葉牡丹は、お正月によく見かける牡丹に似た植物です。「祝福」や「利益」といった花言葉から、万両とともにお祝いごとのプレゼントとして人気があります。今回は、そんな葉牡丹とはどんな植物なのかと、種類や品種についてご紹介します。
葉牡丹(ハボタン)とは?花びらのように見えるのは葉っぱ?
葉牡丹は、ブロッコリーやカリフラワーなどと同じアブラナ科の植物です。原産地のヨーロッパでは、古くから野菜として扱われてきました。日本には江戸時代に渡来し、第二次大戦後から盛んに品種改良が行われるようになりました。
寒さに強く、冬になると葉の中央が赤やクリーム、白、ピンクなどに色づきます。葉っぱが色づくと牡丹の花のように見えることから、名付けられました。寒さにあたることで葉っぱは変色し、暖地では色付かないことがあります。また、キャベツの仲間であることから、葉っぱを食べることもできます。
葉牡丹(ハボタン)の別名や原産地は?
- 学名
- Brassica oleracea var.acephala
- 科・属名
- アブラナ科・ブラシカ(アブラナ)属
- 英名
- flowering kale
ornamental kale
ornamental cabbage
- 原産地
- ヨーロッパ西南部
- 鑑賞期
- 11~2月
- 花の色
- 赤、紅、ピンク、白、紫など
- 別名
- 花キャベツ(ハナキャベツ)
葉牡丹(ハボタン)の開花の時期と見頃の季節はいつ?
葉牡丹は、4~5月頃に4枚の花びらをつけた花を咲かせます。しかし、花よりも葉っぱが色づく11~3月頃が見頃の時期です。草丈は、20~80cmほどに生長します。
中でも草丈の短い「ミニ葉牡丹」はかわいらしく、庭植えや鉢植えにして楽しまれています。一年草として扱われることが多いですが、枝分かれさせた茎の先端に花を咲かせる「踊り葉牡丹」という仕立て方で、多年草として楽しむこともできます。
葉牡丹(ハボタン)の種類や品種は?
葉牡丹は、明治以降に冬の園芸植物として広まり、第二次大戦以降に品種改良が盛んに行われるようになりました。1980年代には、葉に縮れや切れ込みの入ったものなども出てきて、形が多様化してきました。
現在では、葉っぱが丸い「丸葉系」、葉の縁がウェーブかかっている「ちりめん系」、葉に深い切れ込みが入る「さんご系」の3系統に大きく分けられます。また、丸葉系は、「東京丸葉系」と「大阪丸葉系」の2つに分類されます。
1. ちりめん系(名古屋縮緬系)
ちりめん系は、葉のふちが細かくフリル状になっている系統で、明治以降に名古屋で作られました。根の生長が他のものに比べて弱く、花壇に並べて植えるのは適しません。そのため、鉢植えで育てるのが一般的です。薄紫色の葉が重なりあうように伸びる「紅かもめ」が代表品種です。
2. さんご系
ロシアからもたらされた切れ葉ケールと丸葉系を交配させ、さらに丸葉系をかけあわせて作られた品種がさんご系です。葉に細く深い切れ込みが入っており、観賞価値が高いとされています。薄紫色の「紅孔雀」や、白い葉の中心に薄紫の葉がつく「白さんご」が代表品種です。
3. 東京丸葉系
東京丸葉系は、江戸時代から育成が始まった古くからある系統です。葉が丸く、見た目がキャベツに似ています。寒さや暑さに強いので栽培しやすく、「江戸葉牡丹」とも呼ばれます。白い葉で、真ん中が薄紫に変化する「日の出」が代表品種です。
4. 大阪丸葉系
大阪丸葉系は、東京丸葉系とちりめん系の交雑種で、戦後に育生が盛んに行われるようになりました。葉のふちがゆるやかに波打ち、葉の発色もよく、育てやすいのが特徴です。フリル状の葉が目立つ「つぐみ」が代表品種です。
葉牡丹(ハボタン)は食べられるの?
葉牡丹の原種であるケールは、栄養価の高い緑黄色野菜として、青汁に利用されています。その改良品種である葉牡丹も、食べることができます。
アメリカではブロッコリーよりも栄養価が高いことから、近年体によい野菜として推奨されています。ただ、自宅で栽培するときは、野菜への使用が禁止されている農薬が使われている恐れがあり、食用に改良されたものに比べて味が落ちるので、注意してください。
葉牡丹(ハボタン)の種類をたくさん集めて寄せ植えを楽しもう
葉牡丹は縁起のいい花言葉も手伝って、牡丹のかわりとして江戸時代から正月用の寄せ植えに利用されていきました。青竹、扇、水引などの小道具を使って、テラコッタ鉢や竹筒にアレンジすると、新年を迎えるにふさわしい雰囲気を出すことができます。
紅白の葉牡丹を中心に、同時期に出回っているアイビーやビオラなどを合わせて植えるときれいですよ。
更新日: 2022年01月05日
初回公開日: 2016年01月30日