水仙は、ほのかな甘い香りで春の訪れを知らせてくれる花です。その香りは天然香料として、香水の原料にもなっています。また、花にまつわる神話もおもしろいものがありますよ。今回は、水仙の花言葉や種類・品種、見頃の季節、毒性などについてまとめました。
水仙(スイセン)の花言葉は?
『自己愛』『うぬぼれ』『愛に応えて』
● 色別の花言葉
白:尊敬、神秘
黄色:もう一度愛してほしい、私のもとへ帰って
水仙は、花がもつ清楚なイメージとは真逆の花言葉をもっています。これは、学名の由来となった「ナルキッソス」という美少年にまつわるギリシャ神話のエピソードに由来します。
黄色の水仙の花言葉は、別のギリシャ神話に由来します。
デメテルの娘ペルセポネは、冥界の王ハーデスに一目ぼれされて、黄泉の国に連れ去られてしまいます。連れ去られるペルセポネの手から落ちた水仙は、その後黄色い花を咲かせ、黄水仙となったとされています。ペルセポネの母親で豊穣の女神デメテルは怒り悲しんだことから、「私のもとへ帰って」という花言葉がつきました。
また、「愛に応えて」は、結局ペルセポネの愛を勝ち取ることができなかったハーデスの思いにちなんでつけられました。
水仙(スイセン)の花の色は?学名や原産国は?
- 学名
- Narcissus
- 科・属名
- ヒガンバナ科スイセン属
- 英名
- Narcissus
- 原産地
- ヨーロッパ~北アフリカ
- 開花期
- 12~4月
- 花の色
- 白、黄色
- 別名
- ナルシサス
雪中花(セッチュウカ)
水仙(スイセン)とは?どんな花を咲かせる植物?
水仙は、冬から春にかけてラッパ状の花を咲かせる耐寒性のある球根植物です。神話の時代からヨーロッパで親しまれ、日本へは中国を経由して平安時代にもたらされました。
名前の由来
学名の「Narcissus(ナルシサス)」は、美少年ナルキッソスが登場するギリシャ神話に由来しています。
ナルキッソスはその美しさから、たくさんの人から言い寄られていました。そのため、自らの美しさを鼻にかけており、誰のことも愛そうとはしませんでした。あるとき、森の妖精エーコーが彼に恋をしました。しかし、エーコーは言葉を繰り返すことしかできないという呪いをかけられており、ナルキッソスはそんなエーコーを退屈だと見捨てます。
その悲しみからエーコーは姿を失ってしまいます。その一連の流れを見ていた侮辱を罰する神民ネメシスは、ナルキッソスを山の泉に呼び寄せます。その泉に映った自分に恋をしたナルキッソスは、そこから動けなくなって、やせ細り、死んでしまうのです。ナルキッソスが死んだ後に水仙が咲いていたということです。
このギリシャ神話のエピソードから、水仙のことをナルシサスと呼ぶようになりました。また、花言葉も自己愛やうぬぼれといったものがつきました。実はナルキッソスは、自己陶酔を意味する「ナルシスト」の語源にもなっていますよ。
水仙(スイセン)に毒はある?
水仙の葉や球根にはアルカロイドという毒があり、悪心や下痢、発刊、頭痛、嘔吐などの中毒症状を引き起こします。葉っぱがニラ、球根がタマネギに似ていることから、年間で5~20人程が誤飲してしまうことがあり、厚生労働省などでは注意を呼びかけています。畑のわきなど間違えやすい場所には植えないよう注意してください。
水仙(スイセン)の花が咲く時期と見頃の季節は?
水仙は、花壇の花が少ない12月~4月に花を咲かせます。日本の水仙の名所は、海辺に面していることが多く、福井県の越前海岸では、満開期に焼く1,500本の水仙が咲き誇る様子を見ることができますよ。
水仙(スイセン)の種類は?
水仙は品種改良が盛んで、現在は1,000を超える品種が存在するといわれています。今回は中でも有名なものをいくつかご紹介します。
ラッパスイセン
花全体が黄色く、ラッパに似ていることからその名前がついた品種です。スペイン、ポルトガルからドイツ、イギリスあたりまでのヨーロッパの広い地域に分布しており、ウェールズの国花となっています。
ニホンスイセン
白い花の中央に黄色の副花冠がある品種で、日本で水仙といえばこの品種を指します。小輪の房咲きで、日本各地に自生しています。
水仙(スイセン)の花で冬の花壇を飾ろう
水仙は球根植物の中でも育てやすいのが魅力の植物です。植えつけた後は、放っておいても毎年花を咲かせるほど丈夫なので、ガーデニングに慣れていなくても安心して育てられますよ。
また、直線的な葉の形を生かして、パンジーやムスカリなどのカラフルで草丈の低いものと寄せ植えにしてもステキですよ。
更新日: 2021年12月22日
初回公開日: 2015年07月11日