正月になると南天の葉っぱや実を飾る習慣が日本にはあります。南天の名前は知らなくても、その葉や赤い実を一度は見たことがあるのではないでしょうか?今回は、そんな縁起のよい植物である南天の、鉢植え・地植えの植え付けや植え替え、剪定、挿し木の時期や方法についてまとめました。
南天(ナンテン)とは?
南天は、中国や日本が原産の常緑低木で、自然界では1~3mほどにまで生長します。漢名の「南天燭」から、日本では「ナンテン」と呼ばれています。夏に咲いた白い花は徐々に赤色になり、冬になると真っ赤な果実を実らせます。
南天(ナンテン)の基本情報
- 学名
- Nadina domestica
- 科・属名
- メギ科ナンテン属
- 英名
- heavenly bamboo
nandina
- 原産地
- 中国
- 開花期
- 6~7月
11~12月に実をつける
- 花の色
- 白、黄、赤
- 別名
- ナンテン
ナッテン
ナツデン
ナルテン
ナビテン
南天燭
南天竹
南天(ナンテン)の木の種まきと苗の鉢植え、地植えの時期と方法は?
南天は、種まきと苗植えから育てる植物です。ただし、種まきから育てると花を咲かせるまで時間がかかるので、苗を購入して植え付けるのが一般的です。
種まき
11月頃に熟した実から種を採って果肉の部分を取りのぞき、すぐに土にまきます。春に種をまきたいときは、秋に採った種を乾燥しないように湿らせた後、ジップロックなどに密封して冷蔵庫で保管し、3~4月にまきます。
ポットや鉢、プランターに土を入れ、種をばらまいて、水をかけて涼しい日陰で発芽をまちます。15~25度ほどが発芽に適した温度で、水やりの後にビニールで覆うなどして多湿状態を保つと発芽が促されます。
発芽後に双葉がでてきて本葉が3~4枚ほど育つまで、土を乾燥させないように水やりを続けてください。ただし、花をつけるまでは4~5年かかるので気長に育てていきましょう。
苗植え
苗は、3~4月または9月下旬~10月が植え付けの適期です。鉢植えの場合は、ポットや幼苗を育てた鉢よりも一回り大きな鉢に、軽石、土、苗の順に植え付けてください。
地植えは午前中は日光があたり西日があたらない場所を選び植え付けます。用土は2週間前に掘り起こしておき、腐葉土や牛糞などを混ぜてねかせておくと、根付きがよくなりますよ。
南天(ナンテン)の木の土作り・水やり・肥料の与え方は?
用土
南天は、水はけと水もちのいい、やや粘土質な用土を好みます。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)4:腐葉土3:黒土3や、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜたものがおすすめです。
水やり
地植えの場合、水やりは基本的に不要です。ただ、よほど乾燥した日が続くようであれば、水やりをしてください。鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと水をあげるようにしましょう。土が乾燥しすぎないように注意してください。
肥料の与え方
肥料を与えなくても基本的には大丈夫です。地植えで不安な方は、植え付けるときに固形肥料(鶏糞・油粕)やマグァンプKを土に混ぜあわせてください。ただし、窒素分が多い肥料を与えすぎると、実が育ちにくくなるので気をつけましょう。
南天(ナンテン)の木の育て方で注意する病害虫は?
南天は乾燥に弱いため過湿の環境で育てます。そのため、カイガラムシやすす病にかかることがあるので注意してください。
カイガラムシ
初夏から秋にかけてカイガラムシが発生しやすくなります。カイガラムシは、植物の汁を吸って弱らせる害虫で、枝や葉の付け根に寄生します。綿のようなものが木にへばりついていたらブラシなどでこすり落としましょう。放置しておくとすす病を併発して、被害が拡大します。
すす病
カイガラムシの排泄物にひかれて、すす病菌が集まってくることで発症します。すす病にかかると、葉っぱの表面が黒いすすで覆われたようになり、光合成ができずに枯れていきます。病変を見つけたら、その部分を切り取って処分し、殺虫剤を散布しましょう。
南天(ナンテン)の木の植え替えの時期と方法は?
南天は2~3年に1度、4月か9月に植え替えをおこないます。特に鉢植えは、根が生長して根詰まりをおこし、花や実が育ちにくくなってしまうので、定期的に植え替えてください。
地植えの場合は、2週間前から植え替えたい場所の土に腐葉土などを混ぜてねかせておきます。そして、株の根元から30cmほどのところにスコップを入れ、根の周りの土ごと植え替えてください。
大きな株の場合は半年ほど前に株の周りにスコップを入れて根を切っておきましょう。葉を半分ほど取りのぞいて移植すれば、植え替えた後も元気に育ってくれますよ。
南天(ナンテン)の木の寄せ植えの時期とおすすめの花は?
南天は、9月頃に福寿草(フクジュソウ)や葉牡丹との寄せ植えを楽しむことができます。寄せ植えには、丈が大きくならないオタフクナンテンがおすすめです。
福寿草と一緒に植えると、「難を転じて(南天)福となす(福寿草)」という意味の縁起のよい飾り付けになりますよ。葉牡丹との寄せ植えは、紅白のコントラストが楽しめるので、自分の好みに合わせて寄せ植えを楽しんでみてください。
南天(ナンテン)の木の剪定の時期と方法は?
南天の剪定は、2~3月頃におこないます。幹の数が多くなると風通しが悪くなり、病害虫の被害にあいやすくなります。一度実のついた枝は1~3年ほど花や実をつけなくなるので、その枝を選んで切り取るようにしてください。
また、枯れ枝や細くて弱い枝があれば付け根から切り落とし、落ちている枝や葉っぱとともに処分します。
南天(ナンテン)の木の増やし方!挿し木の時期と方法は?
南天は、種まきと挿し木で増やすことができます。種まきの方法は前述の通りです。挿し木は、剪定した枝をつかうと効率的です。
挿し木は、3月中旬~下旬頃、または9月下旬頃におこないます。清潔な赤玉土などを用意し、生えてから1年以上たっている枝を15cmほどの長さに切って挿し穂を作ってください。
挿し穂は水に2~3時間つけておき、土に指や割り箸で穴を掘ってから水からあげた挿し穂を挿し込みます。その後、発根するまで日当たりのいい場所で土を乾燥させないように管理し、2~3ヶ月ほどたつと根付きます。根がしっかり伸びてきたら、鉢や庭に植え付けましょう。
南天(ナンテン)の木の育て方のポイントは?
南天は丈夫なので、初心者の方でも育てやすい植物です。ただ、乾燥には弱いので、土が乾いた後に放っておくと弱ってしまいます。鉢植えは、乾燥させすぎず、過湿にもならないよう、土の様子をよく観察するようにしてください。
また、花にビニールをかけて雨よけをすると、秋の実つきがよくなります。自家受粉しにくいので、異なる品種の南天を近くに植えておくといいですよ。
南天(ナンテン)の木の育て方は簡単!
水やりや土の養分にさほど気をつかうことなく育てられる南天。昔から縁起のいい植物として、多くの人に親しまれてきました。ぜひ、庭のシンボルツリーの1つとして育ててみてください。
更新日: 2021年08月11日
初回公開日: 2015年08月23日