子どもから大人までみんなが大好きなイチゴ。甘くておいしいツヤツヤの果実はもちろん、春に咲く可憐な白い花も魅力です。品種によっては、観賞価値の高い赤い花を咲かせるものもあります。また、要点をおさえれば果実類の中で栽培が簡単なことも、はじめて家庭菜園をする人にもおすすめのポイントとなっています。
今回は、そんなイチゴの育て方について、栽培のポイントや種まき、苗植えの時期と方法、収穫や保存の方法などをご紹介します。
イチゴの栽培はプランターならベランダでも簡単!
イチゴは育成が早く育てやすいので、家庭で栽培することも難しくありません。広いビニールハウスの中で育てられているイメージが強いかもしれませんが、プランターでも美味しく育てることもできます。ベランダで美味しいイチゴが取れたら素敵ですよね。
イチゴの栽培準備!鉢選びをしよう
植木鉢
イチゴの鉢植えは、ベランダなど狭い場所で少ない数だけ育てたい場合に適しています。植木鉢を選ぶなら、通気性に優れた素焼き鉢がおすすめです。
プランター
イチゴのプランター栽培なら、テラコッタ製のストロベリーポットが扱いやすいです。プラスチック製でもかまいませんが、風通しが悪い土の乾きにくい場所ならハンギングバスケットにしてみるのもよいですよ。水はけをよくするために、鉢底石や軽石を敷き、浅植えにするのがポイントです。
イチゴの栽培!土づくりの方法は?
イチゴは通気性と水はけがよく、弱アルカリ性の土を好みます。鉢植えなら、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:ピートモス1の割合で混ぜた土か、市販の実を育てる野菜用の培養土がおすすめです。イチゴ専用の土も市販されているので、ぜひ利用してみてください。
イチゴの栽培!苗の植え方と時期は?
植木鉢なら6〜7号鉢に1つ、プランターなら深さ20cm前後、幅65cmのプランターに3つが植え付けの目安です。イチゴの苗植えの適期は9〜10月頃、収穫は4〜5月頃です。幼苗を4〜5月に植えて翌年の4〜5月に収穫する方法もあります。
種から幼苗を育てることもできますが、時間がかかるためポット苗を購入して植え付け、春に収穫するのが一般的です。
植え付けるときに、苗のクラウンと呼ばれる部分の上部が土に埋まらないようにしましょう。根鉢が巻いてしまっている場合は少しほぐしてから植えましょう。
冬の間にもイチゴの花は咲きますが、霜で傷んで実はつかないので、無駄な栄養を消費しないよう早めに摘み取りましょう。また枯れた葉も摘み取りましょう。
イチゴの栽培!水やりの時期と頻度は?
イチゴは、根を浅く張るため乾燥しやすい植物です。土が乾燥したら水やりをするのですが、乾燥してから時間がたつと本体が弱ってしまうので、こまめにイチゴの状態を確認するようにしましょう。乾燥は病気の原因にもなります。
春に開花して結実がはじまったら、特に、こまめに観察して水やりをしてください。
冬は休眠するために吸水量が落ちるので、与える水も少なめで、土の表面が乾いた晴れた日の午前中にたっぷりと与えるようにしてください。
イチゴの栽培!肥料の与え方と時期は?
植え付けのとき、魚粉や油粕などの有機肥料を混ぜ込むか、リン酸やカリウムの化成肥料、市販されている専用の肥料を施します。
窒素が多い肥料を使うと、病害虫が発生しやすくなるので注意してください。緩効性肥料なら11月と2月中旬の2回と、収穫前に2月下旬から3週間に1回、液肥を施していきます。
市販のイチゴ専用肥料を用いると楽でおすすめです。イチゴは根が弱いので肥料が直接株元に触れないように追肥をあげてください。
イチゴの栽培!花の開花時期は?
イチゴの花の開花時期は、3〜5月頃となっています。花が咲き始めたら、収穫のタイミングまでもうすぐです。
イチゴの収穫の時期や方法は?
イチゴは、5月中旬〜6月中旬頃に収穫します。果実が土に触れないように事前にワラやマルチなどを敷いておきましょう。開花から1ヶ月ほど経過し、果実全体が赤く色づいたものからヘタごとハサミで切り取ります。
可食部として知られている部分は、茎が変化して太く色づいた部分で、つぶつぶの種のように見える部分が実は果実になります。
日中に気温が上がると半日でもかなり熟度が進むため、早朝〜午前中の涼しい時間帯に収穫するのがおすすめです。
イチゴはランナーと呼ばれる長い茎を伸ばし、その先に子株ができて増殖します。ランナーの伸びる方向とは逆の方向に果実をつけるので、植え付け時にランナーの跡を奥に向けて植えると収穫しやすくなります。
まだイチゴが実をつけるうちは、余分な栄養を取られないようランナーが伸び始めたら摘み取りましょう。
イチゴを栽培して収穫した実の保存方法は?
イチゴは傷みやすいので、収穫した果実はできるだけその日のうちに食べましょう。
保存するときは洗ったりヘタを外したりせずに、タッパーなどの蓋つきの容器にヘタを下にして置き、上下に重ねないように並べると、2〜3日はおいしく食べられます。
気温の高い場所に置くと糖分を消耗して甘みが落ちるので、必ず冷蔵庫の野菜室で保存してください。
イチゴの増やし方!つるや茎から新しい苗を育てよう
ランナーと呼ばれる茎を新たに土へ埋めて新しい芽として育てることができます。
赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れた容器に、親イチゴから伸びたランナーを土に挿し込んで、親イチゴ同様に育てます。第1子株は、親株の病気が伝染していることが多いので第2、第3子株を育てるようにしましょう。第4以降はあまり成長しないことが多いです。
子株の根の部分を土に直接挿し、ワイヤーなどで動かないように固定します。根がしっかり張ってからランナーを親株から切り離すようにします。
イチゴの栽培!冬に葉っぱやツルが枯れたときの対策は?
冬に休眠期に入ったイチゴは、若い葉っぱをわずかに残してほとんどの葉茎が枯れてしまいます。枯れた葉っぱは病原菌のすみかになるので、全て取り除きましょう。
枯れた葉っぱを放っておかないことが大切です。2月の追肥が終わったらポリマルチや敷きわらでマルチングを行い、イチゴのまわりをいつもすっきりさせておくと、厄介な病害虫の被害を抑えることができますよ。
イチゴの栽培で注意する病気や害虫は?
灰色カビ病
灰色カビ病は、4〜6月、9〜10月頃の低温多湿な時期に発生しやすい病気です。菌が原因の病気で、葉っぱや果実が灰色のカビで覆われ、特に果実が侵されると食用にできなくなり、収穫量が減ります。
水のやりすぎはもちろん、窒素成分が多すぎや日照不足が発生原因になります。病葉や枯れた部分はできるだけ取り除き、風通しをよくして十分な日照を確保しましょう。
うどんこ病
うどんこ病は、葉っぱや果実に白い粉をまぶしたような症状が出る病気です。乾燥した環境で病原菌が増殖します。
症状がひどければ、葉っぱが枯れて本体が枯れるなど深刻なトラブルを招くので注意が必要です。
見つけたら、病気になった部分を取り除いて処分するか、症状が広がるようなら野菜用の殺虫殺菌剤で菌を退治してください。
アブラムシ
アブラムシは、3〜10月に発生しやすい害虫です。鉢植えなら、見つけたら手作業で除去しましょう。込み入った茎の間などに寄生したものは、イチゴを傷めないようにガムテープでそっと取ります。
早期であれば、まめに駆除するとある程度は被害を抑えられますが、大量発生した場合は、殺虫剤を散布して退治しましょう。病気を媒介することもあるので特に注意が必要です。
イチゴの育て方のポイント
深植えにせず、水切れに注意しよう
イチゴは、浅植えにして、水不足にならないように育てるのがポイントです。根元のギザギザしたクラウンと呼ばれる部分から新しい葉やランナーが育つので、土に埋もれないようにしてください。
また、イチゴは水が大好きな植物なので、水切れには注意してください。ただ、常に土が湿っている分、カビが原因の病気にかかりやすくもなります。
鉢植えなら水はけがよくなるよう軽石や鉢底石をしっかりつめ、水はけのよい土作りを心がけましょう。地植えなら、風通しと日当たりのよい場所がおすすめです。
病害虫に強い品種から始めよう
最近では、カレンベリーやセリーヌといった病害虫に強い品種も出てきているので、はじめてイチゴを栽培される方はそういった品種を育ててみてください。
追肥を適度にあげることで甘くてコクのあるイチゴが収穫できます。肥料が少ないと酸っぱくなってしまい収穫量も減ってしまいます。逆に多すぎると病気にかかりやすくなってしまいます。忘れずに、また欲張らずに追肥をあげましょう。
お庭やベランダでイチゴを栽培して、家庭菜園を楽しもう!
収穫が1回の「一季成り性」のイチゴは、5度以下の低温と、日照時間が短くなることで果実を実らせます。秋から冬にかけては、休眠期に入って生長が遅くなり、葉っぱやランナーが枯れはじめます。
これは、通常の過程なので心配しなくても大丈夫ですよ。枯れる部分は増えますが、しっかりと寒さに当てることでたくさんの果実をつけてくれるので、あきらめないで栽培を続けてくださいね。
更新日: 2021年05月27日
初回公開日: 2016年04月28日