パキポディウムは、温度管理に注意すれば丈夫に育つ初心者に優しい塊根植物です。南アフリカ原産で、置き場や水やりを季節によって変えることでスクスク育ちます。その特徴的なフォルムに、ファンも多いです。今回は、パキポディウムの育て方について詳しく解説します。
パキポディウムとは?
パキポディウムは、ずんぐりとしたボディーが特徴の塊根植物です。育てやすい種類が多く、植物を育てるのに慣れていない人にもおすすめ。1mほどに育つこともあります。暑さに強く寒さには弱いので、冬場は室内や温室での管理が必要です。
科名 | キョウチクトウ科 |
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属名 | パキポディウム属 |
学名 | Pachypodium |
草丈 | ~1m |
原産地 | 南アフリカ・マダガスカル |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
開花時期 | 春 |
花の色 | 黄色・赤など |
パキポディウムの育て方!土づくりのコツは?
水はけがよく、乾燥した環境を好む植物なので、一般的な多肉植物やサボテンの培養土で大丈夫です。市販の培養土と一言で言っても、種類がたくさんあるので、色々試してみて自分が使いやすい培養土を選ぶといいでしょう。
自分で土を配合する場合は、赤玉土に鹿沼土や軽石などを加えて水はけをよくします。鹿沼土は水で濡れていると色が変わるので、水やりのタイミングを見計らうのにも便利です。鉢底石や化粧砂代わりにしてもいいでしょう。
土の粒の大きさを変えながら配合すると、通気性が増します。たとえば、中粒と小粒を混ぜるといった具合。鉢底に置く軽石なども大きめの粒がおすすめです。
パキポディウムの育て方!日当たりや置き場所は?
置き場は屋外の日当たりのいい場所が最適です。太陽にしっかり当てることで、株が丈夫に育ちます。日光が少ないと徒長するため、注意してください。
梅雨の時期は、長雨に当てないようにします。蒸れや多湿に弱いので注意しましょう。
冬場は室内の日が差し込む窓辺がおすすめです。温室でしっかり管理する場合は、育成ライトを使って光量不足を補いましょう。
また室内や温室だと、風通しが悪くなりがちです。サーキュレーターを回して、風通しを改善させるのも大切。春~秋の屋外管理でも、日当たりだけではなく、風通しがいい場所を選びましょう。
パキポディウムの育て方!水やりのコツは?
パキポディウムへの水やりは、季節によって頻度や量を変えていきます。春や秋は、土が白っぽく乾いたら水やりしましょう。夏と冬は以下の項目を参考にしてください。
夏
夏の水やりは、月2回ほどに回数を減らします。蒸れないように気をつけながら、水やりします。水を与えるタイミングは、夕方や夜などの涼しくなる時間帯です。日中に水やりすると、水分が熱くなってしまい、株がダメージを受けてしまいます。
冬
冬の水やりは、断水気味に管理します。多くのパキポディウムの品種は、冬になると葉を落として休眠するので、水は少なくて大丈夫です。秋から冬になる頃に葉が落ち始めたら、水やり回数を減らします。完全に葉が落ちたら断水気味に。よく育った株なら、断水でも問題ありません。春になって再び芽が出てきたら、水やり回数を増やしましょう。
パキポディウムの育て方!肥料の与え方は?
パキポディウムへの肥料は、植え替え・植え付け時に元肥、生長期の春~秋は液体肥料、もしくは固形肥料を与えます。与える量は使う肥料の扱い方に合わせてください。休眠する冬は、生長しないので肥料は入りません。
肥料を与えると、葉の色艶がよくなるなど生長のサポートが可能です。与えるタイミングが悪いと、肥料を与えても健康的に育ちません。適したタイミングに肥料を施すことがポイントです。
パキポディウムの育て方!種まきの方法は?
パキポディウムは、種まきでも育てることができます。種まきのやり方は以下のとおり。
必要なもの
- 種
- 育苗箱
- 種まき用の土
やり方
- 育苗箱に種まき用の土を入れる
- 種を一粒ずつ、育苗箱へ蒔く
- 日陰で管理し、水を切らさないようにする
- 芽が出たら日向へ移動して管理
種まきで育てる際のポイントは、芽が出てから日光に当てますが、直射日光には当てないようにすることです。また水やりも蓄えられる水分量が足りないので、通常よりも頻度を多めに行います。
そして冬は室内へ移動して断水。春になってから、お好みの鉢へ植え替えましょう。
注意点として、使用する種は採ったばかりのものを使ってください。種まきで育てる場合、芽が出ないこともあります。パキポディウムの場合は、採ってから時間が経った種だとその確率が高いです。
ほかの植物だと、種を採って冷蔵庫で保管ということも可能ですが、パキポディウムには適していないので、間違えないようにしましょう。
パキポディウムの植え替え方法は?
パキポディウムの植え替えは春に行います。2年に1度のペースが目安です。必要なものとやり方は次のとおり。
必要なもの
- 植え替える株
- 一回り大きい鉢
- 鉢底ネット
- 土
- オルトランDX
- 元肥
- 手袋
- ハサミ
やり方
- 植え替えたい株を鉢から抜く
- 根のまわりの土を少し落とす
- 植え替えする鉢に、鉢底ネットを敷いて土を少し入れる
- オルトランDXと元肥を鉢へ追加する
- 抜き取った株を鉢へ入れ、ちょうどいい高さになるよう植え付ける
パキポディウムは幹に棘がついているので、素手ではなく、手袋を着用して作業します。また、根を傷めないよう丁寧に取り扱いましょう。
パキポディウムの増やし方は?
増やし方は株分けがおすすめです。株分けは親株から分けたい株を外して植えるだけなので、とても簡単です。反対に、挿し木は切ったところからばい菌が侵入するなど、難易度が高いのでおすすめしません。
パキポディウムの育て方は温度管理がポイント?
パキポディウムは暑さには強いですが、寒さには弱い植物です。そのため、冬は室内や温室で管理します。このときの温度は10℃を下回らないようにしましょう。屋外から家へ取り込む温度の目安は10℃です。室内や温室でも、15℃前後をキープすると、植物にとって過ごしやすくなります。
パキポディウムの育て方!注意すべき病害虫と対策法は?
病気
- モザイク病
ウイルスによって起こる病気で、株が病気にかかると治りません。病気になったら、株ごと処分してください。症状は、葉や茎にまだら模様ができたり縮れたりします。感染を広めないように、園芸道具は常に清潔を維持することも対策の1つ。特にハサミは殺菌消毒するのがおすすめです。
- 軟腐病
軟腐病の症状は、病気にかかると異臭を放ちながら植物が腐っていきます。放っておくと症状が周囲に進行するので、早めに対処しましょう。病気の原因は細菌感染です。
害虫
- ハダニ
ハダニは植物の汁を吸い、病気を引き起こします。夏になると、ハダニが発生しやすくなるので注意が必要です。なるべく風通しのいいところへ置くようにしてください。株が病気にかかったら、すぐに対応する薬剤を散布しましょう。
- アブラムシ
黄緑色をした小さな虫で、やっかいな存在です。ハダニ同様、植物の汁を吸います。被害を受けると、生育が悪くなったり病気に侵されたりするので、発見したら薬剤散布と駆除をしてください。
- カイガラムシ
カイガラムシは風通しが悪い場所を好み、植物の葉の裏でよく見かける害虫です。こちらも植物を吸汁するので、気をつけましょう。見つけたら割り箸やピンセットで植物から剥がします。
パキポディウムの種類
パキポディウムの代表的な種類は以下の品種です。
- グラキリス
- 恵比寿笑い
- ラメリー
グラキリスも育てやすい品種で、よくお店に並んでいます。細長い葉が特徴で、幹はパキポディウムらしいぼてっとしたフォルムです。
恵比寿笑いは一般的なパキポディウムと違い、平べったく育つのが特徴。夏場は蒸れに注意が必要です。
ラメリーは、葉を前後左右に広がるように生やします。雨ざらしでもよく育つので(梅雨の長雨は除く)、管理が容易です。
パキポディウムを育ててみよう
パキポディウムは、栽培環境の温度をチェックしながら管理すれば、育てるのは難しくありません。春~秋の屋外管理では、風通しがよく日当たりのいい場所で育てます。姿が特徴的なパキポディウムを、ぜひ育ててみてくださいね。
更新日: 2023年05月31日
初回公開日: 2020年02月27日