11~12月、2月下旬~3月が適しています。寒さの厳しくなる1月~2月中旬は、ヤマボウシの生長が遅いので避けるようにしましょう。
鉢植え
ヤマボウシを鉢植えに植え付ける場合は、7号ほどの鉢を用意して鉢底ネット、鉢底用の石を敷いておきます。
赤玉6~7:腐葉土3~4くらいの用土を準備して、購入しておいた苗木の根鉢を少し崩してから鉢に入れて、用土を入れます。
根鉢を崩すときは根を切らないように、手で払う程度にしてくださいね。
根鉢を用土で覆ったときが鉢の8~9割ほどの高さになるように調節した後(鉢の上部にウォータースペースとして1~2割の隙間をあける)、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与え、支柱を添えてあげましょう。
地植え
ヤマボウシを地植えするときは、水はけが良くなるように植え付けるのがコツです。まず、苗木の根鉢よりも2割ほど広く・深く穴を掘ります。
水はけを良くするために、根鉢を置く中心部分を周りよりも少し高くしておき、穴の底に腐葉土を混ぜて根鉢を入れます。
緩効性の化成肥料と堆肥を土を混ぜ、掘った穴の1/2~2/3くらいまで敷き詰めましょう。このとき、地表から根鉢の上部(根本)が少し出ているのがポイントです。
たっぷり水やりをしたら、支柱を添えます。わらやバーク堆肥でマルチングをして株元を覆うのも、乾燥と多湿を防ぐ一つの方法です。
ヤマボウシ(山法師)の育て方!肥料、水やりの方法と注意点は?
ヤマボウシは乾燥を好み、過湿で根腐れしやすいため、水をあげすぎず、多少乾燥しすぎかな?くらいがちょうどいいと考えましょう。寒肥として1~2月頃に、油かすや骨粉など遅効性の高い有機質肥料を適量与えます。
鉢植えの場合
鉢植えの場合は、定期的な水やりが必要になります。春と秋は、表面の土が乾いたタイミングで鉢底から水があふれるくらいに水をたっぷりあげます。夏は毎日暑くなる前の朝にたっぷりと水をあげます。
冬は休眠しているためそれほど水を必要としないため、土が乾燥した状態を保つように意識しましょう。梅雨の時期は多湿になるため、水やりの必要はあまりありませんが、多湿で根腐れしないように注意してくださいね。
地植えの場合
地植えの場合、基本的に水やりを行う必要はありません。もし夏場に極度の乾燥状態になったら、表面の土を掘り、根元まで染み込むようにたっぷりと水やりをしましょう。
ヤマボウシ(山法師)の剪定が必要な時とは?
ヤマボウシの剪定は、地植えでスペースがある場合は特に必要はありません。枯れてしまった枝や株元から伸びてきた枝を取り除くメンテナンスを行うだけで十分です。剪定が必要になるのは、スペースが狭くて枝が余計に伸びてしまった場合や、鉢に植えている場合です。
ヤマボウシ(山法師)の剪定方法や時期は?
剪定に適した時期は12~2月で、間のびした枝や込み合った枝などの不要な枝を、分岐している場所のすぐ上で切って剪定します。剪定後は切り口が腐敗するのを防ぐため、抗菌癒合剤などの保護材を塗り、菌の侵入を防ぎましょう。
ヤマボウシ(山法師)の接ぎ木や種での増やし方は?挿し木で増やせないの?
ヤマボウシの増やし方は、接ぎ木と種まきの2種類があります。ヤマボウシは挿し木が難しく、発根がしづらいため、あまり挿し木が選択されることはありません。
種で増やす
種から育てる場合、花が咲くまで約7~8年かかります。秋に実る赤い果実から種を採取し、真空パックなどに入れて冷蔵庫で種を保存しておきます。
採取した種は乾燥してしまうと発芽力が低下するため、湿らせるなどして乾燥させないように注意してくださいね。
種をまくのは、用土を敷き詰めた鉢か地の表面にまきます。日光が当たる場所であれば軽く土をかぶせても構いません。
用土の上に種をまいた後は、発芽して本葉が数枚になるまで十分に水をあげます。本葉が揃うと、土から出して根の先端部分を切り、苗木として鉢植えか地植えを行います。
接ぎ木で増やす
ヤマボウシを接ぎ木で増やす場合は、丈夫な台木に接ぎ木のヤマボウシを結びつけて栽培を行います。接ぎ木を利用するのは園芸で利用される品種の場合が多く、種から2~3年かけて育てたヤマボウシの苗を台木として、接ぎ木で増やすことが多いようです。
ヤマボウシ(山法師)を育てるときはうどんこ病に注意!
ヤマボウシの栽培中は、うどんこ病に気をつけましょう。うどんこ病は、梅雨時から梅雨明けにかけて発生しやすく、新芽や葉っぱの表面に白い粉が降ったような状態になる病気です。
放置しておくと、樹が弱り早く落葉してしまうので、殺菌剤などで早急に対処する必要があります。カミキリムシの幼虫による食害が出ることもあるので、見つけたら駆除をしましょう。
ヤマボウシ(山法師)の育て方のポイント
ヤマボウシは、高さ5~10mほどまで生長する植物です。できれば植える場所はスペースに余裕のある庭などが望ましいです。ヤマボウシを植え付ける際は、日当たりが良く、強い西日の当たらないところ場所を選びましょう。
なお、ヤマボウシは種から育てることもできますが、発芽率も低く、花を咲かせるまでに7~8年ほどもかかってしまうため、通常2~3年生長した苗木を購入して植え付けるのが一般的です。
ヤマボウシ(山法師)の育て方は自然に任せるのがコツ
ヤマボウシは乾燥を好むので、あまり水やりの必要がなく、自然に任せられる植物です。心配をしすぎて根腐れさせてしまったという方も多くいるので、少し放っておくくらいの気持ちでいるのが良いかもしれません。
ヤマボウシを種から樹木にまで育てるのは時間も根気もいりますが、全てをゼロから作りたい方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。
更新日: 2021年06月23日
初回公開日: 2015年05月12日