コスモスをコンパクトにしたような花姿がかわいらしいブラキカム。春から晩秋までの長い間、やわらかな雰囲気をもつ花を次々と咲かせます。今回は、そんなブラキカムの花言葉と育て方についてご紹介します。
ブラキカムの花言葉
『いじらしい』『可憐な仕草』『優美』『野生美』
ブラキカムは春~秋にかけて、花を咲かせます。その長い間にわたって懸命に花を咲かせる姿から、「いじらしい」という花言葉が付けられました。
ブラキカムとは?どんな花を咲かせる?
ブラキカムは、キク科・ブラキカム属に分類される植物の総称で、一年草と多年草の種類があります。明治時代の末期に日本へと伝わり、コスモスのような花姿と、青や淡いピンク、白などの色彩豊かな花色が特徴となっています。
草丈は10~20cmで、枝分かれをした茎の先に、約3cmの小さな花を咲かせます。多年草の種類、花期が長く、春~晩秋まで花を咲かせますが、一年草は4月頃に開花し、夏には枯れてしまいます。また、葉っぱは羽のような形で、互い違いに生えています。
名前の由来
日本では園芸名として「ブラキカム」が使われますが、本来は「ブラキスコメ」が正解です。この「Brachyscome」は、ギリシア語の「brachys(短い)」と「kome(束毛)」の2語が語源で、種の冠毛が短いことにちなんでいます。「姫秋桜(ヒメコスモス)」という和名は、株分かれして広がる姿が一回り小さくしたコスモスに似ていることに由来します。
ブラキカムの学名・原産国・英語
- 学名
- Brachyscome
- 科・属名
- キク科・ブラキカム(ヒメコスモス)属
- 英名
- Swan river daisy
- 原産地
- オーストラリア、ニュージーランド
- 開花期
- 3~11月
- 花の色
- 青、青紫、藤色、淡いピンク、白、淡黄色など
- 別名
- 姫秋桜(ヒメコスモス)
姫嫁菜(ヒメヨメナ)
ブラキカムの種類や品種は?
ブラキカムは、オーストラリアを中心に約60~70種が分布しています。出回るさまざまな品種は、大きく3系統に分かれており、毎年花を咲かせる多年草のアングスティフォリア系やムルティフィダ系と、花後に枯れる一年草のイベリディフォリア系があります。
ブラキカムの育て方!種まきや苗植えの時期と方法は?
種まき
9~10月が種まきの適期です。発芽適温は20度前後なので、気温が十分に下がってから植え付けるようにすると成功率が高まりますよ。種まき用の土は、赤玉土(小粒)など粒子が細かいものや、ピートバンがおすすめです。
- 育苗箱に土を入れ、種をばらまく
- 種に薄く土をかぶせ、土が乾かないよう水やりをして管理する
- 発芽してからは、気温が5度以上保てる場所で管理する
- 本葉が2~3枚付いたら、生育のよいものを必要な分だけ選んで、育苗ポットに移す
- 草丈が10cm以上に生長したら、鉢や地面に植え替える
苗植え
3月中に、苗を鉢や地面に植え付けていきます。鉢植えは、水はけと水もちのバランスがよい土を準備します。赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1や赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた土を作りましょう。市販の花と野菜用培養土を使うときは、2割くらいパーライトを混ぜておくとよいですよ。
地植えは、日当たりと風通しのよい場所で、土の水はけをよくしてから植え付けます。土を深さ20cmくらいまでスコップで掘り起こしたら、2~3割ほど腐葉土を加えておきます。そして、20~30cm間隔に植え付けていきましょう。
ブラキカムの育て方!水やりや肥料の与え方は?
水やり
ブラキカムは、高温多湿を嫌います。鉢植えは、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えます。ただ、極端な乾燥にも弱いので、夏は朝と夕方に水やりをするぐらいが適量です。地植えは、よほど雨が降らない日が続かない限り、水やりは必要ありません。
肥料の与え方
たくさんの肥料は必要ありません。鉢植えは、春~秋の開花期間中に薄めた液体肥料を2週間に1回ほど施すか、緩効性化成肥料を1回株元に置きます。真夏は、暑さで弱るので与えなくてかまいません。また、地植えも肥料は基本的に必要なく、生育が悪いようであれば、春と秋に緩効性化成肥料を与えるようにしましょう。
ブラキカムの育て方!剪定の時期と方法は?
花がら摘み
灰色かび病の発生を予防するために、3~11月の開花期間中は、こまめに枯れた花を摘みとっていきます。
切り戻し
花がひととおり終わった梅雨の6~7月頃に、全体を刈り込んで切り戻しを行います。これによって株の風通しがよくなり、高温多湿による夏の蒸れを防ぎます。
ブラキカムの育て方!植え替えの時期と方法は?
多年草のタイプは、鉢いっぱいに根が広がり、底から伸び出てくるようであれば、一回りほど大きな鉢に植え替えます。できれば1年に1回行うのがおすすめ。時期は3~4月の花が咲く前が最適です。
ブラキカムの増やし方!挿し芽や株分けの時期と方法は?
挿し芽
- 5~6月頃、茎を長さ7~8cmほどに切る
- 茎の下の方に付いている余分な葉っぱを切り落とす
- 15分ほど切り口を水に浸ける
- 赤玉土(小粒)など清潔な挿し木用の土に茎を挿す
- 土が乾かさないよう水やりをして管理する
- 2週間ほどで根が生え、十分に生長したら鉢や地面に植え替える
株分け
3月頃、植え替えと同時に行います。株を掘り上げ、それぞれに茎が付くよう手やナイフで根を分けていきます。そして、それぞれの株を鉢や地面に植え付けたら、通常どおり管理していきます。
ブラキカムの育て方で注意する病害虫は?
灰色かび病
じめじめとした梅雨の時期になると、ブラキカムに発生しやすい病気です。発病すると茎葉がぐちゃぐちゃに腐ってしまいます。風通しをよくし、水はけのよい土で育て、鉢植えであれば長雨に当てないよう鉢を移動させるなど多湿を避けるよう心がけましょう。
発病してしまったら、病気にかかった部分を取り除き、殺菌剤を散布して拡大を防ぎます。
ブラキカムの育て方のポイントは?冬越しはできる?
ブラキカムは日当たりと風通しがよい場所で、水はけのよい土に植え付け、夏の日差しは遮光してあげることが長く花を楽しむポイントです。一年草、多年草いずれであっても、夏の暑さや湿気を苦手としています。きちんと植え付ける環境を整えてあげれば、丈夫で手間はかからず、育てやすいですよ。
多年草であれば、冬越しすることができます。軽く霜がおりるくらいの寒さなら、外に置いておいても冬越しすることはできますが、凍るような寒さの地域であれば、室内に取り込みます。
庭植えする場合は、日当たりが良い場所に植えつけ、夏は日よけをして、半日陰をつくります。水はけの良い土を選んでくださいね。
ブラキカムはガーデニングに取り入れやすい丈夫な花
ブラキカムは、シンプルな花姿と控えめな花色をもつ丈夫な草花です。20cm前後とあまり大きくならず、ガーデニングに取り入れやすいことも魅力。
淡い花や個性の強い花と合わせるなど、さまざまな組み合わせで楽しむことができ、寄せ植えの花材としても人気があります。また、単体でたくさん咲かせるのもやわらかな雰囲気を演出できるので、ガーデニングの初心者からベテランまで幅広いニーズに応えてくれますよ。
更新日: 2021年12月03日
初回公開日: 2016年03月31日