ヤブコウジは、「山橘(ヤマタチバナ)」の名で万葉集の詩に詠まれており、古くから日本人に愛されてきた樹木です。また、「十両」の名前でも知られ、正月の縁起物として千両や万両とともに寄せ植えにされてきました。樹高が低く、ミニ盆栽や庭のちょっとしたスペースで育てられますよ。今回は、そんなヤブコウジとはどんな植物なのか、花言葉や実の特徴などをまじえてご紹介します。
ヤブコウジ(十両/藪柑子)の花言葉とは?
『明日への幸福』
ヤブコウジは、お正月の縁起物として古くから利用されてきました。また、江戸時代には一大ブームとなり、班入りの品種は高値で取引されていたそうです。これらのことから、お金と幸運を呼びこむ存在とされ、「明日への幸福」という花言葉が付けられました。
ヤブコウジ(十両/藪柑子)の学名・原産国・英語
- 学名
- Ardisia japonica
- 科・属名
- サクラソウ科(ヤブコウジ科)・ヤブコウジ属
- 英名
- ー
- 原産地
- 日本、朝鮮半島、中国、台湾
- 開花期
- 7~8月 ※10~2月に実が付く
- 花の色
- 白、ピンク
- 別名
- 藪柑子(ヤブコウジ)
紫金牛(シキンギュウ)
十両(ジュウリョウ)
山橘(ヤマタチバナ)
ヤブコウジ(十両/藪柑子)とは?花や実の特徴は?
ヤブコウジは、サクラソウ科・ヤブコウジ属に分類される常緑性の低木です。日本から中国、台湾、朝鮮半島の東アジアに分布しています。
樹高は10~30cmと低く、地面をはうよう地下茎が増え、どんどん広がっていきます。茎には楕円形で縁にギザギザのある葉っぱを生やし、夏になるとピンクや白の花を咲かせます。花は、5~8mmほどと小さく、下を向いているのが特徴です。花が結実すると、真っ赤な実を付け、この実が万両や千両と似ていることから、「十両」という別名でも広く知られ、お正月は縁起物として寄せ植えに利用されてきました。
ヤブコウジ(十両/藪柑子)の効能は?
ヤブコウジの根茎や全草を乾燥させたものは、「紫金牛(しきんぎゅう)」という生薬名で、漢方に利用されます。ぎょうちゅうや回虫の駆除作用や、解毒作用が期待されています。
また、慢性気管支炎に伴う咳や淡の症状の改善や、喉の腫瘍にも有効だとされています。副作用などのリスクが少ないといわれていますが、過剰摂取すると下痢や頭痛、胃の機能障害を起こしてしまう可能性もあるので、専門のお医者さんに相談してから使うようにしてください。
ヤブコウジ(十両/藪柑子)の種類や品種は?
江戸時代には、葉に斑が入るヤブコウジが人気となり、多くの品種が作られました。その後、明治20年頃に再び流行して、明治27年には全国的なブームとなりました。
葉に入る黄や白の斑や、「コンペ」と呼ばれる縁がコンペイトウのような形になっている葉形がヤブコウジの魅力です。以下に、よく知られるヤブコウジの品種をいくつかご紹介します。
辻が花
新潟県で最近作出された新しい品種です。葉は比較的小型で、縁がよじれ、白い斑がまだらに入っていることが特徴です。苔玉に仕立てられたり、グランドカバーにしたりと幅広く楽しまれています
天の川
葉っぱの縁が発達したコンペを付ける代表的な品種です。葉っぱの内側に黄緑色の斑が入ります。茎は赤みがあり、カラフルな見た目をしていることが特徴となっています。
日之司
明治時代に最も人気のあった品種で、葉っぱに少しだけ白い斑が入ります。現在の価値で1,000万円以上の値が付いた株もあるんですよ。
ヤブコウジ(十両/藪柑子)は葉っぱの斑がおしゃれな庭木
ヤブコウジは、和の雰囲気を感じさせる常緑性の低木です。樹高が30cmほどまでにしか生長せず、ひっそりと茂っている姿は、しとやかですよね。半日陰で湿り気のある場所を好むので、落葉樹の株元に植え付けると、庭をすてきに彩ってくれます。和の庭を作りたいときは、ぜひヤブコウジを取り入れてみてください。
更新日: 2020年11月11日
初回公開日: 2016年02月25日