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【ラン(蘭)の育て方】植え替えの時期や方法は?

上級者向けの希少種から初心者向けの強健種まで、多種多様な形態をもつことで知られている蘭の世界。優雅でゴージャスな花姿は、古くからガーデニングファンのあこがれを一身に集め続けてきました。

蘭といえば、年末やお祝いのギフトでいただくことも多く、お部屋に飾ってあるだけで高級感ある雰囲気が楽しめますよね。

今回は、そんな蘭の育て方について、栽培のポイントや種まき・苗植えの時期と方法などをご紹介します。

ラン(蘭)の育て方のポイントは?

毎年よい花を咲かせるには、蘭の自生地に似た環境をどれだけつくり出せるかがポイントです。日当たり、湿度、通気をできるだけ自生の状態に近づけ、「着生蘭」と「地生蘭」それぞれの生活様式に合った植え込み材料を使用します。

また、蘭の仲間は熱帯〜亜熱帯原産のものが多く、基本的に寒さと乾燥した空気が苦手です。真夏を除いて春〜秋は戸外で十分に日に当て、冬は室内の暖かい場所に移動したり霧吹きで水をかけたりして、季節に応じたこまめな管理を心掛けましょう。

地生と着生蘭

  • 地生蘭

通常の植物と同じく、地面に根を降ろして自生する蘭のことです。

乾燥地帯に生息するため水を保存できるように太く丸く変化した茎(バルブ)を持つのが特徴です。パフィオペディラムや春蘭、シンビジウムなどが代表品種です。

  • 着生蘭

他の植物や岩の上に根を降ろして活動する蘭のことです。

地中と比べて水分が少ないため、雨期に水分を貯めこむ性質をもったり、乾燥した日は気功を閉じる・休眠期に入るなどの方法で水分の蒸発を防いだり、地上部を枯らして球根だけが生き延びたり、いろいろな進化を遂げているものがあります。

カトレアやデンドロビウム、バンダやコチョウランなどが代表品種です。

ラン(蘭)の苗植え!鉢植えやプランター植え、地植えの時期と方法は?

蘭の植え付けの適期は4〜6月上旬頃です。蘭は種から育てることもできますが、一般的には鉢植えを購入するか、親株から株分けや高芽を取って子株を育てます。

鉢植え、プランター植え

着生蘭は大きすぎる鉢を嫌うため、根が収まる程度の2〜5号の素焼き鉢がおすすめです。植え込み材料で根を包み、茎の基部が隠れない程度に柔らかめに植え付けましょう。

地生蘭の場合は、容器の底に鉢底石を敷き、通常の草花と同じ要領で土植えにします。

地植え

地生タイプの大型種は地植えにも向きます。これらは野原や畑に生える強健なものが多く、水はけのよい場所なら土質を選ばずに育ちます。

環境が合えば分球やこぼれ種で自然に増えていくので、ある程度広さのある場所に植え付けましょう。あまり広げたくなければ、鉢植えやコンテナ栽培がおすすめです。

ラン(蘭)の土作り、水やり、肥料の時期と方法は?

土作り

根の太い着生蘭は湿らせた水苔の単用、細かい根がたくさんあるものはミックスコンポストやバークなどを使います。山野草としても馴染み深いエビネやシランなどの地生蘭は、市販の山野草用培養土や日向土(小粒)4:赤玉土(小粒)4:腐葉土2といった水はけのよい土が適しています。

水やり

地植えは真夏の晴天続きの日を除いて水やりの必要はありません。鉢・プランター植えの場合、生育期は植え込み材料が白っぽく乾いたら株の上からたっぷりと水をかけます。

冬は水やりの回数を7〜10日に1回程度に減らし、植え込み材料の表面が乾いて1〜2日待ってから、その日のうちに乾く程度の量を株元にだけ与えます。

肥料

春になって株元から新芽が伸びてきたら、1〜2週間に1回ほど1,000〜2,000倍に薄めた液肥を水やり代わりに施します。

置き肥は1ヵ月に1回、洋ラン用の緩効性化成肥料を植え込み材料の表面にまいておきます。寒さで生育が鈍る10〜3月の肥料は必要ありません。

ラン(蘭)の植え替えの時期と方法は?

植え替えは花後の4〜6月頃、2年に1回を目安に行います。着生蘭は鉢から抜いて古い植え込み材料や腐った根を取り除き、根の間に新しい植え込み材料を詰めて鉢に戻します。

地生蘭は掘り上げて古い土を落とし、根を整理して新しい培養土で植え直します。あとの植え替え手順は、植え付け方法と同じです。

また、ギフトでいただいた寄せ植えはそのままでは傷みやすいため、花後できるだけ早く植え替えてください。

ラン(蘭)の増やし方!株分けや高芽取りの時期と方法は?

株分け

茎が6個以上ある大株や、新芽や根が鉢からあふれて飛び出しているものは、春の植え替え時か秋に株分けをします。土から抜いて茎を2〜3本つけて根鉢を切り分け、それぞれ新しい植え込み材料で植え付けます。

高芽取り

高芽とは茎の節から出る新芽のことです。白い根が7〜10cm伸びた頃に親株から取り外して水苔を巻き、2号素焼き鉢に入れて3週間ほど半日陰に置きます。

高芽は窒素肥料過多や水を与えすぎると発生しやすく、放置すると親株が消耗してしまいます。増やす予定のないときは早めに取り外しておきましょう。

ラン(蘭)の剪定の時期と方法は?

蘭は花茎の下から順番に咲き、早く咲いたものから枯れていきます。病気を防ぐためにも、咲き終わった花はそのつど付け根から折り取りましょう。

全部の花が咲き終わるまで待つと株の負担が大きいので、半分くらいしおれてきたところで花茎の根元から切り落とします。

ラン(蘭)の栽培中に注意する病気や害虫は?

デンドロ属やセロジネ属は、秋の低温に一定期間当てないと花芽がつきません。夜間の最低気温が10度くらいになったらいったん水を切り、軒下など雨の当たらない場所に2週間ほど置いたあと、日当たりのよい窓辺に取り込みましょう。

軟腐病

春に暖かくなってきた頃、新芽や葉っぱの付け根が急に黒や茶色に腐ってしまう病気です。細菌性の病気は一度感染すると回復が難しく、日頃の予防が大切です。

水やりは植え込み材料が乾いてから行い、鉢を棚の上に置いたり針金を巻いて吊るしたりして、常に風通しをよくします。

ウイルス病

葉っぱや花びらにモザイク状の病斑が生じ、葉茎の委縮や黄化などいくつもの症状が現れます。多くはアブラムシやハダニなどの吸汁害虫によって媒介されるので、それらの害虫の駆除を徹底します。

また、剪定や株分け時の汁液感染を防ぐため、ハサミなどの器具は使用のたびに熱処理やレンテミン液剤で消毒しましょう。

炭そ病

「炭そ菌」という糸状菌(カビ)による感染症です。春から秋にかけて灰褐色〜黒褐色の円形あるいは楕円形の病斑ができ、拡大すると激しい葉枯れや立枯れ症状を引き起こします。

風通しをよくして高温多湿を避け、降雨や水やり時の泥のはね返りに注意します。

ハダニ

梅雨明けの6月末〜9月頃に、葉っぱが乾燥すると発生しやすいです。1〜2日のうちに卵→成虫→卵のサイクルで繁殖するため、成虫を駆除しても卵が残っていれば繰り返し発生します。

葉っぱを洗えば一時的に被害を抑えることはできますが、長期的にみれば成虫に殺ダニ剤を散布して、残留薬剤で卵を駆除した方が確実です。

ラン(蘭)の育て方がマスターできれば一人前

蘭は充実した大株であれば、1年に2回花を咲かせることもできます。2番花を楽しみたければ、花茎切りのときに株元から2〜3節ほど残して切りましょう。

ただし、開花にエネルギーを使うほど株が弱りやすいので、できれば早めに付け根から切り落とすことをおすすめします。蘭の仲間は花もちがよいですから、切り花にしても美しい姿を長期間楽しませてくれますよ。

蘭は、植物の特性を理解して育てることが大切な職部です。決して簡単に栽培できる植物ではありませんが、無事花を咲かせることができればガーデニング初心者は卒業できるくらいお花に詳しくなっているかもしれませんね。

初回公開日: 2016年05月16日