ウツボカズラと並んで有名な食虫植物であるハエトリソウ。独特の葉っぱからは、ちょっと怖い印象を持つかもしれません。ただ、その不思議な生態は、多くの学者の心をとらえ、進化論で有名な生物学者チャールズ・ダーウィンも、ハエトリソウを熱心に研究していたんだとか。今回は、そんなハエトリグサの花言葉と育て方、増やし方や種類についてご紹介します。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の花言葉とは?
『ウソ』『魔性の愛』
ハエトリソウは、葉の縁にある蜜腺から甘い蜜を分泌し、虫を引き寄せます。この姿が、虫を誘惑していることに例えられ、「魔性の愛」という花言葉が付けられました。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の学名・原産国・英語
- 学名
- Dionaea muscipula
- 科・属名
- モウセンゴケ科・ハエトリグサ属
- 英名
- Venus Flytrap
- 原産地
- 北アメリカ
- 開花期
- 5~6月
- 花の色
- 白
- 別名
- 蝿取草(ハエトリグサ/ハエトリソウ)
ハエジゴク
ディオネア
ハエトリソウ(ハエトリグサ)とは?どんな花を咲かせる食虫植物?
ハエトリソウは、ノースカロライ州やバージニア州など、北アメリカの東海岸の湿地に自生する食中植物です。現在、自生地は保護区に指定され、ワシントン条約によって球根の輸出入は禁止されています。
草丈5~10cmと低く、地面をはうように生長し、5~6月に葉っぱの間から茎を伸ばして白い花を咲かせます。ロゼッタ状に茂らせる4~10枚の葉っぱは、2枚合わさって口のような形をしています。
葉の縁には歯のようなトゲが並び、内側には「感覚毛」と呼ばれる3本の毛が生えています。トゲにある蜜腺から分泌された蜜で虫をおびき寄せ、虫が感覚毛に2回以上触れると葉を閉じます。中に捕らえられた虫は、7~10日ほどかけて消化液によって徐々に溶かされ、栄養となります。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の種類や品種は?
ハエトリソウは、大きく2つの種類に分かれます。1つは、葉っぱが上を向いている「エレクタ系」、もう1つは、葉が地面をはうように生長する「ロゼッタ系」です。以下に、それぞれの代表的な品種をご紹介します。
マスシプラ・オールドタイプ
ロゼッタ系の代表品種で、日本でもよく見かけることができます。鮮やかな緑色の葉っぱをたくさん生やすことが特徴です。
レッドピラニア
全体的に赤みが強い品種です。他の品種に比べて、葉の縁にあるトゲが短く、ピラニアの歯のように見えることから名付けられました。
シャークティース
ひょろりと伸びた茎の先に緑色の葉を付ける品種で、葉っぱの縁にあるトゲは短く、やや幅広になっています。この姿がサメの歯のようなことが名前の由来です。
ディオネア・マスシプラ(赤い龍)
1996年にアメリカで作り出された品種で、株全体が赤く色づきます。
エンジェルウィング
葉が裏返ったような形をした、見た目がかわいらしい品種です。サーモンピンク色をしており、葉の縁にあるトゲは少し長めになっています。
クロスティース
葉っぱのトゲの大きさが不規則な品種です。葉を閉じたときに、歯が交差するような姿をしています。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所で、乾燥させないように育てることがポイントです。もともと湿地に自生していることから、水切れを起こすと枯れてしまいます。
また、感覚毛に触れて葉を閉じると、エネルギーを消費して弱ってしまいます。指で触れて閉じる様子を楽しむのもよいのですが、触りすぎてハエトリソウを弱らせて枯らさないように注意しましょう。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
種は市販されていないことから、育てている株から採取したものを育てていきます。12~4月が適期で、湿らせたタオルやコットンに種をくるみ、1ヶ月冷蔵庫に入れておくと、発芽が揃いやすくなりますよ。
3~4号の育苗ポットか素焼鉢に、ピートモスやバーミキュライトなど清潔な種まき用の土を準備し、種を1cm間隔で土に軽く埋めていきます。土は被せず、乾燥しないよう水を与えて日陰で管理していきましょう。15~30日ほど経って発芽したら、土の表面が乾いたら水を与えるようにし、根が十分に生えたら適当な鉢に植え替えます。
苗植え
12~1月が苗植えの適期です。寒さに弱く、屋外で冬を越すことができないことから、鉢植えで育てていきます。3~4号鉢に1株を目安に、球根に湿らせた水苔を巻きつけ植え付けます。根がもろく、傷つきやすいので、作業は慎重に行ってください。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
湿地に自生していることから、水もちのよい土を好みます。水苔を使うか、鹿沼土(小粒)と赤玉土(小粒)、酸度未調整のピートモスを同じ量配合した土を使うのがおすすめです。
水やり
常に土が湿っている状態を好みます。鉢の受け皿に1~2cm水を貯めて管理する「腰水」なら、湿った状態を保つことができます。水は、1~3日に1回取り替えると衛生的です。また、土の中の空気を入れ替えるため、1ヶ月に1~2回、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を注ぎます。
肥料の与え方
根が弱く負けてしまうので、肥料は施しません。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の管理方法は?
基本的には日当たりがよく、雨の当たらない場所で育てます。ただ、高温に弱く、直射日光に当たると葉っぱが焼けてしまうので、春~夏は、戸外の半日陰で管理してください。
一方、冬は寒さに当たらないと休眠できず、翌年の生育が悪くなります。11~2月は、気温が5度以下の室内で管理し、暖房のついている部屋には置かないようにしてください。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の植え替えの時期と方法は?
水苔は傷みやすいので、毎年12~2月に植え替えをします。植え替えの手順は植え付け時と同じです。古い水苔を取り除くとき、根を傷つけないように気を付けましょう。ピンセットを活用するとよいですよ。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の増やし方!株分けの時期と方法は?
ハエトリソウは、種まきと株分けで数を増やすことができます。種まきは、植え付けでご紹介した方法で行ってください。株分けは、12~2月が適期です。
株分け
株を土から取り出し、球根に付いている土や水苔をきれいに取り除きます。そして、それぞれの株に葉っぱが3枚以上付くよう、株を手で分けていきます。分けた株は、それぞれ鉢に植え付けてください。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)の育て方で注意する病害虫は?
株が若いと、ナメクジやアブラムシの被害にあうことがあります。ナメクジは新芽を食べてしまう害虫で、アブラムシは茎葉や芽に針を突き刺して栄養を奪う害虫です。いずれも、みつけたらピンセットなどを使って株から引きはがすか、薬剤を散布して駆除していきます。
ハエトリソウ(ハエトリグサ)は日本の気候になじみやすい食虫植物
ハエトリソウは、その独特な見た目や虫を食べることから、怖い印象をもたれることも少なくありません。ただ、ときどき虫を捕まえそこねたりといったかわいい一面も。自生地が日本の気候と似ていることから、日本でも育てやすい植物なんですよ。
人とは一味違う植物を育ててみたいという方におすすめなので、ぜひ、個性的なハエトリソウを楽しんで育ててみてください。
更新日: 2023年02月08日
初回公開日: 2015年12月26日