ムクゲ(木槿)は、奈良時代から栽培の記録が残る歴史ある花です。都市部では、街路樹や公園の木に利用され見かける機会も多いですよね。今回は、そんなムクゲの花言葉や品種、芙蓉・ハイビスカスとの見分け方についてご紹介します。
ムクゲ(木槿)の花言葉とは?
『信念』『新しい美』
ムクゲの古い学名は「Althaea frutex(低いタチアオイ)」ということから、タチアオイと同じ「信念」という花言葉が付いています。
これは、十字軍のシリア遠征の際にタチアオイが持参されたことに由来します。「新しい美」は、次々と新しい花を咲かせることにちなんで付けられました。
ムクゲ(木槿)とは?花の色や別名は?
ムクゲとは、夏に10~20cmほどの大きな花を咲かせる、落葉性の花木です。一般に栽培されているものは1~3mほどですがそのままにしておくと10m以上に生長します。
日本へは平安時代に渡来し、古くから庭木や生垣として親しまれてきました。また、韓国の国花でもあります。花1つ1つの開花期は短いですが、次々に新しい花を咲かせるのが特徴です。また、ムクゲは寒さに弱いため、夏の花木として知られています。
- 学名
- Hibiscus syriacus
- 科・属名
- アオイ科フヨウ属
- 英名
- Rose of sharon
Shrub althea
- 原産地
- 中国、東南アジア、インド
- 開花期
- 6~10月
- 花の色
- 白、赤、ピンク、紫、複色
- 別名
- 木波知須(キハチス)
ムクゲはどんな花を咲かせる?
ムクゲは夏の花として有名なハイビスカスと同じフヨウ属のため、7〜9月になると白や赤、ピンク色をした大きな花を咲かせます。花びらは波打ったような八重咲き品種から、一重咲きまで様々です。
ムクゲとハイビスカス・芙蓉との違い、見分け方は?
ムクゲ、芙蓉、ハイビスカスはいずれもフヨウ属に分類され、花の形がよく似ています。また開花期も同じくらいなので、間違えてしまうことも。
そこで、以下にそれぞれの見分け方をご紹介します。悩んだときは、花の中心にある柱頭(チュウトウ)で見分けるのがわかりやすいですよ。
花の名前 | ムクゲ | 芙蓉 | ハイビスカス |
開花時期 | 7~10月 | 7~10月 | 5~10月 |
花色 | 白、赤、ピンク、紫、複色 | ピンク、白 | 白、ピンク、赤、オレンジ、黄、紫、茶 |
花の特徴 | 柱頭の下におしべが付く めしべの先がまっすぐ |
めしべの先が上を向く | おしべが柱頭の先端に付く 花の中心部が赤やピンク |
葉の特徴 | 花より小さく 濃い緑色 切れ込みが深い |
花と同じくらいの大きさ 薄い緑色 |
葉にツヤがある 切れ込みが浅い |
ムクゲの花の種類や品種は?
江戸時代から盛んに園芸用の品種が作られ、名前の付けられていない品種がたくさんあります。最近では海外で作られた品種も多く、花の形によって「一重咲き」「半八重咲き」「八重咲き」の3つに大別されることが多いです。
一重咲き
花びらの長さや幅から、「細弁」「中弁」「広弁」の3つに分けられます。白い花を咲かせる「大徳寺白」や、中心が赤い「日の丸」が代表的な品種です。
半八重咲き
内側の花びらの大きさと、外側の花びらの枚数によって、「祇園守」「花笠」「バラ咲き」に区別されます。「鳥取花笠(トットリハナガサ)」がよく栽培されています。
八重咲き
花びらの付き方によって、「乱れ咲き」「菊咲き」「ポンポン咲き」の3つに分かれます。菊咲きの「ビコロル」や、「ピンクデライト」など、花びらは品種ごとに個性があります・
ムクゲの花を楽しもう
奈良時代から日本人に親しまれてきたムクゲ。和歌の世界では、秋の季語とされ、松尾芭蕉や若山牧水など、多くの歌人が詩の題材に使ってきました。花の優美さと、儚く散る姿が、多くの人の心をとらえたのかもしれませんね。
旧暦の秋は今では夏にあたるため現代では夏の代表的な花となっていますが、季節を問わずその美しい花姿を楽しんでくださいね。
更新日: 2021年09月27日
初回公開日: 2015年10月15日