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シャクナゲ(石楠花)の育て方|剪定や植え替えの時期・方法は?

シャクナゲは気品にあふれた花姿から、「花木の女王」と呼ばれています。元々は山地に自生する高山植物で、栽培は難しいといわれていましたが、現在販売されているシャクナゲの多くは世界各地の原種を元に品種改良された園芸品種で、栽培はそれほど難しくありません。

さらに最近では日本で改良された丈夫で花付きの良い品種が多数出回り、その美しい花を気軽に楽しめるようになりました。

今回は、シャクナゲの苗の植え方や土・肥料・水やりの方法、植え替え、挿し木の方法や時期、注意する病気など、きれいな花を咲かせるための育て方をご紹介します。

シャクナゲ(石楠花)の3つの特徴を抑えよう!

  1. 寒さには強いが夏の暑さが苦手
    → 大きな落葉樹の下や家の東側など、強い直射日光と西日が避けられる場所を好みます。
  2. 根が浅く、空気を好む
    → 水はけの良い所で、盛り土をして植えると良いでしょう。夏の乾燥時には適度な灌水も必要です。
  3. 酸性の土を好む
    → 植え付ける場所の土に鹿沼土を混ぜ込むか、鉢植えなら鹿沼土を多めに使いましょう。

シャクナゲ(石楠花)の育て方!苗の植え付け方法や時期は?

シャクナゲ

シャクナゲの苗の植え付けの適期は3~4月、または10~11月頃です。なお、シャクナゲを種まきから育てたい場合は、3月頃に種まきをします。ただし、花を咲かせるまで10年近くかかり、一般的ではないため、あまりおすすめはしません。

鉢植えの場合

シャクナゲを鉢植えで育てる場合は、株をポットから引き抜いたときに痛めないよう注意しながら、根を1/3ほど軽くほぐし、広げながら植え付けていきます。その後はたっぷりと水を与え、直射日光の当たらない場所で管理しましょう。

地植えの場合

シャクナゲを地植えで育てる場合は、鉢植え同様に根を傷めないように土を1/3ほど落としてから植え付けていきます。植える場所は、水はけがよく有機質に富んだ土のある、半日陰が最適です。特に夏の西日が当たらないところを選びましょう。

シャクナゲ 育て方

シャクナゲは地表近くに細い根をたくさん張るので、根の上部が見えるくらい浅植えにし、表面の乾燥を防ぐため、ワラやピートモスでマルチをするとよく育ってくれます。その後、株が不安定な場合は支柱を立てると安心です。

シャクナゲ(石楠花)の育て方!土作り・肥料・水やりの方法は?

土作り

シャクナゲは、水はけ・水持ちがよい酸性の土壌を好みます。

地植えで育てる場合は、ピートモス(PH調整してないもの)や鹿沼土を混ぜ込んでおくと良いでしょう。鉢植えの場合は鹿沼土をベースにピートモス2~3割、パーライト1割、山砂1割を加えたものが適します。

肥料

シャクナゲへ与える肥料は、新芽が動き出す前の2~3月にリン酸とカリ分の多いものを与えます。

休眠に入る10月頃にもう一度与えておくと冬の間も元気を保ち、春の芽出しが良くなります。春に開花しているものを入手した場合は、花の後すぐにお礼肥を与えておきましょう。夏の間は肥料を与えません。

水やり

シャクナゲを鉢植えにする場合、土が乾いたら水をたっぷりあげるようにしましょう。シャクナゲはもともと根が浅く乾燥しやすいですが、過湿に弱く根腐れを起こしやすいので、天候を気にして土の状態を定期的に確認してあげることが大切です。

地植えの場合は、よほど土壌が乾燥している場合以外は水やりを行う必要はありません。しかし植え付けて1年目は根が十分に張っていないため、土が乾いてきたら水やりしたほうが安心です。この場合でも週に一度くらいのペースで大丈夫です。

シャクナゲ(石楠花)の育て方!植え替えの時期と方法は?

シャクナゲ 石楠花

シャクナゲの植え替えは、2年に1回の頻度で、10~11月または3月に行うのが適しています。植え替え後にはたっぷり水を与えましょう。春に植え替える場合は、芽が伸び始める前に行うようにするのもポイントです。

また、ツツジやシャクナゲを植えた場所に改めてシャクナゲを植えると、連作障害を起こす場合があるので避けてください。

シャクナゲ(石楠花)の剪定!芽かき・花芽摘みと花がら摘みの方法と時期は?

芽かき、花芽摘み

シャクナゲ 剪定 芽摘み

シャクナゲの剪定は伸びすぎた枝を切り詰める程度で、基本的には芽かきによって樹形を整えて行きます。剪定の適期は新芽の伸び出した4月頃です。

1枝から1本の新芽しか伸びないときは、伸び始めた芽が柔らかいうちにかき取ることで、複数のわき芽を出すことができます。ただし、芽数が出過ぎると花付きが悪くなるので、伸ばす芽は2~3本にとどめ余分な芽はかき取っておくのがポイントです。

また、樹勢が強いと、初めから数本の枝が出ることもありますが、その場合も2~3本だけ伸ばし、余分な芽はかき取ります。

シャクナゲ 剪定 花芽摘み

また、すべての花を咲かせてしまうと木の負担が大きいため、咲く前に花芽を減らしてやると木も弱らず翌年の花付きが良くなります。

花がら摘み

シャクナゲの開花後、花がらを放置しておくと種を付けてしまい、その分新芽の生長が抑えられ翌年の花着きが悪くなります。花弁がしおれはじめたら早めに摘み取りましょう。早いうちなら手で簡単に摘み取ることができますが、遅れると硬くなりハサミが必要になります。

シャクナゲ(石楠花)の増やし方!挿し木・接ぎ木の方法と時期は?

シャクナゲ 石楠花

シャクナゲは挿し木や接ぎ木で増やすことができます。挿し木が手軽ですが時間がかかるので焦らず育てましょう。

挿し木

シャクナゲの挿し木を行う時期は、今年伸びた枝が硬くなり始めた6月頃が適しています。長さ5~8㎝ほどの挿し穂を用意しますが、このときに充実した太い枝は発根しにくいので、株の内側にある貧弱な細い枝を使うのがポイントです。

葉は3~4枚残して取り除き大きな葉は半分に切ります。茎は清潔で良く切れるナイフで斜めに切り、発根促進剤のルートンを軽くまぶすか、オキシベロンを薄めた水に3時間ほどつけてやれば、挿し穂の完成です。

用土は鹿沼土にピートモスを2割ほど加えたものがおすすめです。プランターや鉢に入れ、穴を掘って、挿し穂に挿し水をたっぷりとかけて、土を落ち着かせます。その後、ベンレートやオーソサイドなどの殺菌剤を水で薄めて葉の上からジョウロでかけておきます。

発根まで湿度を100%に保つことが重要で、プランターや鉢ごとすっぽりとポリ袋で覆い、秋まで日陰で管理します。気温の下がってきた10月頃に少しずつ袋の口をあけ様子を見ながら順化します。袋を外してもしおれなければ成功です。

接ぎ木

シャクナゲの接ぎ木は、11月かまたは3月が適期です。台木には赤星シャクナゲがよく用いられます。台木と接ぎ穂を斜めに切って合わせる合わせ接ぎが一般的で、両方を同じ太さになるようにするのが接ぎ木を成功させるコツです。

台木と接ぎ穂を斜めに切り、すぐに切り口を合わせ接ぎ木テープで巻いて固定します。巻き終わったら鉢ごとポリ袋で密封し湿度100%を保ち、3週間くらいで袋に穴を開け、1ヶ月後には袋を完全にとれば接ぎ木の完成です。

シャクナゲ(石楠花)の育て方で注意する病気・害虫は?

シャクナゲは、日光の当たり過ぎなどから褐斑病や花腐菌核病、ペスタロチア病などの病気になる可能性があります。また、ベニモンアオリンガ、グンバイムシ、アブラムシ、ハマキムシ、ハダニなどの害虫も発生します。

特に4~6月と9~10月に発生しやすく、ベニモンアオリンガやハマキムシは蕾や新芽を食べてしまうので注意が必要です。また、ハダニは葉の裏にくっついて葉っぱを弱らせ、枯らしてしまいます。発見した場合は殺虫剤を散布して駆除しますが、ハダニ以外はオルトラン粒剤を毎月株元に蒔いておくことでかなり予防できます。

シャクナゲ(石楠花)の育て方のコツは?

シャクナゲ 石楠花

シャクナゲは元々が高山植物なので、暑さと過湿を嫌います。暑くなる前の春に花を咲かせるので、日当たりがよく涼しい場所で管理してあげましょう。

また、地植えの場合は広葉樹などのそばに植えてあげると安心です。日焼けの心配のない半日陰で育てると、元気にきれいな花を咲かせてくれますよ。

シャクナゲ(石楠花)の花を咲かせよう!

シャクナゲ 石楠花

シャクナゲは高山植物であることから、日本の夏の暑さには弱いとされていました。しかし、最近は日本で改良された品種も多く、 耐暑性の強いものも多くあります。

栽培も簡単な品種が増えてきており、花色もバリエーションに富んでいるので、自分好みのシャクナゲを選んで、春に美しい花を楽しめるといいですね。

更新日: 2021年09月22日

初回公開日: 2015年06月23日

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