もこもこかわいい緑色のマリモ。その個性的な風貌から、まるでペットのように愛着を感じる方で育てている人も少なくありません。限られた場所にしか生息しないので、姿形は知っていても、見たことがないという人も多いかもしれませんね。今回は、マリモとはどんな生き物なのかや、育て方についてご紹介します。
マリモの学名・原産国・英語
- 学名
- Aegagropila linnaei
- 科・属名
- アオミソウ科・マリモ属
- 英名
- Marimo
Cladophora ball
Lake ball
Moss Ball
- 原産地
- 日本、アイスランドをはじめとした北半球
マリモとはどんな生き物?植物なの?
マリモは、アオミソウ科に分類される淡水性の緑藻の1種です。光合成によって生長する植物の仲間で、エサをとったり自分で移動したりといった動物的な行動をとることはありません。
大きな緑の球体に見えるのは、じつは太さ0.05~0.1mm、長さ0.5~3.5cmほどの小さな藻の集まりとなっています。1つ1つの個体は濃緑色の糸状体で、もともと小石や岩にくっついていたものが何かのきっかけにちぎれ、互いに絡み合ってひとまとまりになったものです。日本では、北海道や青森県などの寒冷地を中心に分布し、光の届く水深2~3mほどの浅い湖底に生息します。なかでも、阿寒湖の北側チュウルイ湾のものは、直径20~30cmにもなるビッグサイズ。海外でもヨーロッパ北部、ロシア、北アメリカなどで見られますが、ビロード状の大型球状体マリモが群生するのは、世界で阿寒湖だけといわれているんですよ。近年は、水質汚染や水位の変動により個体数が減少していることから、阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物、富士五湖のマリモは山梨県の天然記念物、および国内のすべてのマリモは絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
マリモの育て方のポイントは?
涼しい環境を用意し、いつも水をきれいな状態にしておくことがマリモを長く育てるコツです。マリモは、冬には凍ってしまうような冷たい場所に生きています。水温10~20度の冷たい水を好み、30度を超えると枯れてしまうので、夏は冷房や冷蔵庫をうまく活用していきます。また、水が濁っただけで弱ってしまいます。
マリモを育て始めるときはどうする?
マリモは、水を入れた容器に沈めて育てていきます。光合成をして育つので、容器は透明なものを使い、直射日光の当たらない明るい日陰で管理していきます。自生種は、湖底で重なり合って育つので、耐陰性は高く、部屋の照明くらいの明るさがあれば十分に生きていけます。直射日光に当たると、むしろ弱ってしまうので注意してください。
マリモの手入れ!水の交換方法は?
夏なら1~2週間に1回、冬なら1ヶ月に1回マリモの水を交換していきます。水道水でかまいませんが、一晩くみ置きしてカルキ抜きしたものが最適です。洗剤や油にとても弱いので、容器を洗うときに付かないよう注意してください。
水を交換するとき、マリモ自体も水洗いすると汚れがとれて生育が保てます。手平にとって、流水を当てながら手で汚れを優しく取り除いていきましょう。このとき、表面の変色した部分を指でちぎり取ってもかまいません。ただ、強い力を加えると球体が崩れてしまうので注意してください。
マリモと一緒にほかの生き物は育てられる?
ガラスビーズなどのアクセサリーで好きにレイアウトを楽しめますが、水質への影響を考えると、マリモ以外の生き物と一緒に育てるのはおすすめできません。特に、藻類を食べる魚・エビ・貝類と一緒にすると、エサにされてしまうので避けてください。
マリモの栽培で注意する病気や害虫は?
黒っぽくなる
表面が黒っぽいときは腐敗しているかもしれません。黒くなった部分を取り除き、緑色の部分だけを集めて丸め直します。10cmを超えるマリモは芯が空っぽになって内側から腐りやすくなっているので、水を交換するときに軽く押し洗いをして、マリモ内部の水も入れ替えておくと予防になります。
白っぽくなる
表面が白っぽいときは他の藻類や生物が付着しているか、日焼けをしている可能性があります。水を交換するとき、手のひらに流水をためてマリモをのせ、指先で軽く転がすようにして優しく洗ってあげるときれいになります。日焼けの疑いがあるときは、直射日光の当たらない場所に移動させてください。
茶色っぽくなる
表面が茶色っぽいときは枯れかけているかもしれません。茶色くなった部分を取り除き、被害が広範囲に及ぶようなら切り落とします。
害虫の発生
夏場は蚊が卵を産みつけることがあるので、ふた付きの容器で栽培すると予防になります。ミズミミズの発生は水質悪化のサイン。大きな水槽で育てるときは、ろ過装置を設置するとよいですよ。
マリモの育成は簡単
マリモは生長のスピードがとても遅く、野球ボールくらいの大きさになるまで150年以上かかるといわれています。見た目に大きな変化はありませんが、静かにじっとしている姿からは、不思議と癒しを感じるものです。ちょっとしたスペースにもかわいく飾れるので、インテリアにおすすめですよ。
更新日: 2016年06月23日
初回公開日: 2016年06月23日