シマトネリコは、和風・洋風どちらのテイストにも合い、手入れもそれほど必要としないことから、庭木のシンボルツリーとして人気の植物です。5月~6月に小さな花をつけるのも魅力ですよ。今回は、シマトネリコの花言葉や学名、原産国、色・種類、開花の時期についてご紹介します。
シマトネリコの花言葉は?
『偉大』『服従』『思慮分別』『高潔』『荘厳』
シマトネリコの属すトネリコ属は、日本に自生するもののほかに、セイヨウトネリコという近隣種があります。トネリコ属が共通して『偉大』『荘厳』『高潔』など神々しいイメージの花言葉をもっているのは、北欧神話に登場するセイヨウトネリコに由来しているといわれています。
北欧神話には9つの世界があるとされ、「ユグドラシル」と呼ばれるトネリコ(セイヨウトネリコ)の大樹がそれぞれの世界をつないでいました。また、北欧神話の最高神オーディンは、セイヨウトネリコから最初の人類アスクをつくりだしたという伝説があります。
ほかにも、ギリシア神話やローマ神話では戦争の神アレス(マルス)の木とされているなどが言葉の由来になったと考えられています。
シマトネリコの花の色や別名は?
- 学名
- Fraxinus griffithii
- 科・属名
- モクセイ科トネリコ属
- 英名
- Griffith’s ash
- 原産地
- 日本(沖縄)、台湾、中国、フィリピン、インド
- 開花期
- 5月下旬~7月上旬
- 花の色
- 白
- 別名
- シマトネリコ
タイワンシオジ
シマトネリコとは?どんな花を咲かせる?
シマトネリコは、沖縄に自生する常緑樹の1つで、放っておくと高さが10m以上にもなる雌雄別株の高木です。羽状複葉(うじょうふくよう)という枝元から枝先まで連続して2枚1組で生える葉が特徴です。
寒さに弱く病害虫に強い性質をもっていることから、庭木や大きな鉢に植えて屋外で育てられることが多いです。また、直幹で場所を横にとらないので、造園や狭い場所でも育てられる使い勝手のよさもあります。家具やバットなどの木材として使われることも多いので、実はよく見かけている植物かもしれません。
名前の由来
シマトネリコの「シマ」は沖縄諸島のことを表しており、「トネリコ」という名前の由来には2つの説があります。
1つは昔、トネリコの枝や樹皮につくカイガラムシが分泌する白蝋(トネリ)を練って敷居に塗ると滑りがよくなることから、トヌリキ(戸塗り木)がなまったという説です。
もう1つは、樹皮を煮詰めてニカワ状にし、墨に混ぜて練ったものをトモネリコ(共練り濃)と呼び、それがなまったという説です。
シマトネリコはカブトムシが集まる木?
近年、シマトネリコの幹にカブトムシが大量発生するというニュースを耳にするようになりました。これは、カブトムシがシマトネリコの樹液を吸いによってくるためです。
ここで特異なのは、カブトムシがシマトネリコの樹皮を自ら傷つけて樹液をなめている点です。通常、カブトムシはコナラやクヌギの樹液をなめるのですが、これは他の幼虫が開けた穴から滲出してきたものをなめています。
この行動が珍しいとして、2006年には京都での観察事例から論文も発表されています。カブトムシは子供たちに人気の昆虫ですが、樹皮が必要以上に剥がされとマトネリコの木が弱ってしまうことがあるので、見つけた場合は木の保護シートなどで樹皮をケアしてあげましょう。
シマトネリコの開花時期や見頃の季節は?
5月下旬~7月上旬に香りのある白い小さな花をたくさん咲かせます。雄と雌の木があり、雄の木は花を咲かせません。雌の木は、結実すると白いさやが実ります。
シマトネリコの種類は?
シマトネリコ サユメ
シマトネリコの新しい品種です。厚みがありややウェーブがかった葉っぱをしています。生長スピードがシマトネリコより遅くゆっくり育つので、剪定の手間が少なく、初心者の方でも育てやすいタイプです。
フイリシマトネリコ(斑入りシマトネリコ)
葉にクリーム色の斑が入ったシマトネリコの品種の1つです。斑の入り具合には個体差があるので、庭の雰囲気によって色みを調節することができます。シマトネリコサユメ同様、ゆっくり育つので剪定の手間が少なくすみます。
セイヨウトネリコ
ヨーロッパに自生するセイヨウトネリコの近隣種の1つです。高さが20~35mにもなる大型の落葉樹で、花が淡い紫色をしています。
アオダモ
北海道から九州の山地に自生している、トネリコ属の1種です。落葉広葉樹で葉が小さく、雨上がりに樹皮が緑青色になる特徴があります。枝を水に浸けると水が青くなるため、染料として利用されています。
ヤチダモ
トネリコ属の1種で、北海道に多く分布しています。生長スピードが速く、生長のよいものはバットなどの運動用具に、生長の悪いものは家具などの材料として使われています。
シマトネリコの花を楽しもう
シマトネリコは、品種や種類によって生長が速い・遅いといった特徴があることから、園芸家たちがこだわりをもって育てる樹木の1つです。特に木全体のバランスがとられて剪定されているものは、見応えがありますよ。
また、初夏に咲く花が結実していく様子も楽しめるので、庭木を検討中の方はシマトネリコを候補にいれるのもいいですね。
更新日: 2021年07月07日
初回公開日: 2015年06月15日