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ユリ根(百合根)の栄養や毒は?栽培や効果・効能は?

栄養価が高く、健康や美容によいことから京懐石やおせち料理、精進料理によく使われるユリ根。百合の球根を食用にしたものなので、手間はかかりますが自分で栽培して楽しむこともできるんですよ。今回は、そんなユリ根とは何か、栄養や毒、栽培や効果・効能などについてご紹介します。

ユリ根(百合根)とは?

ユリ根 百合根

ユリ根とは、食用に適したユリの花の球根(鱗茎・リンケイ)です。ホクホクとした食感で、ほんのりとした上品な甘みがあり、懐石料理や精進料理、おせち料理などに使われます。

鑑賞用に栽培されている百合の根は、苦くて食用には向きません。食用ユリ根として販売されているものは、コオニユリ、オニユリの系統が多く、北海道で栽培されている「白銀」という種類のコオニユリを交配親とする品種の流通量が多いようです。

ユリ根(百合根)の歴史は?

中国では古代から、食用や咳止め、滋養強壮などの薬としてユリ根が利用されてきました。日本では、万葉集や古事記に百合の花がでてきますが、食用にしていたという記録はありません。

その後、江戸時代に入ってからユリ根が食べられた記録があり、1697年の「農業全書」にはユリ根の栽培法や食べ方などが紹介されています。北海道に住む和田伊三郎という人が栽培に取り組んだのがはじまりとされ、大正時代に本格的に食用されるようになったとされています。

ユリ根(百合根)の栄養!毒はある?

ユリ根 百合根

ユリ根は、野菜の中ではカリウムが野菜の中でもトップクラスの含有量です。カリウムには、塩分の排出を促して血圧の上昇を抑える働きがあります。また、ビタミンCが少量含まれています。量は少なくても、ユリ根のビタミンCはデンプンで守られているので、熱で破壊されにくいという特徴を持っており、茹でても約90%が残るので効果的にビタミンCを摂取できるんですよ。ただ、ユリ根はそのほとんどが炭水化物の高カロリーな食材なので、食べ過ぎないように注意してください。

毒はある?

ユリ科の植物の球根には、アルカロイド系の毒を含むもの、含まれないものがあります。また、毒を含んでいなくても食用に向かないものもあるので、食用で市販されているユリ根は、「毒が無く、食用に向く」球根を選んであります。ユリの中では、オニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、カノコユリなどがユリ根に向いており、その他は毒を持っていたり、苦味が強く食用に向かないといわれています。

ユリ根(百合根)の効果・効能は?

ユリ根 ユリネ

滋養強壮、精神安定、免疫力の向上

中国では、昔からユリ根が薬として食されてきました。唐の時代(西暦618~907年)には、ユリ根を結核の治療に使っていたという記録が残されています。咳止めのほか、滋養強壮、利尿作用、さらには精神を安定させてイライラを解消する鎮静薬としても珍重されてきました。

現代では、各機関の研究によって、ユリ根は結核菌などを消滅させるだけでなく、人体の免疫機能を調節し、癌を抑える作用もあることが分かってきました。

便秘の解消、利尿作用

ユリ根に含まれているカリウムは、腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促し、筋肉の働きをよくします。また、不溶性食物繊維が豊富に含まれており、大腸で水分を吸収して便のかさを増やすので、便秘の改善に役立ちます。

ユリ根(百合根)の選び方は?

白くつやがあり、実が締まっていて、傷や黒ずみのないものを選びましょう。りん片が大きいものの方が甘みがあります。特に、全体に紫色がかったものは苦みが強いので注意してください。

ユリ根(百合根)の栽培方法は?

ユリ根 百合根
  1. 春から秋まで土の中で球根を太らせる
  2. 冬に収穫しておがくずの中で休眠させる
  3. 春が来たら畑に埋め戻す
  4. 1~2を3回繰り返す
  5. 3年たったら球根のりん片をはがし、畑に植え替える
  6. 秋に掘り起こし、春に植え付ける
  7. 5~6年目の秋に収穫

こうして掘っては植えを長期間繰り返してユリ根を栽培していきますが、同じ畑に植え付けては連作障害を引き起こしてしまうので、毎年場所を変えます。また、花が咲いてしまっては栄養が花にいってしまうので、蕾はすべて摘み取っていきましょう。

ユリ根(百合根)はいつ収穫できる?

食用のユリ根は、畑に植えつけるまで3年、さらに植えつけてから収穫するまで3年かかります。また、デンプンが糖分に変わるのを待つため、収穫してから2~3ヶ月間寝かせます。流通しているユリ根の98%を栽培している北海道では、10~12月が収穫期です。

ユリ根(百合根)の保存の仕方は?

ユリ根 百合根

おがくずの中に入っているものは、完全に隠れる状態のまま冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。乾燥に弱いので、ユリ根を濡らさないように気つけながら、おがくずが乾いてきたら霧吹きで軽く湿らせていきます。おがくずに包んでおけば、1ヶ月くらいはもちますよ。

おがくずがなければ、ラップに包んで保存しましょう。また、すぐに食べきれない場合は、冷凍保存もできます。りん片を1枚ずつはがして、沸騰したお湯で1分ほど茹で、しっかりと水気をきって冷ましたら、保存用のポリ袋などに入れて冷凍してください。

ユリ根(百合根)はどうやって食べればいいの?

ユリ根についているおがくずを水で洗い流し、りん片を外側から1枚ずつそっとはがしたら、黒ずんだ部分は包丁でそぎ落としていきます。そして、沸騰した鍋に潮を適量入れ、1~2分茹でていきます。

茹で上がったりん片は、天ぷらやマッシュポテト、蒸し焼き、卵とじなど、和洋どんな料理にもアレンジして楽しめますよ。

おいしいユリ根(百合根)を収穫して楽しもう

ユリ根 百合根

北海道では、全国で流通しているユリ根の98%以上が栽培されています。特に、北海道の真狩村(まっかりむら)では、全生産量のうち3分の1、およそ800tを生産しているといわれているんですよ。 食用のユリ根は、オニユリやとコオニユリ、ヤマユリなどです。白ユリなどのユリ根を食べると下痢を起こしてしまいますから、気をつけてくださいね。

更新日: 2016年04月27日

初回公開日: 2016年04月27日

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